映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

ドキュメンタリー

映画『フリーソロ』ネタバレなしの感想。男が1000mの岩壁を命綱を使わずに登るドキュメンタリー

投稿日:

■評価:★★★★☆4

「なぜ命を懸けるのか」

【映画】フリーソロのレビュー、批評、評価

多くの人が小学校の遠足で山に登った経験があるだろう。
喉はカラカラに乾くし、延々と歩き続けるだけで「何が楽しいんだ」と心の中で愚痴りながら登っていた思い出が懐かしい。
小学校6年間だけで10回近くは登った気がする。
何であんなに登らされていたのだろうか。未だに謎である。

年を重ねるごとに自然の美しさに価値を感じるようになった。
最近はキャンプなどのドラマが良くTVで流れている影響もあって、たまに山に向かいたくなる。
今思えば、登頂部でかきこんだ弁当は最高に美味かった。

登山にはいろんな種類がある。
良く耳にする「クライミング」という言葉は登る行為を指す。
岩壁を登る「ロッククライミング」、氷壁であれば「アイスクライミング」。木登りを指す「ツリークライミング」なんていう言葉もある。(木登りでいいじゃん)

ロッククライミングは安全確保のために命綱をつけて登る。
ロッククライミングの中でも、確保用具を使わずに登る行為を「フリーソロ」という。

当然、フリーソロは失敗すれば地面に落下する。
過去に多くの死者を出している危険なスポーツだ。

『フリーソロ』はロッククライマーのアレックス・オノルドが、2017年6月のエル・キャピタンへのフリーソロの挑戦の様子をまとめたドキュメンタリーである。
第91回アカデミー賞、長編ドキュメンタリー映画賞受賞作品。

フリーソロのクライミングスタイルで世界的に知られるクライマー、アレックス・オノルドには1つの夢があった。世界屈指の危険な断崖絶壁であり、これまで誰もフリーソロで登り切った者はいない米カリフォルニア州ヨセミテ国立公園にそびえる巨岩エル・キャピタンに挑むこと。前人未到のフリーソロのため、幾度の失敗、練習を重ねたアレックスは、2017年6月3日、ついにエル・キャピタンへ挑戦する。

めちゃくちゃ元気を貰えた。
見終わったあとはモチベーション爆上がり。

エル・キャピタンの高さは約1000m。
参考までに、東京タワーが330mでスカイツリーが634mとなる。
いかにエル・キャピタンが化け物じみた巨岩であるかが比較すると良くわかる。

映画の構成として冒頭~80分でアレックスの内面、私生活、チャレンジするエルキャピタンへの準備が描かれ、残りの20分が本番となる。

内面に関しては、アレックスはなぜ、命がけでフリーソロに挑み続けるのかの動機面が語られる。
理解出来る部分と出来ない部分が混在する。

理解出来る部分はネタバレになるのかは微妙なラインだが、伏せておく。
理解出来ない部分に関して言うならば、どんな理由があるにせよ、命を落とす危険性の高いスポーツには手を出せない。
私を含めて、多くの人が共感出来るだろう。
命を落としたら終わりだからだ。
いくら勇気を振り絞ってチャレンジしたとしても、命を落とせばすべてが無になる。
実際にアレックスの友人の多くが命を落としている。

だからこそ、アレックスが魅力的に映る。
自分に出来ない挑戦をする人間を見るだけでとてつもなく勇気付けられるから。

アレックスの私生活の中で印象的だったのは恋人サンニ。
なんと、サンニはアレックスのファンで出版本のサイン会に参加して、その際に連絡先を渡してつながったという。
まさかアレックスのような超人的にストイックな男がファンに手を出すというのは驚きである。

アレックスにとってサンニは適任だ。
アレックスの職業が命がけのスポーツなのを知った上で近づいている。
普通の女性だと、フリーソロをする人間を恋人にしたがらないだろう。
他のどの男よりもあの世に近い存在だから。
好きになればなるほど、命を落とせば辛い。

とはいえ、サンニも普通の女性だ。
鉄の心を持っている訳ではない。
多くの観客はアレックスより、サンニに感情移入するだろう。

エル・キャピタンの準備パートはかなり驚かされた。
私は一度ボルダリングを経験しており、その時に驚いたルールが1つある。
壁に設置された窪みを自由に使って登ってはいけないのだ。

引っ掻ける両手、両足や、その順番までも窪みごとに指定されている。
手足を引っ掻ける窪みやその順番を変えることで複数のルートが作られる。
それぞれのルートによって難易度が異なるのだ。

フリーソロで登るエル・キャピタンもルートがある。(現在70以上のルートが存在する)
アレックスが登るルートは31パートに細分化されていて、最短でも登り切るのに2時間も要する。
恐らくだが、難所別にパート分けされているのではないかと推測される。
しかし2時間も登り続けたら、常人なら腕が動かなくなるだろう。

フリーソロにチャレンジする前、アレックスはロープを使って何度も何度も練習する。
エル・キャピタンの突起や窪みはものすごくわずかで、よく滑らずに行けるものだと感心する。

辛かったのが、アレックスは練習中に何度も手が滑って失敗して落下する。(ロープを付けているので宙ぶらりんになる)
何ならジャンプするパートまで存在する。
観ているこっちは「本当に本番でいけるのか」と心配になってくる。
アレックスからしたら、失敗しやすい箇所を見つけられたほうが対策して準備できるからむしろ良い。
だが、観ているこっちのが心が折れそうになる。

最後の20分。
いよいよ本番である。
手汗が溢れ続けるスリルに満ちた20分だった。
ぜひとも、アレックスの命を懸けた挑戦を多くの人に観てもらいたい。

命懸けのスポーツに挑む人間を描く映画はコチラ。

■フォードVSフェラーリ

■ザ・ウォーク

フリーソロの作品情報

■監督:エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ ジミー・チン
■出演者:アレックス・オノルド サニ・マクキャンドレス
■Wikipedia:フリーソロ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):97%
AUDIENCE SCORE(観客):93%

フリーソロを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年3月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。