映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

③魔法のランプ

映画『フィールド・オブ・ドリームス』ネタバレなしの感想。男が突如聞こえてきた謎の声の通りに野球場を作ると奇妙な現象が起き始める

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■評価:★★★☆☆3.5

「夢、家族愛」

【映画】フィールド・オブ・ドリームスのレビュー、批評、評価

本作は、実在の元野球選手ジョー・ジャクソンが重要人物の一人となるヒューマンドラマとなる。

私は野球経験者だが、野球にはまったく関心がない。
なので”ブラックソックス事件”が何なのかは全く知らなかった。

“ブラックソックス事件”は1919年、MLBのワールドシリーズで起きた八百長事件を指す。
1919年のワールドシリーズで優勢を予想されていたシカゴ・ホワイトソックスがシンシナティ・レッズに3勝5敗と敗退し、レッズがシリーズを制することとなった。

この結果から、シリーズ前から噂されていた賭博がらみの八百長疑惑が真実味を帯び、地方新聞の暴露がきっかけとなって事件が発覚する。
最終的にホワイトソックスの主力8選手が賄賂を受け取ってわざと試合に負けた容疑で刑事告訴された。

とはいえ、事件を深掘ると、一方的に選手を責めると言うわけにはいかない事実も存在する。
ホワイトソックスのオーナー、チャールズ・コミスキーは必要経費すら惜しむドケチな男で有名だった。
当時、他のどのチームより低賃金でプレイさせられていたホワイトソックスの選手たちはこうした仕打ちに耐え兼ね、賭博の主導者の誘いに乗ってしまった背景がある。

問題のシリーズから約1年後、選手らは大陪審からの審問に対して八百長を認めた。
陪審員らは被告人らに対して同情的であり、無罪評決を下した。
だが、結果的に8選手は球界から永久追放され、二度とグラウンドに立つことができなくなった。

そのなかの一人がジョー・ジャクソンである。
現役時代のジョーはチームの看板選手であり、「悲運の8人」の中で最もファンに愛されていた選手だった。
いまだにジョーが本当に八百長に関わっていたかどうかについての議論は尽きない。
彼は事件に関してメディアで一度も発言していないのだと思われる。
結局彼は、テレビで自身の無実を主張するはずだった前日の1951年12月5日に、心臓発作でこの世を去った。

「悲運の8人」は上記のような不公平感から、むしろ悲運のヒーローとして美化され、事件をモチーフに多くの文学作品、映画が生まれることになる。
その一本がウイリアム・パトリック・キンセラ著『シューレス・ジョー』を原作とする本作『フィールド・オブ・ドリームス』である。

アイオワ州の田舎町に住むレイ・キンセラは農業で生計を立てていた。レイは若い時期に父と口論の末に家出をしており、以来父が亡くなるまで一度も顔を合わせなかった。レイはこの失態を心に隅で悔やんでいた。ある日の夕方、レイはトウモロコシ畑で謎の声(If you build it, he will come. = それを造れば、彼が来る)を耳にする。その言葉に強い力を感じたレイは家族の同意を得て、周囲の人々の嘲笑をムシして、生活の糧であるトウモロコシ畑を切り開き、小さな野球場を造り上げる。しばらくすると、娘が夕闇に動く人影を目撃する。そこにいたのは”ブラックソックス事件”で球界を永久追放され、失意のうちにこの世を去った”ジョー・ジャクソン”だった。

冒頭から泣かされてしまった。
映画の頭から泣いた経験は記憶の限りではなかったので、びっくりさせられた。

冒頭で、実在の野球選手ジョー・ジャクソンがなぜか生き返る。
前置きの通り、ジョーは野球を愛する男だが、八百長事件によって球界を永久追放され、二度と野球をすることなくこの世を去った。

そんなジョーが嬉しそうに野球をプレイするのが、見ているこちらまで嬉しくなるのだ。
後悔の念を持ってこの世を去った故人に対する最高の献身である。

言い忘れていたが、映画序盤でジョーについて説明してくれるので、安心して観ていい。
ジョーについて詳しくなくても、誰でもこのシーンが感動できるように配慮されている。

またジョーに扮するレイ・リオッタがいい演技を見せる。
特徴的な目がどこか哀愁が湛えているのと同時に、ただものじゃないオーラが全身から漲っている。
本当にこのオッサン、いい役者である。
映画『ハンニバル』ではとんでもない目に遭うのだが。

ジョーがどんどん仲間を連れてくる下りには笑わせられた。
最初はジョー一人だけがグラウンドに蘇るので、その時点ではレイと一緒に野球を楽しんでいる。
しばらくすると、ジョーが昔の仲間をうじゃうじゃ連れて来て、みんなで練習をするようになるのだ。
オッサンたちが子供のようにはしゃぐ姿が、何だかシュールで笑ってしまった。

だが、こんなオッサンたちを観ているだけで心が動かされる。
なぜなら彼らは、純粋に仲間と野球を楽しんでいるから。
見た目が愛くるしいワンコだろうが、腹の出たオッサンだろうが、心に響くのは彼らの行動からにじみ出る『純粋さ』である。

この映画、感動ポイントはたくさんあったのだが、そんなに評価を高くしていない理由の一つが作家の存在だ。
ちなみに故人の野球選手たちが蘇るのは、起承転結の起。
物語は彼らが蘇ってからが本題である。

レイはちょっとした理由があって、とある世捨て人の作家テレンス・マンに会いに行く。
テレンス・マンの存在がこの世界観とのかみ合わせが悪くて、ずっと引っかかりを覚えながら観る羽目となった。
つまり「このオッサン(テレンス・マン)なんのためにいるんだ?」といった疑問が常に脳内を浮遊していた。

もう少し関連性のあるキャラクターを配置してほしかったし、テレンス・マンの終盤のあの展開もちょっと意味がわからない。
対してドクは非常にこの世界観との融和性が高くて良かった。
ドクもレイがとある理由で会いに行く一人である。

とはいえ、野球にまったく関心のない私だが、ユニークな設定に楽しませてもらった。
イマジネーション豊富なハートフルな物語となっている。
夢や家族愛といった普遍性の高いテーマを扱っているので、対象となるターゲット層は広い。

フィールド・オブ・ドリームスの作品情報

■監督:フィル・アルデン・ロビンソン
■出演者:ケビン・コスナー エイミー・マディガン レイ・リオッタ
■Wikipedia:フィールド・オブ・ドリームス
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):86%
AUDIENCE SCORE(観客):86%

フィールド・オブ・ドリームスを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・見放題)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:-
※2020年2月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。