映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『タリーと私の秘密の時間』ネタバレなしの感想。育児に疲れた妻が、夜だけのベビーシッターを雇う

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■評価:★★★☆☆3.5

「子を持つ妻の苦悩」

【映画】タリーと私の秘密の時間のレビュー、批評、評価

監督ジェイソン・ライトマン×脚本ディアブロ・コーディのコンビによる3作目の映画。
1作目は妊娠してしまった女子高生の『JUNO/ジュノ』、2作目の『ヤング≒アダルト』では大人になれない30代の女性を描く。

このコンビの特徴は、とにかくユーモアに溢れている。
TVで流れていたら、ついつい最後まで観てしまうような妙に中毒性の高い味がある。
本作も見事に期待に応える世界観に仕上げてくれた。

仕事に家事に育児と、何ごとも完璧にこなしてきたマーロ。3人目の子供が生まれて、ついに心が折れる。そんなマーロのもとに夜限定のベビーシッターがやってくる。タリーと名乗る彼女は年上のマーロにもため口で、ファッションやメイクもイマドキの女子だ。だが、仕事は完璧だった。新生児の扱いはもちろん、荒れた部屋もキレイに整頓してくれる。マーロも笑顔と元気を取り戻し、夫のドリューも大満足。だが、タリーは何があっても夜明け前には姿を消し、身の上話も語りたがらない。果たして、タリーは昼間に何をしているのか。

普通、映画はどっかしらで中弛みしがちである。
特に起承転結の「承」あたりは、上手く感情を揺さぶる展開が作れずにグダったりする。

しかし、本作はそれがない。
とにかく会話が魅力的。

正直、本作はストーリーに劇的な展開は皆無である。
子育てに疲れたマーロがナイトシッターのタリーを雇い、少しずつ心身ともに回復していく。
こんな感じの平和な内容。
私が評価をそこまで高くしていない一番の理由は、ストーリーの起伏に乏しさにある。

だが、凪の中でユーモアの飛び交う温かい世界観が心地良いのだ。
だから監督ジェイソン・ライトマン×脚本ディアブロ・コーディのコンビの映画は、ついついリピートしたくなる。
二人の映画はこれで良い。

キャラクターが不必要に感情的にならないのもいい。
マーロは堅実に、問題と向き合おうとする姿勢を見せる。あくまでクールにだ。
とくにアメリカ映画では、無理やり感情的にぶつかり合うシーンが多くて、私はうんざり気味。
「子供か。落ち着いて相手の話を聞けよ」と心の中で突っ込んでしまう。

特にユーモラスなのは、主人公の主婦マーロ。
生まれたての赤ちゃんや、知的障害を持つ息子に振り回され、思わず発狂するときもある。
だが、すぐに冷静さを取り戻すし、人と接するときはユーモアを絶対に忘れない。
本当に素晴らしい女性である。

満を持して登場するタリーもまた凄い。
凄腕ナイトシッターの名に負けないほどに人間力が優れている。
赤ちゃんの世話をするのはもちろん、常にマーロの立場になって理解を務める。

マーロとの日常会話もそう。
常にマーロ軸で会話を展開させ、よりマーロの本質、つまり強い感情が宿る題材の会話を引き出す。
そして共感を示す。
あまりのコミュ力の高さに、マーロもタリーに対して一瞬で心を掴まれる。

タリーの観察の細かいさも素晴らしい。
マーロの些細な箇所に気づいて指摘して会話展開させている。
つまり、マーロからしたら「自分を見てくれている」という実感を得られ、心を許しやすくなる。

脚本力がすごすぎ。
脚本家のディアブロ・コーディは相当な人たらしだろうな。
人間という生き物を深いレベルで理解している証拠である。
なかなかこのレベルのキャラクターを構築できる脚本家はいないだろう。
きっと、苦労した人生を歩んできたに違いない。

他に特記すべきはマーロを演じたシャーリーズ・セロンの体型。
役作りのために3ヶ月半のあいだに体重を約50ポンド(約22キロ)増量している。
あまりの巨体に開いた口がふさがらなかった。
シャーリーズ・セロンはダイエットが苦手で、体型を戻すのに1年半かかっている。
プロ根性に頭が上がらない。

本作のテーマとして、ライトマン監督は「親になったことで強制的に成長しなければならない女性を描いている」と語る。
本作を見ると、いかにコミュニケーションにおいて、相手を理解する気持ちが大事かがひしひしと伝わった。
私は男だが、絶対にマーロの夫・ドリューのようにならないと心に決めた。

果たして、この世の中で相手の立場になって理解しようと努める人間はどれほど存在するだろうか。

ユーモアに富んだ笑える映画はコチラ。

■ダンスウィズミー

■スウィート17モンスター

■ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん

■純喫茶磯辺

タリーと秘密の時間の作品情報

■監督:ジェイソン・ライトマン
■出演者:シャーリーズ・セロン マッケンジー・デイヴィス ロン・リビングストン
■Wikipedia:タリーと私の秘密の時間
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):86%
AUDIENCE SCORE(観客):74%

タリーと私の秘密の時間を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年4月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。