■評価:★★★☆☆3.5
「アホ」

【映画】亀は意外と速く泳ぐのレビュー、批評、評価
不条理な脱力系ユーモアを得意とする三木聡監督の作品となる。
私はかなり前に『イン・ザ・プール』を観たのみ。
ほぼほぼ三木聡初心者である。
三木聡ワールドは相当にクセが強く、一部に熱狂的な支持者がいるらしい。
ということで、めちゃくちゃ期待して鑑賞するに至った。
片倉スズメは平凡な主婦。海外へ単身中の夫からの電話は「ペットの亀にエサをやったか?」という話題のみで、退屈な日々を過ごしていた。ある日、スズメは商店街の外れにある石階段の手すりの下部分に貼られた、「スパイ募集」という5ミリ四方ほどのミニ広告を見つける。興味を抱いたスズメは事務所を尋ねる。そこにいたクギタニシズオ・エツコ夫妻に、自分たちはある国のスパイであると告げられる。さらに「平凡な小市民はスパイ向き」ということで勧誘され、活動費として大金を貰う。
とんでもなくイカれた世界観。
不条理エピソードのオンパレードだし、五秒に一回はふざける。
誇張ではなく、常に誰かしらが下らないボケをかます。
フットボールアワー後藤がこの世界に放り込まれたら、開始五分で窒息死である。
例えば主人公の主婦スズメが序盤で、亀のエサでベランダの配管をつまらせたので業者を呼ぶ。
その業者は「過去にトイレにイカ飯をつまらせたヤツがいる。マジで。証拠があるから今から見に来い」とスズメに命令する。
スズメは業者の事務所に連れて行かれて、瓶詰されたイカ飯を見させられる。
意味がわからない。
このエピソードが受け入れられるか否かで、映画を楽しめるかどうかが決まる。
ここで観客はふるいにかけられるのだ。
私は拒否反応を示すことはなかったので、そのまま見続けた。
最後まで観た結果、ずっとこんな感じのノリでエンドロールに到達した。
「何のためにこの映画を作ったのか」とか考えるだけ無駄。
テーマも皆無。
まともにレビューするような映画でもない。
IQを幼児並みに下げて、アホな世界にどっぷり浸かって楽しむのが正解である。
他には、そこそこの味のラーメン屋の店主が実はスパイで、目立たないように命を懸けてそこそこの味を作り続けていたり。
あるいはスズメが好きだった先輩の息子がなぜか川の上流から流れてきて、スズメが飛び込んで助けたり。
90分という、上映時間の短さもちょうど良い。
IQを下げるのも90分くらいがベストだ。
あまりに長時間見せられると、元の自分に帰ってこれない可能性がある。
物語としてはとてつもなく軽いけど、観客が思ってるよりこのシナリオ、時間をかけて制作されている。
というのも、とんでもない頻度でユーモアをぶち込んでくるのだ。
一ヶ所一ヶ所、何パターンも考えて、しっくりきたユーモアのアイデアを採用しているはず。
考えただけでも気の遠くなる作業である。
たまにこの手の作家を見かける。
アホな物語に、本気を出して作る作家を。
良く、有限である貴重な時間を下らないものに注げるものである。むしろ関心するレベルである。
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■シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション
■翔んで埼玉
亀は意外と速く泳ぐの作品情報
■監督:三木聡
■出演者:上野樹里 蒼井優 岩松了 ふせえり 要潤
■Wikipedia:亀は意外と速く泳ぐ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):-
AUDIENCE SCORE(観客):66%
亀は意外と速く泳ぐを見れる配信サイト
U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年4月現在