映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『アバウト・シュミット』ネタバレなしの感想。定年退職し、妻も病気で失って生きる意味を見失った老人を描くコメディ

投稿日:

■評価:★★★☆☆3.5

「自分の価値とは」

【映画】アバウト・シュミットのレビュー、批評、評価

本作は仕事と妻を同時に失い、人生の節目に立たされた老人が主人公となる。
ここで描かれるのは【人生に新しい価値を見いだすことができるのか】。

同じテーマを扱っていて、個人的に好みなのは『マレーナ』。

第二次世界大戦下のイタリアの田舎町が舞台。
夫が戦争で命を落としてしまい、未亡人となった美しい女性マレーナを描く。

マレーナと、彼女に恋する少年の2つの視点で描かれるのだが、少年の性衝動が激しくて笑える。
町の男たちを虜にする美しいマレートとやりたいあまりに、凄まじい自慰を披露してくれて大きな見所の1つとなってくれている。
ノスタルジックな海辺の町の雰囲気も良く、終わり方も最高である。
マレーナの監督の代表作は『ニュー・シネマ・パラダイス』。

ネブラスカ州オマハの保険会社に勤めていた平凡な66歳男性のウォーレン・シュミットは定年退職する。しかし退職後の新しい生活に馴染めず、毎日妻ヘレンと一緒にいることにもうんざりしていた。ある日、テレビCMでアフリカの子供たちに援助するプログラムを知り、6歳の少年ンドゥグの養父になって彼に手紙を送るようになる。手紙を書いているうちに家族や社会、自分の境遇に対して怒りがこみあげてくる。直後、ヘレンが病で命を落としてしまい……。

思っていた以上にコメディ要素が強くて、シュミットに何度も笑かされた。
シュミットをジャック・ニコルソンが演じており、堅物でプライドが高いじいさんというキャラがお見事にマッチしている。

で、残念ながら若者たちはこんな堅物じいさんを必要としていない。
シュミットは退職後、あまりにヒマすぎて、会社に「調子どう?困ったことない?」なんて感じで顔を出すのだが、かつての部下に柔らかく跳ね返される。
「あんたにはもう用はないよ」と言わんばかりに。

娘もそう。
妻ヘレンとは違い、シュミットは娘とまったく連絡を取っておらず、疎遠のような状態になっている。
娘には婚約者もおり、娘もまたシュミットをこれっぽっちも必要としてない。
ここまで老人が邪魔者扱いされていると、観ていて切なさもある。
しかしシュミット自体にコミュニケーションエラーといった責任があるので、見事に笑いにつながっている。

とにかく小さく笑えるシーンが多い。
シュミットは、アフリカの子どものンドゥグにだけは手紙で本音を言う。
この堅物じいさんにバリバリの黒人の養子が出来るという流れにも笑えるのだが、手紙の内容もまた笑える。
手紙というの名のただの愚痴のはけ口である。

何でも話せる相手が会ったこともないし、言葉も通じないアフリカの黒人しかいないというのも可哀想である。面白いけど。
こんな感じで、この映画は性格の悪いじいさんをただただ観察するだけの内容となる。

地味ではあるが、じいさんがたびたび変な行動を起こすので退屈することはない。
特に印象的で面白かったのが、なかなかイカれた展開を2回迎えること。
詳細は伏せておくが、この展開を楽しむためだけにこの映画を観る価値は十分ある。
ここに関しては、想定外すぎて笑えないという。

不満点としてはテンポの緩やかさ。
じいさんが主人公の物語だし、緩やかさが絶妙な間となってシュールな笑いに繋がっているとも言える。
だが、最近のスピーディーな物語に慣れ親しんでいる者からすると、ちょっと集中力が飛び飛びになる。

あとは心が激しく動かされるような強いエピソードもない。
上記の【イカれた展開】というのは、あくまでも一つシーンであって瞬発的なもの。
もう少し観終わったあとにも印象に残るような魅力的なエピソードが欲しかったところ。

名優ジャック・ニコルソンは現在、ほぼ引退状態だ。
過去作でしか彼の演技を楽しむことは出来ない。
この映画は、彼の味が存分に堪能できるいい演技を見せてくれた。

アバウト・シュミットの作品情報

■監督:アレクサンダー・ペイン
■出演者:ジャック・ニコルソン キャシー・ベイツ
■Wikipedia:アバウト・シュミット(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):85%
AUDIENCE SCORE(観客):74%

アバウト・シュミットを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年1月現在

-⑤人生の節目

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。