映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑦なぜやったのか?

映画『悪夢のエレベーター』ネタバレなしの感想。秘密を抱えた男女4人が突如エレベーターに閉じ込められる

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■評価:★★★☆☆3

「消化試合的な人生からの脱却」

【映画】悪夢のエレベーターのレビュー、批評、評価

エレベーター内のみで展開される物語で、ワン・セット・ドラマに分類される。
ワン・セット・ドラマは限定された舞台で展開していく物語を指す。
往々にキャラクターたちはパニック状態に陥るため、ソリッド・シチュエーション・スリラーと言われたりもするが、シンプルに会話劇を展開させる映画もある。『THE3名様』『キサラギ』『木曜組曲』など。
舞台が1つしかないため、低予算で制作できるメリットがある。

デメリットは舞台が変わらないので、映像が見飽きがちになる。
そのため、シナリオをハイスピードで二転三転させる必要がある。
キャラクターの裏の顔が明かされたり、「なぜこの舞台に閉じ込められたのか」を探る形で展開させていくケースが多い。

私がワン・セット・ドラマでとくに好きな作品は『CUBE』。

突如、立方体(キューブ)で構成されトラップが張り巡らされた謎の迷宮に男女6人が放り込まれ、脱出を試みる姿を描く。
キューブの面に別のキューブが接しているので、キューブ間を移動して出口を探すのだが、さまざまなトラップが仕掛けられているのだ。
このトラップが凶悪で緊張感がすさまじい。
さらにトラップの種類がバラエティに富んでいるのでワクワクさせられる。
これほど面白いワン・セット・ドラマは存在するのかってくらいに、初見時は夢中にさせられた記憶がある。

CUBEの監督のヴィンチェンゾ・ナタリも「ELEVATED」というタイトルでエレベーターを舞台にした短編映画を制作しており、CUBEの初期DVDに収録されていたりする。

マンションのエレベーターに乗っていた小川順は気を失う。目を覚ますと、そこにはイカつい風貌の安井、ゴスロリ少女、ジャージ姿の牧原が一緒に乗り合わせており、4人は突如止まったエレベーターに閉じ込められていた。非常ボタンは壊れているし、携帯電話の電池も切れている。牧原は触れるとその人の記憶を読み取れる超能力を持っており、みんなに触れることでさまざまな事実が浮き上がってくる。

シナリオは良く出来ていてお見事。
意外性のある展開の連続で何度もビックリさせられた。

ただ密室もののワン・セット・ドラマなので、チープ感はかなり強い。
いくらシナリオに力が入っているとはいえ、100分はという上映時間は長尺に感じさせられる。

YouTuberのヒカルが「背景が変わらない動画は飽きられやすくて長時間観られない」
なんてことを言っていたが、映画でもそれは言えると改めて実感した。

一応、中盤以降は回想シーンであったり、エレベーター外のシーンも多くなってくる。
それでもチープ感は否めない。
元芸人の堀部圭亮が監督ということもあって、俳優の演技がオーバーでコントを観ているように見えるのだ。
衣装も安っぽいし、それに併せて展開も少年漫画的な極端さがある。

このあたりで好みが分かれそう。
私はそんなに好みではない。映画なのでもう少し自然な演出で観せてほしかった。
TVの2時間ドラマだったら納得である。

それとキャラクターの魅力の乏しさも気になる。
登場人物たちは、ほぼ全員が裏の顔を持っている。
が、それはシナリオの展開に必須なもので、キャラクターの魅力に加算される類ではない。

もっと言うとわかりやすい善人が出てこないので、誰にも感情移入ができなかった。
結局のところ悪い行動を起こす悪役でも、動機が人助けなどの善意によるものであれば、人は感情移入できる。
だが、悪人ばかりなので、キャラクターに魅力を感じることができず、誰ひとり好きになれなかった。
キャラクターの成長・変化もなくはないがおまけ程度。クライマックスではカタルシスを覚えるような要素はない。

鑑賞後感は『恋の渦』にものすごく似てる。

とにかくシナリオの展開は素晴らしかったけど、映画としての魅力は薄い。
いくら脚本が上手くても、キャラクターが魅力的でなかったらその映画を好きになれないことを再認識した。

悪夢のエレベーターの作品情報

■監督:堀部圭亮
■出演者:内野聖陽 佐津川愛美 モト冬樹 斎藤工 芦名星 本上まなみ
■Wikipedia:悪夢のエレベーター(ネタバレあり)

悪夢のエレベーターを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(見放題)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:-
※2020年2月現在

-⑦なぜやったのか?

執筆者:

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。