映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

②金の羊毛

映画『アルゴ』ネタバレなしの感想。アメリカ人外交官が人質に取られ、逃げ出した6人をイランから脱出させる計画を立てる

投稿日:

■評価:★★★☆☆3.5

「家族」

【映画】アルゴのレビュー、批評、評価

1979年から1980年にかけて発生した在イランアメリカ大使館人質事件を題材としたベン・アフレック監督・主演の映画となる。
ベン・アフレックといったら私のなかでは『アルマゲドン』の印象が非常に強い。

私が高校生のときに劇場公開され、当時クラスではアルマゲドンの話題でいっぱいだった記憶が残っている。
何年か経ってDVDをレンタルして鑑賞したのだが、異常なくらいに泣いてしまって、すぐにサントラCDもレンタルしてずっと聞いていたもの。

『アルマゲドン』では重要なキャラクターのA・Jをベン・アフレックが演じている。
今では彼もすっかりオッサンになり、映画監督としての活躍も目立つほどに出世している。

ベン・アフレック監督作品は『ゴーン・ベイビー・ゴーン』のみ鑑賞済み。
ベン・アフレック監督作品の印象として、堅実に作るけど、エンタメ性やユーモアに欠けるといった感じ。
ものすごくマジメそう。
ハリウッド俳優でおなじみの飲酒運転とか薬物なんかはまずやらなさそう。

そう思って調べたら、2015年にアルコールとギャンブルが原因でジェニファー・ガーナーとの離婚。
2018年8月にアルコール依存症に向き合うためにリハビリ施設に入所したらしい。
マジメすぎる故に悩みがちでアルコールやギャンブルに逃げたのだろう。間違いない。

イラン革命により、1979年2月にルーホッラー・ホメイニー率いる反体制勢力がモハンマド・レザー・パフラヴィー国王をイランから追放した。その後、国外に亡命したパフラヴィー元国王をアメリカが受け入れた事実を知って反米デモ隊が反発する。同年11月、反米デモ隊はテヘランのアメリカ大使館を占拠し、52人をアメリカ人外交官を人質に取った。だが、占拠される直前にアメリカ人大使館員6人が大使館からの脱出を図り、近くのカナダ大使公邸に逃げ込んでいた。この事実にイラン新政府は気づいていなかった。CIA秘密工作本部作戦支援部のトニー・メンデスは『アルゴ』という架空のSF映画をでっち上げ、6人を映画製作スタッフに扮装させ、テヘランからの脱出計画を立てる。

作戦を決行してからの緊迫感がすごすぎて、心臓がどうかなってしまいそうだった。
とにかくイランの反体制勢力が恐ろしい。
見せしめのために街中で遺体をクレーンで吊るしたり、日中からその辺で人が撃たれたりと、ひどい有様である。
印象的だったのが、人質に麻袋を頭に被せ、いざ撃つってなったときに『実は空砲でしたベロベロバー』みたいなあざ笑うシーンが地味に辛い。
こんな陰湿な嫌がらせを毎日のようにやられたら、精神的におかしくなってしまいそう。

こんなヤバい国から脱出するミッションである。
カナダ大使公邸に逃げ込んでいる6人は、トニーの脱出計画決行のため、決死の覚悟で外に出る。
だが、アメリカ人ってバレただけでその場で惨い拷問が待っている。
だから6人は必死になって撮影クルーになりきるのだ。

命がけの計画なので、仲間内で揉める揉める。
6人には計画前に、それぞれ偽造パスポートが配られる。
逃げるために飛行機を使うのだが、空港の出国審査を通りぬけるためには、本気で自分を撮影クルーだと思い込み、偽の人間になりきる必要がある。
出国審査のイラン人にどんな質問をされても対応できるように。

だが、「本当にこんな方法で行けるのか」と訝しむ人間と、やるしかないと言い張る人間の対立も生まれる。
もちろん外も敵だらけ。
中でも対立、外でも対立。対立に囲まれる最悪な状況だ。
私がこんな場にいたら、頭おかしくなって酒を浴びたあとに全裸で街に飛び出してしまいそうである。

CIAのトニー、なりをひそめる6人、イランサイドの主に3つの視点が交互に切り替わって物語は進む。
たびたび、イランの子供たちがアメリカ大使館の連中がシュレッダーをかけてバラバラになった書類をジグソーパズルのごとく復元させ、脱出者の顔写真が徐々に浮かび上がる視点も挟まれる。
このシーンがまた観客の緊張を煽る。
事情を知らない子供たちが遊び感覚でやっている雰囲気が、命の危機に瀕するアメリカ人サイドとの対比が効いていて良いのだ。
なかなかユニークな演出である。

こんな感じで作戦決行が近づくにつれてどんどんと緊迫感が高まる。

また偽の映画であるアルゴの内容がシャークネードばりにB級臭が漂っていてちょっと笑える。
しかし、映画クルーになるというプランは彼らは本気なのだ。

ジャーナリストになりきると、バレた時に本当のジャーナリスト連中も吊るされる。
語学教師というプランも立ったが、語学学校はイラン政府によって8ヶ月前に閉鎖されていて教師たちはイランから追い出される。
ボーダーレスな芸術という選択のみが、生存の鍵を握っている。
そのためにアホ映画アルゴの作戦で行くことが決定したのだ。

気になったのが冒頭での説明シーン。
イランの社会情勢を簡単に説明してくれるこのシーンが実に興味深い。
1950年代、モサディクが首相となる。
モサディクは宗教色のない民主主義を目指し、アメリカとイギリスが牛耳っていた石油の国有化に成功する。

だが、アメリカとイギリスが利権奪還のためにクーデターを画策して、モサディク政権を倒してしまう。
この後に国王となったモハンマド・レザー・パフラヴィーが最悪である。
欲望のままに権力をふるい、結果的に国民は飢えてることに。

結果的にこの映画のあらすじにも書いた通り、反体制勢力によってモハンマド・レザー・パフラヴィーも追放される。
イラン情勢は悪化し、在イランアメリカ大使館人質事件も発生する。

ちなみにだが、モサディク政権時代のイランの様子は『海賊と呼ばれた男』で書かれているので興味があったら読むといい。
実は日本がイラン情勢回復に大きな関わりを持っている。
こういった歴史背景があって、今でも日本とイランとの仲は良好である。

話を戻すが、あまり評価を高くしてないのは全体的に地味。
もう少しエンタメ的な演出もほしかった。
堅実に作ってくれるのはいいけど、シリアス一辺倒だと面白みに欠ける。
『目立った減点要素がない=面白い映画』ではない。
アカデミー賞を獲った作品ということで、期待しすぎたかもしれない。
とはいえ良い映画であることは間違いない。

アルゴの作品情報

■監督:ベン・アフレック
■出演者:ベン・アフレック ブライアン・クランストン アラン・アーキン ジョン・グッドマン
■Wikipedia:アルゴ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):96%
AUDIENCE SCORE(観客):90%

アルゴを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:○(見放題)
※2020年2月現在

-②金の羊毛

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。