映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『惑星ソラリス』ネタバレなしの感想。男が理性を持つ海で覆われた謎の星ソラリスに近づくと、命を落としたはずの妻と再会する

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■評価:★★★☆☆3.5

「一度失ったはずの者との愛」

【映画】惑星ソラリスのレビュー、批評、評価

本作はスタニスワフ・レムの小説『ソラリス』を原作とする1972年に旧ソ連で制作されたSF映画となる。
1968年制作のスタンリー・キューブリック監督作品『2001年宇宙の旅』と双璧をなすSF映画の金字塔である。

宇宙のかなたに存在する惑星ソラリス。生物の存在は確認されていないが、理性を持った有機体と推測されるプラズマ状の海と雲に覆われた謎の星だった。世界中の科学者たちから注目を集め、接触を試みるが、いずれも失敗に終わっていた。ある日、ソラリスの軌道上にある観測ステーション「プロメテウス」との通信が途絶えたことから、心理学者のクリスは調査のために派遣される。「プロメテウス」でクリスが目にしたのは、友人である物理学者ギバリャンの遺体、いないはずの人物の痕跡、10年前に自ら命を落とした妻ハリーの姿だった。

【SF映画 おすすめ】で検索して出てきた記事のほとんどにラインナップされる『惑星ソラリス』。
前から気にはなっていたのだが、『惑星ソラリス』=難解な印象が強くて、なかなか手をつけられなかった。

たまたま入会したU-NEXTで配信されていたので思い切って観てみたのだが、意外にも基本的なストーリー展開はシンプルだった。
もっと科学の専門用語が頻出する覚悟を持って観たのだが、そういったシーンは皆無。
ジャンルとしてはラブストーリーだったのも想定外である。

だが、劇中では説明がほとんどない。
なのでキャラクターの言動、およびアンドレイ・タルコフスキー監督の意図を完璧に理解するのは難しい。

さらに、冗長なシーンが多くてかなり睡魔には襲われる。
監督はあえて観客が退屈にさせるような作風を選んだと語っている。
恐らく、その狙いは唯一無二の世界観の構築を目指すためだと思われる。

結果的にその狙いは成功する。
1972年のカンヌ映画祭で審査員特別グランプリを獲得し、SF映画の金字塔の一本として数えられる結果に繋がった。
異常に長い間、BGMのない静謐な映像、馴染みのないロシア語と相俟って、普通の映画とは一線を画す存在感がある。

さらに人知を越えた思考を持つソラリスの海が、死者を無限に生み出すというぶっ飛んだ設定。
このただ者じゃない雰囲気にすっかり魅了された。

物語の舞台が宇宙ステーションに移ると、主人公クリスと天に召されたはずの元妻ハリーとのエピソードが集中的に描かれる。

対して原作は、さらに「人間と意思疎通の取れない生命体とのややこしい関係」も描かれているとのこと。
恐らくソラリスを解明するために、媒体としてコミュニケーションを図ろうとした生命体が人知を超えた思考を持っているのだと思われる。
原作者は『惑星ソラリス』が自身のSF感にそぐわない映像化だったためにタルコフスキー監督ともめたらしい。
そんなに別物なら原作も手にとって読みたいもの。

映画ではラストもなかなか印象的で個人的には好き。
あまりに万人受けしない内容だが、観客に「付いてきたければ勝手に付いてこい」といわんばかりの突き放した物語性も世界観とフィットしていて良い。
分かりやすいエンタメ映画を求める人は避けたほうが無難である。

2002年にハリウッドが『ソラリス』というタイトルでリメイクを制作している。
予告を観る限りだとハリウッド感が強すぎる。
『惑星ソラリス』の異様な世界観に触れてしまった身としては、普通のエンタメを狙ったSF映画としてリメイクされても観る気にならない。

とはいえ70年代制作古い映画ではあるし、チープさも随所に感じられる。
もっとお金をかけて作られたものを観てみたい気持ちもある。
ぜひとも『ボーダーライン』『メッセージ』『ブレードランナー2046』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督に作ってもらいたい。
彼は重厚な雰囲気作りが上手い監督で、近年はSF映画に主に制作している。

ドゥニ・ヴィルヌーヴの新作は『デューン砂の惑星』で、2020年11月20日に全米公開される。
日本で公開されたら絶対に劇場に足を運ぶ予定。
ぜひとも、ドゥニ・ヴィルヌーヴには次作にソラリスのリメイクを選んでくれると嬉しい。

惑星ソラリスの作品情報

■監督:アンドレイ・タルコフスキー
■出演者:ドナタス・バニオニス ナタリア・ボンダルチュク
■Wikipedia:惑星ソラリス
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):95%
AUDIENCE SCORE(観客):90%

惑星ソラリスを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年3月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。