■評価:★★★☆☆3
「大人の鑑賞に耐えられるルパンを」

【映画】ルパン三世VS複製人間のレビュー、批評、評価
1971年に始まり、2020年現在でも制作され続けるモンキー・パンチ原作漫画『ルパン三世』のアニメシリーズ。
本作は、アニメ版ルパン三世の劇場映画第1作目となる。
ある日、ルパン三世が処刑された。その事実を銭形警部は信用できず、狂気に取りつかれたかのようにルパンが埋葬されているドラキュラ城に向かった。ルパンの遺体に自らとどめを刺そうとするが、突如、爆発が発生。目の前に命を落としたはずのルパンが現れる。ルパン曰く、処刑されたのは偽者であり、銭形はルパンの逮捕のために追いかけるが逃げられる。自分が本物か迷いつつ、ルパンは不二子の依頼で、次元とともにエジプトのピラミッドから「ある石」を盗み出す。その石は、人間の永遠の命を与えるとの言い伝えがある「賢者の石」だった。
印象的だったのは、ルパンが絶対絶命に追いやられるということ。
一度ルパンは敵であるマモウに捕まる。
そこでされる攻撃にはちょっとビックリした。
何というか、子供向けのアニメとは思えない内容なのだ。
直接見て確かめてもらいたい。
あとで調べて判明したのだが、本作は『ルパン三世・TV第2シリーズ』の映画版となる。
広い年齢層向け作風の第2シリーズと違い、第1シリーズは大人向けに作られていた。
本作は「初期の大人向けのルパンが見たいという声にお応えします」という制作趣旨が明示されていたという。
不二子のヌードも惜しげもなく出てきたりもするので、納得である。
余談だが、劇場版の次作にあたる宮崎駿の『ルパン三世 カリオストロの城』では再び対象年齢を15歳前後に改められたそう。
話を戻すが、個人的に印象的だったのは、ルパンが孤独になる展開。
不二子の尻をばっかり追いかけるルパンに、次元や五右衛門が愛想を尽かす。
ルパンは孤独に陥りながらもマモウとの戦いに挑む流れは斬新だった。
今までのルパン三世は何だがんだ、次元と五右衛門を帯同して、敵と戦っていたので。
このあたりも大人向けのニュアンスの一つだろう。
孤独による痛みの描写はシリアス色が強い。
ただ、シナリオ自体は期待していたほどでもなかった。
そもそも本作の敵にあたるマモウがそれほど魅力的ではない。
マモウの不死に拘る欲望は良い。
人間であるマモウだが、なぜか空を飛んで不二子をさらったり、あるシーンでは念力のような能力でルパンを追い詰める。
上記の、謎の超自然設定は違和感が強烈。
こんな超自然が成立するなら、不死も何とかなるのではないか。
最後のラピュタ的なとんでも展開にも驚き。
世界観の設定をもう少し作り込んでほしかった。
『ルパン三世 カリオストロの城』の出来栄えとは雲泥の差である。

私の中では、『ルパン三世 カリオストロの城』を除くルパンシリーズの傑作と言ったら『ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発!』だ。
『PARTIII』の放送終了後、不定期に制作されているテレビスペシャル版のアニメのルパン三世の第一弾。
物心がついて初めて観たルパンだからかも知れない。
ただ、バイバイ・リバティーに出てくる、ルパンに近づく少年は妙に印象的なキャラクターなのだ。
少年と母との関係も頭に残る。
敵である秘密結社スリーメイソンのキャラクターも不気味。

バイバイ・リバティーと比べると、マモウのキャラクターは弱くて物足りなかった。
超自然の力を持つキャラが題材の映画はコチラ。
■クロニクル

■Gガール 破壊的な彼女

■ハンコック

ルパン三世VS複製人間の作品情報
■監督:吉川惣司
■出演者:山田康雄 増山江威子 小林清志 井上真樹夫 納谷悟朗
■Wikipedia:ルパン三世VS複製人間(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):-
AUDIENCE SCORE(観客):54%
ルパン三世VS複製人間を見れる配信サイト
U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年5月現在