■評価:★★★☆☆3
「異なる境遇に生きる二人の恋」

【映画】スターシップ9のレビュー、批評、評価
この映画の原題はスターシップ9ではない。
実は原題は重要なネタバレとなっていて、配給会社は観客に配慮してスターシップ9に改題したと思われる。
果たしてこの映画はどんな世界観の物語なのか。
スペースシップ内で生まれ育ったエレナはまだ観ぬ未知の星を目指して、一人恒星間飛行を続けていた。一緒に飛び立った両親はすでにいない。ある日、スペースシップが故障し、近隣のスペースシップに救難信号を送る。その呼びかけに応えて姿を現したのがエンジニアの青年・アレックスだった。初めて接する両親以外の人間と接することになったエレナは、彼に好意を持つ。だがアレックスは彼女を冷たくあしらう。エレナはこの飛行に隠された秘密を知らなかった。
序盤のどんでん返しにはビックリさせられる。
そう来たか。
開始数十分程度でこの世界の真実を見せてくれるので、それを踏まえての物語となる。
なのでこの映画、残念ながらネタバレなしレビュー殺しである。
どんでん返し以降が語れないとなると、ほとんど語ることがなくなってしまう。
だが、それだと負けたみたいで悔しいので、強引にネタバレせずに語ってやろうと思う。
確かにどんでん返しにはビックリさせられるし、素晴らしいアイディアだと思う。
だがこの映画、残念ながら面白いところは序盤がピークで、その後は尻窄みとなってしまう。
その理由はネタバレになるので詳細は言えないが、一言で言えば世界観(厳密に言うとスケール感)の扱い方をシナリオ文法に背いてる点が挙げられる。
これはぜひ観て確認してもらいたい。
観たら勘のいい人はおそらく途中で気づくはず。
「あれ? このどんでん返し、確か面白いけど実はしくじってないか」と。
逆に上手く世界観を操っているのがアニメ映画監督の新海誠。
『君の名は。』や『天気の子』が興行収入的に大成功を収めた要因の1つはそこにある。
この2作品は、非常に巧みに観客を高揚させているし、間違いなく新海誠は理解してそういった脚本作りを行っている。
ぜひとも試しに『スターシップ9』と『君の名は。』or『天気の子』を見比べてもらいたい。
それと全体的に画面が暗くて見づらいのも気になる。
半分くらいはスマホで見ていたのだが、とにかく暗くて、スマホの画面設定がおかしくなかったのかと勘違いさせられるくらい。
物語のトーンも暗めでテンポもゆったり。
字幕で鑑賞していたので、とにかく睡魔との戦いとなった。
結局断念して家のテレビで観ることにしたのだが、もう少し観やすい画面作りでお願いしたかった。
さらに最後にも、軽めのどんでん返しが挿入される。
私が観る限りだと伏線が貼られていないので、どんでん返しとして成立しておらず、違和感の残る展開となった。
設定の発想のアイディアはすごく面白かったんだが、残念ながらこの展開の方向性だと盛り上がりに欠けてしまうのが惜しい。
もう少し脚本を上手く練って欲しかったところ。
スターシップ9の作品情報
■監督:アテム・クライチェ
■出演者:クララ・ラゴ アレックス・ゴンザレス
■Wikipedia:スターシップ9(英語)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):67%
AUDIENCE SCORE(観客):45%
スターシップ9を見れる配信サイト
U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・見放題)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年1月現在