映画の海

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②金の羊毛

映画『天才スピヴェット』ネタバレなしの感想。田舎育ちの家族に理解されない天才少年が家出して都会に旅立つ

投稿日:

■評価:★★★☆☆3.5

「親子愛」

【映画】天才スピヴェットのレビュー、批評、評価

『エイリアン4』『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督の現時点(2020年)での最新作となる。
フランスの映画監督だが、もはや天才は劇中に出てくるスピヴェット少年ではなく監督である。

フランスは言わずとしれたファッション大国だ。
パリコレクション、ミラノコレクション、ニューヨークコレクション、ロンドンコレクションは世界4大ファッションショーと言われている。
だが、有名・老舗ブランドの多くが集中しているフランス・パリとイタリア・ミラノが他の追随を許さない状況となっており、実質2強。
フランス:シャネル、バレンシアガ、ジバンシイ、ディオール、ルイ・ヴィトン、エルメスなど。
イタリア:フェンディ、ジョルジオ・アルマーニ、ヴェルサーチ、ドルチェ&ガッバーナ、プラダ、グッチなど。

この2国には傾向があり、フランスはどちらかというと前衛的で、イタリアは保守的と言われている。
『アメリ』にも言えることなのだが、『天才スピヴェット』は実に前衛的な演出が堪能できる素晴らしい映画。
ジャン=ピエール・ジュネ監督はきっと、子どもの頃から豊かな感性に触れて育ってきたのだろう。

アメリカの田舎町・モンタナの牧場で暮らす生まれながらの天才少年スピヴェットは、身も心もカウボーイの父と昆虫博士の母、アイドルを夢見る姉と4人で暮らしていた。だが、みんなに愛されていたスピヴェットの双子の弟の唐突な死に、家族の心にぽっかりと穴が空いていた。ある日、スピヴェットの元にアメリカを代表する研究機関であるスミソニアン学術協会から、最も優れた発明者に贈られるベアード賞受賞の知らせが届く。初めて人に認められることの嬉しさを知ったスピヴェットは、一人でワシントンDCで開かれる授賞式に出席するため、家出を決意する。道中では様々な危険やトラブルを人の助けや自身の明晰な頭脳で突破する。受賞スピーチで、彼は重大な事実を明かそうとする。

圧倒的なセンスを見せつけられた。
ジャン=ピエール・ジュネ監督恐るべしである。

私は正直、『アメリ』はまったくハマれなかった。
観客が置いてきぼりになろうがお構いなしの会話等の演出にまったくついていけなかったのだ。
雰囲気はおしゃれだし、前衛的な演出で斬新さはあったのだが、クセが強すぎて楽しみづらい映画といった印象が強い。

対してこの映画はかなり観客に寄り添って作っている。
私のような『アメリ』が苦手が人でも『天才スピヴェット』は気楽にチャレンジするといい。
まるで別物のようなとっつきやすさがある。

序盤でスピヴェット少年は旅に出る。
本作はいわゆるロードムービーだ。

天才なだけあって、スピヴェット少年は道中に立ちはだかる困難を実にユニークな方法で解決していく。
ここが本作においての見どころの1つとなる。
ただ困難の数が少ないのはちょっと不満。個人的にはもっと見せてほしかった。
そっちのがエンタメ映画としての属性が強くなる。

が、やっぱり監督はエンタメ性より、自分の感性を全面的に押し出す映像作りに関心が強いのだろう。
というのもこの映画、ストーリーは大して強くない。
スピヴェットは旅を通じて、ほんのり成長する程度である。
盛り上がりのある展開もないので、ストーリーに感情が揺さぶられることを期待して観ると肩透かしを食らう。

それよりも、監督の天才的な演出を楽しむことを目的とすると良い。
本来の映画であれば知ることのできないキャラクターの頭のなかをユーモアに視覚的に見せている。
これが新鮮で素晴らしかった。

頭のなか以外にも、主人公以外のキャラの視点の映像も吹き出しのような形で見せたりと、ポップで可愛らしい演出のてんこ盛りである。
この可愛らしさが少年を主人公とした物語と見事にマッチしている。
監督のバランス感覚がお見事である。

さらにロケーションが素晴らしすぎる。
最近だと中国の恋愛映画『初恋のきた道』のロケーションに感激したが、本作はそれにしても匹敵するほどの美しさ。

こういった田舎町の大自然で育ったからこそ、スピヴェット少年の天才っぷりが嫌味なく映る。
これが都会生まれのシティボーイだったら、さぞかし生意気だろう。ただの野原しんのすけである。(埼玉の春日部育ちだけど)
テーマは親子愛と普遍的で新しさはないが、ハリウッド映画にはないオシャレで独特の感性に触れたい人は手に取ってみるといい。

天才スピヴェットの作品情報

■監督:ジャン=ピエール・ジュネ
■出演者:カイル・キャトレット ヘレナ・ボナム=カーター ジュディ・デイヴィス
■Wikipedia:天才スピヴェット
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):76%
AUDIENCE SCORE(観客):70%

天才スピヴェットを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年2月現在

-②金の羊毛

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。