■評価:★★☆☆☆2.5
「壊れた夫婦の切なさ」

【映画】ブルーバレンタインのレビュー、批評、評価
【カップルで観たらNGな映画】といった括りで紹介されるトラウマ映画がある。
以前、このブログでも記事にした『マッチポイント』もそう。
自分のキャリアに限界を感じていたプロテニス選手が上流階級の男と知り合い、彼の裕福な一家と交流をして人生が好転していく話。
一見ステキなサクセスストーリーに見えるのだが、とんでもない展開を迎える。
なかなかぶっ飛んだ映画なので、これから観る人は覚悟したほうがいい。
『ブルーバレンタイン』もトラウマ映画とも称されるため、「いったいどんなものか」と期待して観たが、割と普通の展開を見せる印象。
期待が大きすぎた可能性もあるが。
トラウマ映画と言われるだけあって、観ていてストレスが溜まる一方だった。
ディーンとシンディ夫妻は娘のフランキーと3人暮らし。長年の勉強のすえ、正看護師の資格を取って忙しく働くシンディに対して、夫のディーンは仕事は朝からビールを飲みながらのペンキ塗り。シンディはもっと自分を高める努力をして、きちんとした仕事をすることをディーンに望んでいた。一方でディーンは仕事は最低限で、家族と多く時間を過ごすこそが幸せだと思っており、二人の溝は深まるばかりだった。
一文でこの映画を説明すると、別の男の子供を身ごもった女と男の夫婦の話。
あらすじには記載しなかったが、娘のフランキーはシンディと彼女の元恋人との間にできた子供である。
それでもディーンはシンディとの結婚を決めた経緯を持つ。
ただし、現在の夫婦仲は最悪である。
二人は度々、些細な原因で衝突し合う。
本作は最悪な【現在】と、最高に幸せだった【出会いから結婚当初】の回想を交互に見せる形で展開される。
最初はかなり混乱した。
特に序盤は、時制が現在なのか回想なのか、区別をつけるのが難しい。
せめて過去の映像の色彩を落としたりなど、もう少し分かりやすくしてほしかった。
観ていくうちにディーンに扮したライアンゴ・ズリングの髪の薄さの違いによって、現在と過去を交互に描いているのに気付いた。
この映画、違和感まみれである。
特に違和感を覚えたのは夫婦仲が悪くなった理由だ。
まず、一切、語られない。
夫ディーンは自分の意見、価値観を相手に押し付け、妻シンディは夫のワガママな性格を揶揄する。
いったい何故、冷静に話し合うことができなくなったのかが描かれない。
つまり、描く気がないのだ。
監督が見せたいテーマは、あくまで【壊れた夫婦の切なさ】となる。
だが、いかんせん現在と過去の幸福度のギャップがありすぎて理由が気になる。
観ていて、私はずっとモヤモヤしていた。
頼むからクールになって話し合ってくれと。
いい大人がしょーもない理由で、いちいちすぐに衝突するのが子供っぽくて仕方ない。
見ていてストレスが溜まるレベルである。
私の感想としてはこの映画、脚本が不親切だ。
時間軸は分かりづらいし、キャラクターが誰一人、成長を見せないのも残念。
【壊れた夫婦の切なさ】を描いて観客に何を感じてもらいたいんだ? といった感じである。
役者の演技は良かった。
主演の二人はもちろん、娘が天真爛漫で良い。
そして最後の花火も良かった。ある種の希望を提示しているようにも見えた。
あまりにクセの強い内容で一般受けしないので、人にはおすすめしがたい。
私は好みではない。
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ブルーバレンタインの作品情報
■監督:デレク・シアンフランス
■出演者:ライアン・ゴズリング ミシェル・ウィリアムズ
■Wikipedia:ブルーバレンタイン
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):87%
AUDIENCE SCORE(観客):77%
【h4】ブルーバレンタインを見れる配信サイト
U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年4月現在