映画の海

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⑨組織のなかで

映画『ドッグマン』ネタバレなしの感想。温厚で小心者の男の復讐劇

投稿日:3月 15, 2020 更新日:

■評価:★★★☆☆3.5

「負け犬の底力」

【映画】ドッグマンのレビュー、批評、評価

法外金利の金貸し屋を主人公とした漫画『闇金ウシジマくん』は名言の多さでも有名だ。

「孤独を受け入れろ。美奈。孤独を受け入れないと大人になれない」
「人は損得で決めすぎる。見返りばかり求めていたら究極…。自分の為になるコトしかしない心の狭い人間になる」
「ダメだと自分を責めていれば楽でいられる。でも責めた分だけ卑屈な人間になるよ」

このあたりは多くの人に刺さる良い格言である。
「ギャル汚くん」編で、イベントサークルを作って大金を稼ぎ、成り上がろうと目論むジュンという若者が登場する。
ジュンは必死こいて稼いだ金をケツモチ料と称して搾取する不良の「豚塚」を憎み、彼をこう表現した。

「豚塚みたく力のある不良は地元に残る。自分が優位に立てる場所を築いてふんぞり返っていられっからな!!」

この言葉はやけに印象に残っている。
確かに田舎のヤンキーが都会に出る印象は薄い。
『ドッグマン』はまさに豚塚のようなやっかいな不良男が登場し、主人公の障壁として前に立ちはだかる。

イタリアの海辺にある田舎町。マルチェロは犬のトリミングサロン《ドッグマン》を経営している。質素な店だが、犬をこよなく愛する彼にとっては楽園だ。妻と別れて独り身だが、娘とは定期的に会える。食事やサッカーを一緒に楽しむ地元の友人も多く、マルチェロはささやなか幸せを満喫していた。一つだけある気がかりが、シモーネという暴力的な友人の存在だ。シモーネが空き巣に入れば無理やり車の運転手をさせられたり、ヤクを買わされたあげくに代金を支払ってくれなかったり、散々な目に遭わされていた。小心者のマルチェロはシモーネの要求に拒否できず、利用され支配される関係から抜け出せずにいた。シモーネは地元民からも嫌われており、金を払って、別の人間に彼の命を奪ってもらう計画の話まで出ていた。ある日、マルチェロはシモーネからある儲け話を持ち掛けられる。

まるでマンガでありそうな設定である。
マルチェロとシモーネの関係性をSNSでは「ジャイアンとのび太」と形容されていた。
私もそう思ったし、もっとリアルに表現するならば豚塚とジュンのような切りたくても切り離せない田舎特有の主従関係である。

とにかく本作の見どころはキャラクターにある。
良かったのが動物理論を用いてキャラクターを描いていたところ。
つまりこんな感じだ。

・動物に優しい=善人
・動物を粗雑に扱う=悪人

上記のような描き分けをして、自然とキャラクター性を観客に植えつけている。
例えばシモーネとその仲間たちは空き巣に入った先の家で、うるさかったチワワを冷凍庫にぶちこんでしまう。
最低である。

マルチェロはドッグマンというトリミングサロンをやっており、この時点でワンコ好きなのがわかる。
さらにチワワの話を聞き、運転をさせられていたマルチェロはシモーネらを車から降ろしたあと、わざわざ彼らが空き巣した家に戻って忍び込んでチワワを蘇生までさせるのだ。
どんだけ良い男なんだって話である。

マルチェロはチビでガリガリの貧相な男。
そんなマルチェロが一生懸命、大型犬を世話をしている姿がやけに滑稽に見えてカワイイ。
不遇ならがも、一生懸命に生きるマルチェロを観客は自然と好きになる。

こんな感じでキャラの描き方が巧みで素晴らしい。
奥さんとの間の娘も可愛らしくて、気づいたらマルチェロを応援していた。

個人的にストーリーは満足度が低かった。
シンプルすぎるし、特に目を見張ったような展開もないままに終わってしまったので残念である。

クライマックスはぶっ飛んだ展開を迎えてくれるが、予想の範疇である。
もう少し想像の斜め上を行く流を見せて驚かせて欲しかった。
何ならマルチェロも幸せになりたかったら、闇金ウシジマくんのジュンのように都会に出たらいいのにって思える。
なぜ地元に固執するのかを描いていないので、このあたりにも違和感を覚える。

全体的にはキャラクターが魅力的だったので結構楽しめた。
ストーリーもわかりやすいので人にもおすすめしやすい内容。

スカっとする復讐劇はコチラ。

■レッドスパロー

■ミスミソウ

ドッグマンの作品情報

■監督:マッテオ・ガローネ
■出演者:マルチェロ・フォンテ エドアルド・ペッシェ アリーダ・バルダリ・カラブリア
■Wikipedia:ドッグマン
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):84%
AUDIENCE SCORE(観客):78%

ドッグマンを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年3月現在

-⑨組織のなかで

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。