映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』ネタバレなしの感想。1860年代に生きる4姉妹が各々の幸せを求めて奮闘する

投稿日:6月 17, 2020 更新日:

■評価:★★★☆☆3.5

「幸せとは」

【映画】ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のレビュー、批評、評価

本作の原作『若草物語』は1868年にルイーザ・メイ・オルコットが執筆した自伝的小説である。
19世紀後半のアメリカを舞台に、ピューリタン(キリスト教のプロテスタントの1グループ)であるマーチ家の四人姉妹を描いた物語。

グレタ・ガーウィグ監督は小さなころから『若草物語』を愛読していた。
ガーウィグは、自分の理想とする女性になれないと葛藤するジョーに強く共感していた。
ガーウィグの前作『レディ・バード』の制作以前から、プロデューサーには「若草物語の脚色は自分がするべき」だと主張し、本作の構想が練られていた。

ジョーはマーチ家の個性豊かな四姉妹の次女。男勝りな活発さがあり、自分を曲げられない性格が衝突を生んだりするが、小説家を目指して、執筆に励む日々を過ごす。控えめで美しい姉メグは女優の才能があったが、メグが望むのは結婚だった。ピアノが大好きな心優しい末妹のベスは病と戦っていた。ジョーとケンカの絶えない次女のエイミーは、お金持ちになるという形で家族の幸せを追い求めていた。共に夢を追い、輝かしい少女時代を過ごした4人。大人になるにつれ、4人は厳しい現実に翻弄されていた。

素晴らしい映画だった。
本作の構造は、バラバラになって自分の夢に奮闘する4人姉妹の現在と、4人が一緒に住んで泣いたり笑ったりして過ごした数年前の過去の回想を交互に映す。

グレタ・ガーウィグの前作『レディ・バード』もそうだが、本作も主人公の目的が明確に語られない。
ジョーには小説家になる夢はある。
だが、集中的に描かれるわけではないし、あまりに多くのサブストーリーが展開される。
ジョーの夢を叶える姿だけを描きたいわけじゃないといった印象を受けるのだ。
そのため、時折「何を描きたい映画なんだろうか」と思って冗長に感じる時がある。

突然ジョーと次女のエイミーが猛烈なケンカをしたり。
あるいはジョーを中心に姉妹と仲の良いローリーという青年が登場する。
だが、ジョーとの恋愛に発展するわけじゃない。
いったい、ローリーは何のために描かれているのか、など。

だが、主人公の目的が明確に描かれないことによって面白くなる点が一つある。
結末が全く読めないのだ。
一体、ジョーはどんな末路を迎えるのか。
幸せになるのか、不幸せになってしまうのか。
幸せなら、一体、何を掴んで幸せになるのか。
まったく想像がつかない。

小説家として成功することがジョーにとって幸せ、であるのは容易に想像がつく。
だが、鑑賞中は、そんなシンプルなメッセージを描きたいとはどうしても思えなかった。

結果的に、結末には結構びっくりさせられた。
「こんなまとめ方をするのか」と。

最近は女性の権利を主張する声を色んな場所で耳にする。
男女同権を主張する人間をフェミニストと呼ぶ。

本作のジョーはまさに女性ならではの紋切型な生き方を逸脱し、自由を求める女性だ。
例えば、ジョーは結婚が女性の一番の幸せだと決めつる世間にうんざりしている。
結婚に興味がないし、自身の夢を叶える道に人生の意味を見いだしており、現在は執筆に奮闘している。

男女同権を主張する映画は、最近は良く見かけるし、何なら食傷気味である。
ディズニーもリメイクの際は、プリンセスの自己主張を強めて描いたりする。
例えば1992年制作のアニメ版『アラジン』ではアラジンとの結婚を求めていたジャスミン。
2019年の実写版では、ジャスミンは結婚より女王として、国王の父を引き継いで政治の道に行こうとする主張を唱える。

最近ではホリエモンが低用量ピルの解禁を発言していた。
仕事をしたい女性が多くなってきている。
だが、生理痛がひどくて仕事が出来ない女性もいる。
そのため、低用量ピルで生理の負荷を軽減したらどうか?といった発言である。
素晴らしい意見である。

私は前から思ってた。
フェミニストの主張が強くなるたび、疲れる女性も多いのではと。
つまり、女性の幸せ=結婚。結婚=仕事を辞めて専業主婦。
といった具合の従来の女性の幸せを追及している女性も一定数はいるはずである。

で、本作だが、実に結末はユニークだ。
ネタバレになるので詳細は伏せるが、ぼやかして言うなら、見事に両方を良いとこ取りしている。
この描き方は新しくて唸らされた。

さらに、家族の素晴らしさも伝わってきた。
大きな困難が前に立ちはだかっても、後ろには家族がいる。
絶大な安心感だ。
私は自分の家族がそれほど好きではないので、このような暖かい家族を見るとうらやましく思う。

家族を描く作品はコチラ。

■万引き家族

■レディ・バード

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語の作品情報

■監督:グレタ・ガーウィグ
■出演者:シアーシャ・ローナン ティモシー・シャラメ フローレンス・ピュー エリザ・スカンレン エマ・ワトソン ローラ・ダーン
■Wikipedia:ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):95%
AUDIENCE SCORE(観客):92%

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年6月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。