映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑨組織のなかで

映画『お嬢さん』ネタバレなしの感想。金のため、貴族の家に女中として侵入した女が、仕えたお嬢様に心を奪われる

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■評価:★★★★☆4

「男権に抗う女性性」

【映画】お嬢さんのレビュー、批評、評価

2000年前後は韓国映画が日本に次々と輸入され、少しずつ浸透していった時代である。
2003年に制作された日本の漫画が原作の韓国映画『オールド・ボーイ』には、多くの映画ファンが唸らされたもの。

突如として主人公の男が監禁され、15年後に前触れもなく釈放される。
男は復讐のため、自分を監禁して人生をめちゃくちゃにした犯人を探し始める。

いわゆるハウダニットのミステリーだ。
「ハウダニット=なぜやったのか」という意味で、主人公は犯人を見つけ出して動機を探る。
『なぜ、自分を監禁したのか』

この内容があまりに斬新で驚かされた。
『オールド・ボーイ』で韓国映画に魅了された人は多いはず。
今でこそ韓国製サスペンスは定評があるが、『オールド・ボーイ』はその走りとなった映画である。

『お嬢さん』は『オールド・ボーイ』のパク・チャヌクの2016年の監督作品となる。

1939年、日本統治下の朝鮮半島。孤児として生まれ、詐欺集団に育てられた少女ナム・スッキは、捨てられた乳児の世話をして日本人に売って生計を立てていた。ある日、「藤原伯爵」と名乗る詐欺師がスッキらにある計画を打ち明ける。それは、日本人の華族と結婚して「上月(こうづき)」という和名を手に入れた朝鮮人の男の姪・秀子を誘惑して夫となり、上月の亡き妻の莫大な遺産を奪う内容だった。ナム・スッキに上月家の女中として潜入させ、秀子と自分が結ばれる手助けをするように藤原伯爵は提案する。報酬をもとに自由の身になれると考えたナム・スッキは伯爵の話に乗る。

真っ先に魅了されたのは世界観。
日本に統治されていた時代の朝鮮半島が舞台だ。

タイトルにもなっているお嬢さんこと、主人公・秀子が身に纏うのは当時の貴族のものと思われる服装や和服。
クセがある髪型も相俟って、旧時代を感じさせる。
一方で藤原伯爵はビシっと、スタイリッシュなスーツを着用し、秀子に近づく。

見慣れない統治時代の豪邸を彩る美術品に囲まれた彼らは、朝鮮語と日本語の二種類の言語を口にする。
いったいこの世界は、和なのか洋なのか朝鮮なのか。
多文化が混じりあった奇妙にも思える無国籍感が素晴らしいのだ。
この世界観のオリジナリティは凄い。

なおかつ、秀子が魅力的すぎる。
ただ美しいだけでなく、どこか掴み所のない表情には儚さがある。
か弱い中に、どことなく醸す芯の強さが色気となり、多くの登場人物を虜にしていく。
秀子の独特の守ってあげたい感が凄い。
観ていて私まで守ってあげたくなった。
秀子を演じたキム・ミニは恐るべし。

本作の面白いのが百合描写が多い点に挙げられる。
もう一人の主人公で、藤原伯爵の指令で秀子に近づく女中のスッキ。
スッキは仕事として割り切って上月邸に侵入し、秀子に接触を図る。
だが、秀子の想定外の美しさに、瞬く間に秀子に心を奪われるのだ。

なぜスッキが同性である秀子に引き込まれたのかが、説得力抜群である。
秀子の存在が、果てしなく物語をかき乱す。

スッキも多くの登場人物に振り回されるに相応しい、親しみやすさ雰囲気があって良かった。
めっちゃ上白石萌音に見えて仕方なかった。

内容もミステリー色が強く、序盤から多くの伏線が張り巡らされる。

・なぜ、スッキは叔父の書斎には入れないのか。
・秀子が随所に言及する地下室。いったい何があるのか。
・第一部の最後に見せる驚きの結末。裏で何が行われていたのか。

本作は三部構成で描かれる。
一部は女中のスッキ視点。
二部は秀子視点。
三部がすべての謎が明かされる。

邦画とは段違いのクオリティを見せつけられた気分。
世界観、シナリオ、キャラクター、何もかもがハイクオリティー。

私はレンタル版のDVDで視聴したのだが、145分の劇場公開版なのだと後で知った。
セルのブルーレイには168分のスペシャル・エクステンデッド版が収録されているとのこと。
こちらもいずれは鑑賞するかもしれない。

妖艶な女性キャラクターが物語をかき乱す映画はコチラ。

■ヒドゥン・フェイス

■アメリカン・ビューティー

■マレーナ

お嬢さんの作品情報

■監督:パク・チャヌク
■出演者:キム・ミニ キム・テリ ハ・ジョンウ チョ・ジヌン
■Wikipedia:お嬢さん
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):95%
AUDIENCE SCORE(観客):91%

お嬢さんを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:-
※2020年5月現在

-⑨組織のなかで

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。