映画の海

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⑩スーパーヒーロー

映画『ロシアン・スナイパー』ネタバレなしの感想。309名を射殺した天才女狙撃手リュドミラ・パブリチェンコの半生を描く

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■評価:★★★☆☆3.5

「女性の尊厳」

【映画】ロシアン・スナイパーのレビュー、批評、評価

「達人」と聞くと誰を連想するだろうか。
スポーツ界で言えば元プロ野球選手のイチロー。
お笑い芸人でいえば明石家さんまやダウンタウン辺りは誰もが認める達人だろう。
現代にはさまざまなジャンルで「達人」と呼ばれる人間が存在する。

もちろん戦時中も「達人」と呼ばれ、崇められた人物がいる。
ソビエト赤軍から”白い死神”と恐れられたフィンランドの軍人、シモ・ヘイヘ。

スナイパーとして史上最多の確認戦果542名の命を奪ったと記録されている。
終戦1週間前の1940年3月6日には顎を撃ち抜かれる重傷を負い、後に戦死が伝えられて葬式が行われる。
だが、葬式の最中にヘイヘが生きていることが判明し、1週間後の3月13日に意識が回復する。
もはやゾンビである。

日本にも舩坂弘というアホみたいな軍人がいた。

第二次世界大戦のパラオ=マリアナ戦役の最後の戦いであるアンガウルの戦いに参加した。
アメリカ兵22000人に対し、日本人はなんと1400人。
ただの負け戦である。
そのなかで舩坂は100人以上の米兵の命を奪い、最後には頭に銃弾を打たれて昏倒するも、蘇って帰国したモンスターである。
終戦後は渋谷センター街の入り口にある本屋”大盛堂書店”を創設する。
もはや意味が良くわからない。
余談だが、三島由紀夫が自決の際に使用した日本刀は舩坂が過去に送ったものである。

上記であげた人間は全員が男だ。
戦時中のロシアには、とんでもない女性スナイパーが存在している。
309名の命を奪い、”死の女”と恐れられた天才女狙撃手リュドミラ・パブリチェンコである。

【B】1941年、ナチス・ドイツによるソ連侵攻が始まった。エリート大学生のリュドミラはある日、友人たちと遊びで射撃場に向かった。そこで見せる非凡な射撃の才能を買われ、戦場に身を投じる。狙撃兵として次々と標的を仕留めるリュドミラは、敵からは”死の女”として恐れられ、軍上層部には英雄として讃えられ、戦意高揚の道具・プロパガンダとして利用されてゆく。

309人って、ちょっと信じがたい数字である。
中学校の一学年分以上の人数の命をたった一人で奪ったのだ。
いったいどんな冷徹な女なんだと思って観たが、意外と鑑賞前に描いたイメージとは異なる人物だった。

リュドミラは勉強のことで頭がいっぱいの勤勉家。
男なんてまるで興味がない。
ある日、リュドミラは仕方なく参加したグループデートに際に興味本位で射撃を行う。
射撃は自らの意思でやりたがっており、母もリュドミラの勝気な性格は、軍人の父の血を受け継いでいると語る。

この時の射撃の腕がすごすぎて軍からオファーが来て、そのまま軍人となる。
女性でも能力さえ高ければ軍人になれるというソ連という国にもビックリさせられる。
ここからはリュドミラのサイコな一面が姿を現す。

上司に止められながらも、どんどん前線に向かって積極的に憎きドイツ軍を仕留める。
何なら足を撃ち抜いて動けなくし、じわじわといたぶるキチガイっぷりをみせる。

まるでサイコパスを彷彿とさせるが、映画を観ていると意外と普通の精神を持つ人間でもできるのでは? と思えた。
というのもリュドミラが握る武器はスナイパーライフル。
敵に接近して直接殴るのではなく、あくまで遠方からの射撃だ。
敵をいたぶるという実感が前者に比べたら薄いため、ゲーム感覚で行えた可能性もある。

ソ連によるドイツ=極悪人種といった洗脳教育の影響も強い。
そこにリュドミラの元来のアクティブな人間性と天性の射撃技術が加わって冷徹女へと変貌していく。

一番の見所はここからである。
リュドミラは戦場で恋をする。
いくら豪傑であろうとも、本質的にリュドミラは女性なのだ。

恋愛経験によってリュドミラは変化していくわけだが、なかなか観ていて辛い。
ようやくリュドミラは戦場の本質を知り、精神をすり減らして大人へと成長を遂げていく。

本作は脚本がそんなによくない。
リュドミラの変化を見事に描いてはいるが、観客の感情が揺さぶられるようなシナリオになっていない。
淡々とリュドミラのエピソードが語られていくだけ。
もう少し観客の心が揺さぶられるような起伏のあるシナリオを作って欲しかった。題材が最高なだけに。

ただ、リュドミラのような逞しい女性がソ連にいた事実を知れて良かった。
戦争映画なのでハードな描写はあるが、女性にすすめたくなる一本。

タフな女性が活躍する作品はコチラ。

■ナイチンゲール

■母なる証明

■若おかみは小学生!

ロシアン・スナイパーの作品情報

■監督:セルゲイ・モクリツキー
■出演者:ユリア・ペレシド エフゲニー・ツィガーノフ ジョアン・ブラッカム
■Wikipedia:ロシアン・スナイパー(英語)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):-
AUDIENCE SCORE(観客):56%

ロシアン・スナイパーを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(DVD)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年4月現在

-⑩スーパーヒーロー

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。