映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑥バディとの友情

映画『アンダー・ユア・ベッド』ネタバレなしの感想。親からも名前を呼ばれなかった男が10年前に唯一名前で呼んでくれた女性を探す

投稿日:3月 11, 2020 更新日:

■評価:★★★★☆4

「ゆがんだ愛の形は成立するのか」

【映画】アンダー・ユア・ベッドのレビュー、批評、評価

本作は、主人公が10年前の大学時代に存在感の薄い自分の名前を呼んでくれた女性を探し出す物語。
つまりストーカーである。

ストーカーものは意外と名作が多い。
私がストーカーと聞いてピンと来たのが、1997年に放送されたTVドラマ『ストーカー 逃げきれぬ愛』。

DVD化もされていないので未見の人も多いだろう。
画質は悪いがYOUTUBEにアップされていたので、一応貼り付けておく。こちら

ストーカー男に扮した渡部篤郎がなかなかの粘着質な不気味さを醸していて、インパクトは強烈。
このドラマでブレイクを果たしたのは必然である。
『アンダー・ユア・ベッド』の主人公を演じる高良健吾は渡部篤郎とは一味違ったストーカー像を提示してくれている。

三井直人は親からも学校のクラスメイトからも名前すら憶えられた経験のない孤独な男。三井は今から11年前、大学の講義中に「三井くん」と名前を呼んでくれた佐々木千尋をふいに思い出した。講義後に千尋を喫茶店に誘い、彼女が好きなマンデリンのコーヒーを飲みながら三井が育てているグッピーの話をした。三井は人生で一番幸せだったこの時を思い出し、“もう一度名前を呼ばれたい”一心で、千尋の自宅を探し出す決意をする。だが久しぶりに見た千尋は大学時代の輝かしい面影はなく、今にも消え入りそうな虚ろな表情へと変わり果てていた。三井は千尋が夫・浜崎健太郎から激しいDVを受ける凄惨な毎日を送っている事実を知る。

素晴らしい結末。
知的で美しい締め方を見せてくれてたので満足度はかなり高い。

そもそも序盤から世界観の虜になった。
一度も名前を呼ばれてことのない冴えない男・三井が、かつて一度だけ名前を呼んでくれた女性を探し出してストーカーする。
この三井のストーキング方法がぶっ飛んでいるのだ。

仕事をやめて千尋の家の近所に越して熱帯魚屋を開店させたり、千尋の家に侵入してベッドの下に潜り込んだり(オムツ着用)。
冴えない男による静かな物語なのにハチャメチャに行動力があるので笑える。
「お前、そのエネルギーがあるならモテるための努力に費やせ」と突っ込みたくなる。

このシュールな世界観は唯一無二だ。
こんな世界観の映画を観たことがなかったので、かなりのめり込んで観てしまった。

そもそも序盤に三井の心の声で「俺は親からも名前を憶えられていない」という説明が入る。
この設定自体が現実離れしているので、三井の行動の1つ1つがムチャクチャでも割と受けられるのだ。

そんな三井が初めて千尋のベッドの下に行くときがまた笑える。
その際に流れるフルートか何かのBGMが、まるで荒野を駆け抜けるカウボーイのような扇情的な曲である。
ふざけすぎにもほどがある。

ただ悲惨な描写も多く、R-18指定となっている。
千尋の受けるDVが容赦がないのだ。
苦手な人はかなり多いと思われるので、鑑賞前に注意してもらいたい。
調べたら、まさかの女性監督とのことで驚いたが。

千尋の夫はただDVするだけなのはちょっと気になった。
少しくらい飴を与えても良かったと思える。
というのも、この飴があるからこそ、DVする女性は耐えられてしまうもの。
「彼にもいいところはある」あるいは「私が悪いから彼は私に暴力を振るってしまう」といった思考となる。

ただ序盤からシュール世界として描いているので、このくらい極端のが良かったかもしれない。
つまり監督のジャンル映画として描く宣言であり、本作はリアルなドラマを描く気はさらさらないという意味。

役者陣もハマっていて良かった。
高良健吾のいかにも影の薄い存在感の演技は良かったが、本作は何より佐々木千尋を演じた西川可奈子だ。
大学時代の明るい千尋とはまるで別人のいかにも消え入りそうな現在の彼女の演じ分けは素晴らしい。
体当たり演技は肉体的にも精神的にも辛かったであろう。
良くぞ演じきっていてお見事である。

そして迎える結末。
一体どのようにしてまとめるのかが、見ながらかなり気になった。
私の中では何パターンかイメージしたのだが、どれにも当てはまらない地味に斜め上を行く終わり方を見せてくれた。
これが良かった。

この映画に出てくる登場人物は、誰もがゆがんだ愛を表現する。
思わぬ拾い物となったミニシアター映画。

R-18、R-15指定がかけられた刺激の強い作品はコチラ。

■ミッドサマー

■岬の兄弟

■レッド・スパロー

アンダー・ユア・ベッドの作品情報

■監督:安里麻里
■出演者:高良健吾 西川可奈子 安部賢一
■Wikipedia:アンダー・ユア・ベッド

アンダー・ユア・ベッドを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年3月現在

-⑥バディとの友情

執筆者:


  1. AZU より:

    私はこの映画の監督のつれあいに、過去酷いレイプとストーカーされました。
    20年以上前のこととはいえ、私はそれ以来心療内科の薬を飲み続けています。
    その男はずっとこの監督の脚本を書いていて、主人公姉弟に私と弟の名前をつけ、
    この監督が演出しました。
    だからこんな映画をつくることが許せなくて、SNSに書き込んだら警察に通報されて
    世田谷警察署に呼び出されました。酷い目に合わせたのは男の方なので
    逆恨みなのでしょうが、この監督のこの映画を私は許すことはできません。

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。