映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑨組織のなかで

映画『セブン・シスターズ』ネタバレなしの感想。人口過剰により一人っ子政策を強行する近未来で、七つ子として生まれた姉妹を描く

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■評価:★★★☆☆3.5

「人口過多」

【h2】【映画】セブン・シスターズのレビュー、批評、評価

定期的に作られる人口過多のなれの果て系ディストピアSF映画となる。

類似作品で真っ先に思い付いたのが『TIME/タイム』。
人口過剰を防ぐために通貨が時間となり、人々は自分の時間で日常品から贅沢品まで支払う近未来の話。
なかなかぶっ飛んだアイディアで、個人的にはかなり好きな一作である。

私はまだ未鑑賞だが1973年公開の『ソイレント・グリーン』もそう。
舞台は2022年、人口過多によって富裕層と貧困層の分断が顕著となった社会。
肉や野菜は宝石以上に希少価値となり、特権階級を除くほとんどの人間はソイレント社が海のプランクトンから作る合成食品の配給を受けて細々と生きる世界を描く物語となる。
あらすじを読むだけでも面白そうな映画である。いずれは観たいところ。

確かに現在、世界では人口が増え続けている。
世界人口は2019年の時点で77億人を超えており、2050年には100億近くになると予想されている。
電気自動車などの開発・製造・販売をしているテスラ社および、宇宙関事業を行うスペースX社のCEOイーロン・マスクは2050年までに火星に100万人を送り込むなんて宣言しているが、果たして現実世界の未来はどうなるのか。

21世紀半ば。地球は異常気象と人工過剰によって資源が減少していた。戦争や難民問題によって主要国は滅び去り、ヨーロッパ連邦が新たな超大国として君臨していた。さらに遺伝子組み換え作物の影響による多生児の増加によって、強制的な人口抑制が行われるようになっていた。それは2人目が生まれた場合、児童分配局によって親から引き離され、枯渇した地球の資源が回復する日まで冷凍保存されるという一人っ子政策だった。そんな中、セットマン家で七つ子の姉妹が誕生した。政府の目を逃れるため、月曜日から日曜日まで各曜日の名前を付けられた彼女たちは、それぞれが週1日だけ外出し、7人で1人の人格カレン・セットマンを演じていた。だが、2073年のある日、30歳になっていた彼女たち7姉妹の長女マンデーが外出したまま、夜になっても帰宅しないという事態が発生する。

楽しめる映画ではあったが、物足りないと思う箇所もかなり多かった。
特に気になったのが舞台設定。

7姉妹はアパートでの生活を強いられるのだが、外はどのような世界になっているのかがはっきりと説明されない。
ところどころに検問が敷かれていたり、貧困エリアとやらも存在するらしい。
普通の人間が住むエリアと貧困層の具体的な違いも不明である。
7姉妹が今より開放的に生きるため、監視の目が無さそうな貧困層に逃げることはできなかったのか? といった疑問も浮かぶ。
もう少し具体的に舞台設定を提示してほしかった。

『TIME/タイム』はその辺がはっきりと描かれている。
貧困層は政府によって隔離されており、富裕層エリアに行くには時間を支払って検問を通る必要があるのだ。
しかも莫大な時間を支払わないと富裕層に行けない。
実質分断されており、貧困層で生まれたら一生わずかな時間をやりくりしてギリギリの生活を強いられている。

話を戻すが、もし一家族に複数の子供がいると判明したら、児童分配局に連れて行かれて冷凍保存されるという。
人口の問題が解決したら解凍されるということだが、これもちょっと弱く感じる。
いっそのこと、その場で命を奪われるくらいでいいと思う。

「冷凍保存」=延命なので、最悪捕まってもいいのでは? なんて思ってしまった。
もちろ家族とはお別れすることになってしまうのだが。
親からしたら、子供に今の窮屈な暮らしを強いるより、冷凍保存して未来で伸び伸び生きてもらうことを望む人だって出てきそうである。
冷凍保存設定だと政府との対立力が弱くなり、結果的に物語としての弱さに繋がる。
そんな感じで、私としては『TIME/タイム』のほうに面白さの軍配が上がる。

だが、この映画も面白いところは多い。
個性あふれる7姉妹が、それぞれ違った能力を持っているのが良い。
体力自慢な子ややたら明るい子、コンピューターに強い子にリーダーシップのある子など。
それぞれの能力を駆使してトラブルを解決していく流れはエンタメ的で楽しめた。

あと、こういう監視社会下でのストーリーなのでドキッとする展開も多く、スリリングさも楽しめる。
このあたりはドンデン返しなど、大きな見所となっているので詳細は控えておく。
直接見て楽しんでもらいたい。

私は吹き替えで観たのだが、シリアスな展開なのに、それぞれのキャラクターが曜日で呼ばれるのはかなり滑稽で気になった。
水曜ならウェンディと呼んだりするとか、もう少し考えてほしかった。
緊迫感あるシーンで「おい水曜!」って呼ばれているのは何だかコントのよう。

全体的には満足度の高めなSF映画。
こういうユニークな設定のSFは、先の展開を想像してワクワクさせてくれるので良い映画体験となった。

セブン・シスターズの作品情報

■監督:トミー・ウィルコラ
■出演者:ノオミ・ラパス グレン・クローズ ウィレム・デフォー
■Wikipedia:セブン・シスターズ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):57%
AUDIENCE SCORE(観客):67%

セブン・シスターズを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・見放題)○(字幕・見放題)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:○(見放題)
※2020年2月現在

-⑨組織のなかで

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。