映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『レスラー』ネタバレなしの感想。没落した中年レスラーが心臓病になり、リングに立てなくなる

投稿日:

■評価:★★★★☆4.5

「アイデンティティ」

【映画】レスラーのレビュー、批評、評価

2010年にナタリー・ポートマンがアカデミー賞の主演女優賞を受賞した『ブラック・スワン』は、映画ファン以外にも知られる有名な作品。
主演に抜擢されたバレリーナがプレッシャーにより、徐々に精神が崩壊していくストーリー。

実は本作『レスラー』は『ブラック・スワン』と姉妹関係に当たる。
ダーレン・アロノフスキー監督はもともと、バレエダンサーとレスラーのカップルを描こうとしていた。

ある者はレスリングは最低の芸術と言い、またある者はバレエを最高の芸術と呼ぶ。
だが、監督はその両方のパフォーマーに対して似通っている事実に驚き、一つの企画として誕生する。

だが、一つの映画にするには情報量が多すぎるため、二つに切り分けられる。
先だって制作し、上映されたのが『レスラー』である。

『レスラー』はカンヌ、ベルリンと並ぶ世界三大国際映画祭である第65回ヴェネツィア国際映画祭の最高賞、金獅子賞を受賞。
審査員長は、主人公のラムを演じたミッキー・ロークの演技を「胸が張り裂けそうになるほどの演技」と評価した。

【B】1980年代に人気レスラーだったランディ(ラム)。二十数年経った現在は、スーパーでアルバイトをしながら辛うじてプロレスを続け、暇があれば想いを寄せるストリッパーのキャシディに会いに行く孤独な日々を過ごしていた。ある日、往年の名勝負と言われたジ・アヤトラー戦の20周年記念試合が決定する。メジャー団体への復帰チャンスに意気揚揚とするラムだったが、長年のステロイド剤使用が祟り、心臓発作で倒れる。現役続行を断念したラムは、疎遠だった一人娘のステファニーと再会して関係を修復し、新しい人生を始める決意をする。

あなたは、今の仕事が好きだろうか。
仕事以外でも、毎日好きなものに囲まれた生活を送っているだろうか。

本作の主人公・ラムはプロレスが大好きであり、かつては大人気レスラーになるほどの才能があった。
今では人気も衰え、バイトをしながらも何とか大好きなプロレスにしがみついている。
でもラムは幸せそうだ。
プロレスが好きだから。
例え人気は地に落ちたとしても、リングに上がる幸せを噛みしめて毎日を生きている。

もし、ラムのように才能がなかったとしても、「好き」で満たされた生活は最高に幸せだ。
ゲームとか小説、マンガ、服、映画、旅行、スポーツ。
「好き」で金が稼げなくても、毎日「好き」に触れられるのなら、心の安寧は保たれる。

冒頭で、ラムは愛するプロレスを失う。
人気レスラーになるため、体を大きくする目的で長年使用していたステロイド剤が原因で心臓が毒される。
結果的にバイパス手術を受け、ラムは激しい運動ができない体になる。
当初のラムは現実を受け止められず、医師の制止を無視して、リングに向かおうとするのだ。

私は激しく共感した。
例えば私だったら、視力を失ったら、大好きな映画や小説、ゲームを楽しめなくなる。
一気に人生は闇に閉ざされる。
苦悩に苛まれること必至だ。

だが、ラムは現実を受け止める。
好きでもないスーパーの仕事を全力で楽しむようになる。
「好き」を失いつつも、ラムは何とか前向きに生きようとしたのだ。

胸熱である。
ラムにとって、再び大好きなプロレスで脚光を浴びる夢をかなえるために日々を邁進していた。
結果的にラムは夢を奪われたのだ。
ラムの辛さは計り知れない。

残酷にも、終盤に差し掛かる辺りで、もっとショッキングな出来事が起きる。
ネタバレになるので伏せるが、このシーンはやられた。
見ている私の心はへし折られた気分だった。
何よりも辛いのが、その悲劇が発生するきっかけがラムの「好き」が絡んでる。
超ド級の切なさである。

ラムへの感情移入が頂点に達し、迎えたクライマックスで私は思考を失った。

気になった箇所が一箇所だけあった。
ラムは中盤で娘・ステファニーとの関係の改善のためにプレゼントを試みる。
肝心のアイテムは、クソださい服である。笑えるほどに。

結果的にただプレゼントするだけで、特に活用されないシーンとなっている。
個人的にこのシーンを伏線に使って欲しかった。
クライマックスに上手く組み込めたと思う。

あるいは伏線として回収したがカットした可能性がある。
というのも、かなり含みのある終わり方になっているため。
だが、この終わり方に心を奪われた。

とにかく、この映画は素晴らしい。
美しい。
全人類が必見レベルの傑作。

「好き」は誰にでもある。
人間にとって、一番の問題は「好き」の可能性を潰すこと。
「好き」で希望・夢を持つから、人生は最高に楽しいのだ。

私は今、小説家になるために、毎日作品を書いて先生に添削をしてもらっている。
小説家になるのはハードルが高い。
稼ぐのも難しい。

でも私は出来ると信じて頑張ってる。
添削してもらっているおかげで、上達の実感もある。
自分を信じて、「好き」に邁進する幸せを教えてくれる宝物のような映画だ。

ダサいのに、気づいたら狂おしいほどに愛しくなるオッサンが主人公の映画はコチラ。

■アンヴィル

レスラーの作品情報

■監督:ダーレン・アロノフスキー
■出演者:ミッキー・ローク マリサ・トメイ エヴァン・レイチェル・ウッド
■Wikipedia:レスラー(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):98%
AUDIENCE SCORE(観客):88%

レスラーを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・見放題)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:-
※2020年5月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。