映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『ソウル・サーファー』ネタバレなしの感想。鮫に襲われて片腕を失いながらも、サーファーを目指した女性の実話

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■評価:★★★★☆4

「アイデンティティクライシス」

【映画】ソウル・サーファーのレビュー、批評、評価

13歳のときに鮫に襲われて片腕を失いながらも、サーファーを目指したベサニー・ハミルトンの実話を描いている。
なお、本作のサーフィンシーンのスタントはすべてベサニー・ハミルトン自身が行っている。

そのおかげで、ヒューマンドラマと併せてサーフィンシーンが見応え抜群である。
まるで漫画のように崩れる波の中をくぐるシーンは圧巻で、思わず興奮してしまった。

テーマはアイデンティティクライシス。
アイデンティティとは、自分が大切にしているもの・自分が一番世間に必要とされていると認識し、社会で生きていくための能力を指す。
アイデンティティクライシスはこういった自分らしさを喪失することを意味する。

ハワイで生まれ育ったベサニー・ハミルトンは、サーファーである両親と二人に兄に囲まれ、幼い頃からサーフィンを楽しんでいた。サーフィンのコンテストに優勝したベサニーは、幼馴染であるアラナとともにリップカール(サーフィンスポーツウェア)がスポンサーにつくほど、プロサーファーとしての将来を嘱望されていた。ある日、アラナと彼女の父や兄とともにサーフィンを楽しんでいたベサニーは、鮫に襲われ、片腕を食いちぎられる大怪我を負う。

ずっと半泣きで観賞していた。
この映画を無感情で観るなんて無理がある。

ベサニーが片腕を失うのだが、すぐ失ったものが腕だけでないことに気付く。
自身のアイデンティティまで鮫に噛みちぎられてしまったのだ。

言うまでもなくそれはサーフィンであり、片腕しかない状態で海に入るのはなかなか大変だ。
ケガが治ってからサーフィンを再開するも、幾度も押し寄せる荒波に上手く乗れないベサニーを観ているだけで目頭が熱くなる。
それでもベサニーは決してやめない。

その理由の1つは、ベサニーの両親や周りの友人たちが素晴らしい人格者の持ち主ばかりだから。
みんなはベサニーが挫けさせないように言葉を選び、彼女の未来にエールを送り続けるのだ。
だからベサニーをずっと前を見続けられる。

中でも印象的だったのがライバル・マリーナの存在。
ベサニーが隻腕になる前もマリーナと海のなかでしのぎを削り合っていた。

隻腕になってから大会に出るのだが、マリーナは一切手加減せずにベサニーに立ち向かう。
ベサニーを邪魔してまでマリーナが波に乗ろうとする姿に見兼ねて、親友のアラナが逆にマリーナを邪魔しようとする。
だが、ベサニーはこう叫ぶ。
「何で邪魔するの!? マリーナは私と対等に戦おうとした!」

このシーンを見て、思わず目が潤んでしまった。
ベサニーは自分をマイノリティとして扱ってほしくないのだ。
だから嬉しかった。勝ちに拘る=自分を一人のサーファーとして扱ってくれたことを。

マリーナというキャラクターはおそらく創作だろう。
だが、この物語においていい存在感を残していた。

障害者をテーマとする物語は感動ポルノになりがちだ。
感動ポルノとは、障害者が障害を持っているというだけで、あるいは持っていることを含みにして「感動をもらった、励まされた」と言われる場面を表している。

マリーナの存在が安直な感動ポルノ映画からの脱却に一役買っている。
とはいえ、親友のアラナも別に悪いわけじゃない。
子供のころからベサニーと仲良かったし、何ならベサニーが腕を失った瞬間を目の前で見ていたのだから。
だからアラナが過剰に同情してしまうことは必然である。誰だってそうなる。

何があっても深刻になってはいけない。
いつだってリラックスして、自分の好きな遊びを楽しむ。
そんな大切な事実を教えてくれる再生の物語となっている。
観た人に元気を与えてくれる内容。

私はこの映画を観て大変感動したのだが、アメリカの批評サイト「rotten tomatoes」のスコアはわりと抑え目である。
理由が気になって調べると、批評家からこのようなコメントが書かれていた。

『この映画は「アーメン」と言うように促します』

ベサニーの再生=神のご加護、といった含みがあると言いたいのだろう。
ベサニーはキリスト教信者であり、確かに食事をとる前に祈りを促すシーンなどは見られた。

宗教に敏感なアメリカ人には引っかかってしまいがちなのだろう。
私は無宗教なので、宗教描写に関してはそういうものかと思って鑑賞した。
かといって、この映画を観て急にキリスト教に入信したいとも思わなかった。
彼女は自身の頑張りで、ケガを乗り越えようと奮闘したのだから。

ソウル・サーファーの作品情報

■監督:ショーン・マクナマラ
■出演者:アナソフィア・ロブ ヘレン・ハント デニス・クエイド
■Wikipedia:ソウル・サーファー(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):45%
AUDIENCE SCORE(観客):75%

ソウル・サーファーを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年2月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。