映画の海

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②金の羊毛

映画『インサイド・ヘッド』ネタバレなしの感想。5つの感情たちが11歳の少女を幸せにするため、奮闘する

投稿日:

■評価:★★★☆☆3.5

「感情」

【映画】インサイド・ヘッドのレビュー、批評、評価

ピート・ドクター監督は娘の成長や感情の変化に戸惑いを覚え、本作の脚本制作に至った。

大人ですら感情のコントロールは難しい。
そもそも感情の種類は多く、カルフォルニア大学のある学生は感情の種類を調査したところ「2185」という数字が生まれたそう。

無意味な感情は存在しない。
なぜ、その感情は発露するのか。
その感情が自身に何をもたらすのか。
コントロールするには、感情を理解する必要がある。

感情について無知な子供であれば、振り回されるのは必然である。
本作は感情をテーマにしたピクサーの長編アニメ映画となる。

アメリカのミネソタ州にライリー・アンダーセンという女の子が生まれた。同時に、ライリーの頭の中にヨロコビという感情と、少し遅れてカナシミという感情が生まれた。やがて、ライリーの成長と共に、曲がったことを嫌うイカリ、嫌なものを遠ざけるムカムカ、心と体の安全を守るビビリという感情も生まれる。彼ら5つの感情はヨロコビをリーダーとして、ライリーの頭の中にある「司令部」で、彼女を幸せにするために日々、奮闘していた。だが、ライリーを悲しませることしかできないカナシミだけは役に立った試しがない。役割は謎に包まれていた。ある日、11歳のライリーは生まれ育ったミネソタの田舎町を離れ、父親の仕事の関係で慣れない大都会サンフランシスコに引っ越す。登校初日、ライリーがクラスで自己紹介をしていると、司令部のトラブルによってライリーは泣き崩れてしまう。

アイディアが素晴らしい。
擬人化した感情たちが、人間の頭の中に世界を構築して暮らしているという設定。
厳密にいうと、『実は擬人化する感情が人間をコントロールしている人がいました』といった表現のが近い。

コントロールと言うと怖い映画にも思えるが、そこはピクサー・アニメ。
ライリー・アンダーセンという女の子の頭の中に住む主人公のヨロコビらは、あくまでライリーの幸せのため、他の感情たちと協力して奮闘する。

序盤、馴染みのない街に引っ越すことで、ライリーの精神に危機が訪れる。(魔女の宅急便で、キキが魔法を使えなくなった流れを連想した)
ヨロコビがライリーの頭の中に広がる世界を冒険して、ライリーを救うのがメイン・ストーリーとなる。

人間の頭の中、つまり精神世界が舞台。
そのため、さまざまな擬人化したキャラが出てくる。

例えば、用済みになった記憶を掃除する係のキャラ。
つまりは『忘れてしまった記憶はこいつらが掃除していた』というメタファーである。

私が特に感心したのは、ライリーのかつてのイマジナリー・フレンドであったビンボン。
ビンボンはヨロコビの冒険をサポートし、一緒になってライリーを助けようと協力をしてくれる。
ビンボンにはちょっと泣かされてしまった。

イマジナリー・フレンドというのは幼い頃にしか出てこない。
イマジナリー・フレンドの役割はいくつかあるが、主に精神的に未成熟なときに発現し、自身の精神を保つために機能する。
例えば一人っ子の子どもが遊び相手としてイマジナリー・フレンドを無意識に作り出したりなど。

精神の成熟とともに、イマジナリー・フレンドは気づいたら姿を消す。
こういった儚い存在だからこその切なさを、本作は上手く描いていた。

ただ、本作は観ていてスムーズに理解しがたい箇所もある。
ライリーの思い出は、様々な感情に準じた色のボールとなって、ライリーの脳内にある「長期記憶の保管場所」に保存される。
とくに重要な5つの思い出はボール以外にも、島として製造される。
この設定がいまいちしっくりこなかった。

島という形で、視覚的にダイナミックに見せたかったのかもしれない。
だが、特に有効活用されていないのがちょっと残念だった。
せっかく島として表現するなら、ヨロコビに島に行ってもらい、そこで何らかの出来事に見舞われて奮闘してほしかった。
劇中で、あまり生かされてないのがちょっと物足りない。

あとカナシミの存在の秘密もしっくりこなかった。
『カナシミがあるから●●ができるようになる』といった具合に、もう少し分かりやすくカナシミの重要性を明示してくれると嬉しい。
そのため、カナシミの存在が後半になっても立っていないのは可哀想。
ただのネガティブなおばさんキャラといった印象である。

人間の精神って複雑だ。
だからこそ、もう少し直感で分かるくらいに分かりやすく描いて欲しかった。

ただ、アイディアが素晴らしいのに変わりはない。
アニメだが、舞台が精神世界というシビアな題材なので、子供よりも大人に勧めたい。

精神世界をテーマにした作品はコチラ。

■パーフェクトブルー

■インセプション

インサイド・ヘッドの作品情報

■監督:ピート・ドクター ロニー・デル・カルメン
■出演者:ヨロコビ(エイミー・ポーラー、竹内結子)カナシミ(フィリス・スミス、大竹しのぶ)ビンボン(リチャード・カインド、佐藤二朗)
■Wikipedia:インサイド・ヘッド(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):98%
AUDIENCE SCORE(観客):89%

インサイド・ヘッドを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年6月現在

-②金の羊毛

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。