映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑦なぜやったのか?

映画『アルキメデスの大戦』ネタバレなしの感想。巨大戦艦の建造を阻止するため、数学の天才が奔走する

投稿日:

■評価:★★★★☆4

「なぜ大和は作られたのか」

【映画】アルキメデスの大戦のレビュー、批評、評価

東大受験をモチーフとした異色漫画『ドラゴン桜』は一時期、大きな話題となった。
元暴走族出身の弁護士・桜木建二が、経営破綻状態となった私立高校の運営問題を請け負うといったストーリーだ。
進学実績を上げるのが手っ取り早いと考えた桜木は、生徒たちに東大合格の目標を掲げさせる。

桜木が落ちこぼれの生徒たちに受験戦略として教えた勉強法のユニークさが、この漫画のヒットの大きな要因の1つとなる。
2005年には阿部寛、山下智久、長澤まさみ、新垣結衣といったそうそうたるメンツでドラマ化されており、こちらも高視聴率を記録している。
現在続編が連載中。
ドラマも2020年7月期にTBS系の日曜劇場にて放送される予定である。

余談だが三田紀房自身は明大出身で、担当編集者が東大卒だったそう。
その編集者の「東大に受かるなんて簡単ですよ」という言葉に面白さを覚えて『ドラゴン桜』の製作に至った。

三田紀房が『ドラゴン桜』執筆以前から構想を練っていた現在連載中の戦争漫画が『アルキメデスの大戦』となる。

「これからの戦争は航空機が主体となり、巨大な戦艦は不要となる」と考える山本五十六海軍少将は、平山忠道造船中将が計画している巨大戦艦ではなく、対航空機戦闘を考えた空母を建造する藤岡喜男案に賛成していた。だが、平山案は巨大さには釣り合わない安い見積もりを提出しており、不当性を暴き出す必要があった。そこで山本五十六は、100年に1人の数学の天才と謳われている元帝大生の櫂 直(かい ただし)を海軍主計少佐に抜擢する。櫂は部下としてあてがわれた田中正二郎少尉を引き連れ、平山案の見積金額の虚偽を暴くために奔走する。

実在の人物や戦艦が多く登場する作品だが、中身はフィクション。
櫂という人物はあくまで創作である。

フィクションのおかげであろう。
戦争ドラマに良くある顔と名前が一致しないほどの大量のキャラクターたちによる込み入ったストーリーにはなっていない。
キャラは最小限だし、シンプルで分かりやすいストーリーは非常に見やすい。
戦争ドラマが苦手な人は気楽にチャレンジしてみるといい。

そして冒頭のとある戦艦による戦争シーンの迫力は凄かった。
このレベルのCGを日本でも作れるんだなあと感嘆するほどに良くできている。

本作はあくまで敵が提示した戦艦の正しい見積金額の調査が目的となる。
なのでメインストーリーは意外と地味。

キャラクターも誰もが印象が薄いのは気になる。
見終わってから数時間後には忘れてしまいそうなほどに特徴が皆無。

それを補って余りあるほどに主人公・櫂が魅力的。
数字しか信用しない櫂の言動はとても分かりやすい。
初登場時に、料亭で舞妓さんと戯れるシーンから、メジャーを片手にあらゆるものを測る。
櫂は「美しいものを見つけたら衝動的に測ってしまう」癖のある変態なのだ。

誰が観ても櫂の魅力が伝わるように描かれているのは好感が持てる。
まさに櫂に扮した菅田将暉映画である。

意外と音楽の使い方も良かった。
福山雅治主演の人気ドラマ『ガリレオ』のようなミステリアスな音楽がここぞって時に流れる。
これがやたらとテンションをあげてくれる。
この曲が配信で販売されているのならダウンロードしたいくらい。

特記すべきはクライマックスの戦艦造船会議。
ここはかなり大きなマイナス点がある。
この会議の最中に一度、櫂らはピンチに陥るのだが、どう考えても論点がズレている。
ネタバレになるので詳細は伏せるが、ピンチに陥ったとき、山本五十六らはなぜ空母案を提示した理由を強く語らないのだろうか。
鑑賞後にこの箇所を読み返して欲しい。
明らかにただのご都合主義である。

だがしかしである。
そのしょーもないご都合主義を捻り潰すほどの想像を越える展開がこの後に控えている。
これは素晴らしかった。
興奮せざるを得ない素晴らしいシナリオだ。
恐らくこの映画を評価してるほとんどの人は、このラストの展開に心を打たれたのではないだろうか。
不満点はありつつも、エンタメとして良くできた映画。

アルキメデスの大戦の作品情報

■監督:山崎貴
■出演者:菅田将暉 柄本佑 浜辺美波 笑福亭鶴瓶 舘ひろし
■Wikipedia:アルキメデスの大戦

アルキメデスの大戦を見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年3月現在

-⑦なぜやったのか?

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。