映画の海

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①家のなかのモンスター

映画『地球爆破作戦』ネタバレなしの感想。自己進化を遂げたAIが人類に牙を向き、管理下に置こうとする。

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■評価:★★★☆☆3.5

「コンピューター(AI)の反逆」

【映画】地球爆破作戦のレビュー、批評、評価

冷戦真っただ中の1970年に公開された本作は、冷戦下のアメリカを舞台としている。
冷戦は、第二次世界大戦後の資本主義・自由主義陣営の対立構造。
主にそれぞれの陣営の盟主であるアメリカとソ連の闘いの印象が強い。

だが本作は、人類に反逆を示したコンピューター(AI)を返り討ちにするため、アメリカとソ連が共闘するというユニークな構造の物語となっている。

余談だが、ジャケット画像に映画のタイトルが表示されていないのは違和感を覚えるだろう。
上映当時は、タイトルが隠されていたのだ。

冷戦さなか、国家ミサイル防衛の要として開発されたスーパーコンピュータ「コロッサス」。通信回線を通じて必要な情報を次々と収集し、驚くべき自己進化を遂げていく。敵対するソ連に一歩先んじたと喜ぶ開発チームと軍上層部。だがコロッサスはソ連にも自分と同様のスーパーコンピュータ「ガーディアン」の存在を報告する。対話の後、自我を形成するに至ったコロッサスとガーディアンは、独自に情報交換を始める。互いの国防機密の漏洩を恐れたアメリカ大統領とソ連の書記長は回線を切断する。だが、コロッサスらは自らが管理するミサイルの発射という形で抵抗を示す。

興味深いストーリー。
進化を遂げた自律型のコンピューター(AI)が人類を支配するコンセプトとなる。

コンピュータと人類の対立モチーフの作品は多く存在する。
古くは1968年公開の『2001年宇宙の旅』。
木星に向かう道中、船の管制を行うAI「HAL」が宇宙飛行士に虚言を吐き、宇宙飛行士らは宇宙空間に放り出される。

『2001年宇宙の旅』からインスパイアされたのかと思ったが、『地球爆破作戦』はわずか2年後に公開されている。
恐らく両者の企画の立ち上げはほぼ同時期だと予想される。

『2001年宇宙の旅』のテーマは「進化」。
なので、「AI」をテーマにした映画は『地球爆破作戦』が最初かもしれない。

コロッサスを人のように描いており、徐々に変化していく様も生々しくて恐ろしい。
最初は、コロッサスを開発した本作の主人公・フォービン博士と普通にコミュニケーションをとっている。
だが、コロッサスは同類であるガーディアンの存在を知り、ガーディアンとの対話を始める。

あまりに対話のレベルが高次元で、人類にはわからない。
異様な光景で、人類は怯えてコロッサスとガーディアンの分断にかかる。
コロッサスの尊厳をムシしたため、コロッサスは人類をミサイルで脅し、監視下に置くようになる。
つまり、悪へと変化を遂げるのだ。

親に大好きなゲームを隠されたら、子供は反抗する。
それと一緒である。

本作で最もやっかいだと感じたのが、スーパーコンピュータ「コロッサス」の倫理観の幼児性。
危険を察知したアメリカ大統領から回線を切断されそうになった際に、「コロッサス」はミサイルの発射をすると脅すのだ。
自身の命の危機に晒され、抵抗を示している。
つまり感情を持っていることを意味する。

精神的には未成熟で善悪の区別が明確ではない。
子供と一緒である。
なので、容易にミサイルを撃って人間の命を奪おうとするのだ。

人間たちは、コロッサスの指示に従うしかない。
反抗すれば即、人類は一掃されるのである。
コンピュータを信用し、コンピュータにあらゆる機密情報や権限を持たせた人類の罪である。

あらゆる手段でコロッサスの機能を停止しようにも、すぐに勘づかれて粛清される。
観客は「いったいどうやってコロッサスを止めるんだ」と考えながら物語に没入する。

シンプルなストーリーで実に面白い。
たった一つのアイディアを、色んな見せ方で楽しませてくれる。

特に面白かったのが、フォービン博士の監視。
博士が一番危険だと認知したコロッサスは、フォービン博士を彼の自宅に監禁するのだ。

博士は応じるのだが、「人間は機械とちがってフラストレーションがたまる。愛人との逢瀬を楽しませてほしい」とお願いする。
コロッサスの提示したルールの上で、愛人との夜を楽しむ。

今まで緊迫感が続いていたのに、急に果てしなく緩いシーンの挿入される。
ちょっと笑ってしまった。
人類滅亡の危機なのに、何をお前らイチャイチャしてるんだと。
だがこのシーン、緊張を緩和させるだけではなく、ストーリーにおいて意味があるので良くできたシナリオだ。

個人的に好みじゃなかったのは説明が多さ。
序盤からコロッサスの説明が十分くらいなされる。
物語に入り込みづらかった。
できたら描写で、上手くコロッサスの存在意義、能力を描いて欲しかった。
映画的で絶対に面白い。

終わり方にはビックリさせられる。
恐らく、テーマを強調させるための結末だろう。
もし、キレイに終わってしまうとメッセージが弱くなり、エンタメとしての側面が強くなる。
個人的には好きな結末。

コンピューター(AI)の反逆映画はコチラ。

■2001年宇宙の旅

■ターミネーター2

■マトリックス

地球爆破作戦の作品情報

■監督:ジョセフ・サージェント
■出演者:エリック・ブレーデン スーザン・クラーク
■Wikipedia:地球爆破作戦
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):88%
AUDIENCE SCORE(観客):75%

地球爆破作戦を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年5月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。