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映画『毒戦 BELIEVER』ネタバレなしの感想。麻薬取締官が誰も姿を知らない麻薬王”イ先生”を追う

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■評価:★★★☆☆3

「信じられる存在がいる幸せ」

【映画】毒戦 BELIEVERのレビュー、批評、評価

『ザ・ミッション 非情の掟』『ターンレフト・ターンライト』『エグザイル/絆』のジョニー・トー監督による2013年公開の香港映画『ドラッグ・ウォー 毒戦』のリメイクとなる韓国映画となる。

麻薬取締官のチョ・ウォノは、アジア最大の麻薬組織のトップに君臨する“イ先生”を長年追跡していた。だが、イ先生は誰も顔を知らない伝説の麻薬王だった。ある日、ある日、麻薬製造工場で爆破事故が発生する。事故現場には、「ラク」という名の青年がかろうじて生き残っていた。ウォノは組織に捨てられたラクと手を組み、薬物中毒の巣窟である「狂人区」で潜入する。

設定が魅力的で惹かれる。
誰も姿を見たことのない麻薬王イ先生を追いかける、というシンプルなコンセプトの内容。

「イ先生の正体は誰なのか」といった謎解き要素に引っ張られて物語が展開されていく。
だが、最後まで観た限りだとドラマの比重が強い印象。
副題にもなっている『BELIEVER』が本作のテーマとなり、クライマックスでこの言葉の意味が観客に突きつけられる。

主人公のウォノはイ先生を追う道中で、さまざまなヤバい狂人と遭遇する。
特にインパクトが強かったのはハリムという中国の麻薬王の男。
分かりやすいぶっ飛んだ男で、こいつとの初接触の際は緊張感で息が止まりそうだった。
ハリムの奥さんも彼に負けじとイカれていて、チチを見せるはヤクを決めて性交を楽しむわのやりたい放題である。

本作は登場人物が多く、ストーリーも入り組んでいる。
序盤の潜入捜査が始まる辺りはちょっと状況が掴みづらい。
潜入して、どのような経緯でイ先生に到達するのか、という作戦内容がいまいち分かりづらいのだ。
私の脳ミソがチンパンジー並みだからかもしれないが。
ただ、大枠はイ先生に近づくシンプルな目的なので、ストーリーについていけなくなる心配は不必要。

あと、ハリムと彼の奥さんのインパクトが強すぎて、他のキャラクターが霞んでしまってるのは残念。
ハリム以外にも他に二人、狂人という設定の男が出てくるんだが、観終わって数時間後には顔も忘れるレベルである。

さらにイ先生への期待値が上がりすぎて、満を持して登場しても何も驚かないという。
もう少しうまくやって他のキャラも立ててほしかったところ。
良くも悪くもハリムのキャラが立ちすぎている。

正直、テーマがそこまで私には響かなかった。
これはイ先生のキャラクターの弱さにも直結する。
本作は「信じられる存在がいる幸せ」を説いているが、本当にそんな存在がいるからといって幸せになれるだろうか。

私は基本的に人に期待する行為を辞めている。
期待しても、人は思い通りには動くケースは少ない。
期待すればするほど、結果的に自分が疲れるだけである。

人間関係が不得意な人の特徴は知っているだろうか?
人との距離感を詰めすぎがちな人ほど人間関係で病みがちだという。
つまりは期待だ。
相手依存と言ってもいい。
「信じる」とは実に聞こえのいい便利な言葉である。
内実、相手に責任転換しているだけである。

私が大切にしている考えの1つに自分を信じることがある。
自分を信じて、何事も自分で責任を取る。つまり自立。
なので信じられる存在がいようがいまいがどっちでもいい。
幸せかどうかは自分が決めるということ。

イ先生の問題点は、自分の欲望ファーストな麻薬組織というアウトローの世界で生きているからではないだろうか。
社会貢献につながるまっとうな仕事に邁進していたら「信頼」に葛藤せずに済む。

本作はテーマ選びに失敗している。
もう一歩、踏み込んでもらいたかったところ。
本当に頂点に到達できる人間は「信頼」の扱いを熟知しているはず。
そういった観点からイ先生のキャラクターは弱い。むしろ若干のザコ感すらある。

とはいえ、さすがはサスペンスが得意な韓国なだけあってスリリングで重厚感のある雰囲気は楽しめる。
邦画にはない緊迫感があって良い。
余談だが、本作はハリムを演じた俳優キム・ジュヒョクの遺作となる。

悪役、あるいは敵組織が魅力的な映画はコチラ。

■ゲット・アウト

■ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦

■宮本から君へ

■ホテル・ムンバイ

毒戦 BELIEVERの作品情報

■監督:イ・ヘヨン
■出演者:チョ・ジヌン リュ・ジュンヨル キム・ジュヒョク チャ・スンウォン
■Wikipedia:毒戦 BELIEVER
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):82%
AUDIENCE SCORE(観客):65%

毒戦 BELIEVERを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年3月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。