映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

②金の羊毛

映画『ファイナル・アワーズ』ネタバレなしの感想。地球滅亡まで残り12時間、男は道中で知り合った少女の父親探索に協力する

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■評価:★★☆☆☆2.5

「そして、父になる」

【映画】ファイナル・アワーズのレビュー、批評、評価

地球最後の日、いわゆる終末世界を舞台とした映画となる。
なぜ終末世界や荒廃した世界は、こうも人を魅了するのか。

ビジュアル的に非現実的でファンタジー色が強いから、とかいろいろ理由はあると思う。
私の意見ではあるが、大きな理由の1つは抑圧からの解放ではないだろうか。

文明が発展すれば、生活は楽になる。
その分ルールも生まれ、人の生活に縛りが発生する。
赤信号で止まらなければいけないし、時間通りに学校や会社に行かなければいけない。

だが荒廃した世界は、社会のルールをも荒廃している。
『○○しなければならない』が存在しないのだ。
つまり、荒廃=自由の象徴ということになる。

巨大隕石が海に墜落。地球が滅亡するまであと12時間となった。そのとき、オーストラリアに住むジミーはゾーイと愛し合っていた。ゾーイはジミーの子の妊娠を伝え、「パーティに行って恋人と会って、妊娠は忘れて」と伝える。ジミーはゾーイを置いてパーティ会場に向かう道中、暴徒に捕まった少女ローズを見かけて助ける。はぐれてしまった父親を探すローズを手助けをするため、ジミーはローズを車に乗せて走り出す。

父になる覚悟を決められなかった男の成長譚。
オッサンと少女コンビの物語は多いが、舞台が終末世界というのは珍しい。

ぱっと思いついたのはPS4のゲーム『the last of us』。
謎の寄生菌のパンデミックが発生し、ゾンビがうごめく荒廃した世界が舞台。
運び屋のジョエルは、感染しているのに発症せず、正気を保った少女エリを然るべき施設に運ぶ仕事の依頼を引き受ける。

余談だがこのゲーム、コーエン兄弟監督作品でアカデミー賞作品賞を受賞した『ノーカントリー』やアルフォンソ・キュアロン監督の『トゥモロー・ワールド』、テレビドラマ『ウォーキング・デッド』など、多くの映画やドラマの影響を受けて作られている。
そのためシナリオがめちゃくちゃすぐれている。
関心があったらプレイしてみるといい。
ゲームシステムもサバイバル感満載でめちゃくちゃ面白い。

映画に話を戻すが、12時間後に地球滅亡が決まっており、道中で遭遇する連中はイカれているやつが多い。
ローズの父親捜しの前に恋人に会うためにジミーはパーティ会場に立ち寄る。
そこはもう欲望うずまく乱交パーティと化していて、そこらじゅうで男女が踊ったり交わりしている。

ふつうにそんな卑猥な場面をローズは目の当りするので、ローズに扮したアンガーリー・ライスちゃんに悪影響がないか心配になってしまった。
倫理的に大丈夫なのだろうか。

この映画、不満点が結構多い。
地球滅亡が決まってるのはいいが、津波が発生したり、地震が起きたり、地割れができたりなど、地球滅亡を予期させる現象を見せて欲しかった。

本編ではとくにそういった地球崩壊現象が見られないので、いまいち緊迫感が伝わってこない。
オーストラリア映画なのでハリウッドと比べて金がないかもしれないが、終末世界を舞台とするなら多少は作りこんでほしかった。

このあたりはハリウッドの破壊王とも言われるローランド・エメリッヒ監督が素晴らしくうまい。
特に氷河期が訪れる『デイ・アフター・トゥモロー』。

マヤ人の予言による地球滅亡を描いた『2012』。

この2本の地球崩壊描写は素晴らしい。

映画に話を戻すが、序盤でジミーは妊娠したゾーイを置いてパーティーにむかう。
この展開もなかなかの違和感を与えられる。
いくら妊娠が受け入れられなかったとはいえ、もうすぐ地球は滅亡する。
本当に直近まで愛し合っていたゾーイを置いていくだろうか。

一応、この時に妊娠したゾーイは浮気相手?で、パーティ会場には本当の恋人がいるとのことらしい。
この設定もさすがに無理がある。
ジミーがクズすぎて共感しづらいので、もう少しいい自然な設定を作ってもらいたかった。

あと、明確な悪役が存在しないのもちょっと物足りない。
ローズの父親探索がこの映画のメインクエストとなる。
地球滅亡へのカウントダウン以外に、あともう1つ、ジミーらの目的を邪魔をする存在がほしかった。

ゾンビがはびこるパンデミック映画では、ゾンビ以外にも生き残りをかけた人間も敵となって目の前に立ちはだかるケースが多い。
2方向から邪魔されると、主人公を応援する熱がより強くなり、ますます画面に食い入ってしまうもの。
もう少し観客の感情を煽ってもほしかったところ。

全体的に、ハリウッドと違ってかなり大人しい作りといった印象を受ける。
同じ白人でも「こうも違うのか」と思ってしまった。

全体的にはつまらないということはなく、そこそこ楽しめる終末系の佳作といった感じ。
時間も八十分とコンパクトなのでサクッと観られて良い。

ファイナル・アワーズの作品情報

■監督:ザック・ヒルディッチ
■出演者:ネイサン・フィリップス アンガーリー・ライス
■Wikipedia:ファイナル・アワーズ(英語)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):83%
AUDIENCE SCORE(観客):64%

ファイナル・アワーズを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:-
※2020年2月現在

-②金の羊毛

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。