映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑨組織のなかで

映画『ランボー』ネタバレなしの感想。傲慢な保安官から嫌がらせを受けたベトナム帰還兵の男が復讐する

投稿日:

■評価:★★★☆☆3.5

「ベトナム戦争によって負ったアメリカの傷」

【映画】ランボーのレビュー、批評、評価

本作は社会から孤立したベトナム帰還兵ランボーを主人公としたアクション映画となる。
私はベトナム戦争についてまったくの無知。
本作鑑賞後に少し調べてみたので、後述する。

1981年12月のワシントン州。ベトナム帰還兵ジョン・ランボーは、ベトナム戦争時代の戦友に会いに田舎町を訪れる。だが戦友は戦争時に浴びた化学兵器の後遺症で命を落としていた。肩を落としたランボーは食事を取ろうと店を探していると、保安官ティーズルに声をかけられる。ティーズルはランボーがトラブルを起こしそうな犯罪者だと偏見を持って判断し、町から追い出した。それでも町に戻ろうとするランボーを、ティーズルは公務執行妨害をねつ造して逮捕し、保安官事務所へと連行する。

不思議な映画だった。
私はてっきり、『ランボー』は戦場で一人で生きぬく映画かと思っていたが、全然違った。

導入の雑さは、かなり違和感を覚えた。
旧友に会いに、ランボーは田舎町にやってくる。
帰りに飯でも食おうと町をぶらついていると、保安官に目をつけられる。
「お前は町で面倒なことをしそうだな」と難癖をつけられ、無理くり逮捕されるのだ。
あまりに雑すぎる展開に笑ってしまった。

その後、連れていかれた保安官事務所で保安官たちにいたぶられる。
ベトナム戦争で拷問された記憶がフラッシュバックしたランボーは、反射的にキレて反撃するという流れ。
小学生でも考えられそうなムチャクチャな展開にビックリさせられた。

ランボーが強すぎるも笑える。
森に誘い込み、襲ってきた保安官らを罠でハメたり、銃を乱射したりと、容赦なく蹂躙するのだ。
あまりの強さに、ただの弱い者イジメに見えてくる。
もちろん悪いのは先に仕掛けてきたのは保安官ではあるが。

だが、あまりにランボーが乱暴なので、どっちが敵でどっちが味方なのかわからなくなる始末。
何なら隠れていたランボーが、警官の背後にぬっと姿を現れしたときに、おどろおどろしいBGMが流れるのでちょっと笑える。
まるでランボーが悪役である。

物語の本番は中盤から。
信頼されているランボーの元上司が現れ、ランボーの内面が吐露される。
物語の雰囲気がガラっと変わる瞬間である。
ランボーのムチャクチャっぷりが正当化されるのだ。

とはいえ、やっぱり導入はかなり違和感が残る。
あまりに保安官のイチャモンの付け方がムチャクチャすぎるからだ。
ランボーが出征していたベトナム戦争とはいったい何だったのか。

ベトナム戦争とは1955年~1975年4月30日の間に発生した、当時南北に分断されていたベトナムの内戦を指す。
統一後の体制を巡っての対立である。
1964年8月5日、かつて北ベトナムがアメリカ軍の駆逐艦に攻撃を仕掛けた「トンキン湾事件」を口実に、アメリカが爆撃をしかける。
ここからアメリカの本格的な軍事介入の開始である。

なぜアメリカは軍事介入をしたのか?
アメリカの真の動機は、ベトナムの共産化の阻止にある。
当時は、第二次世界大戦以降のソ連を盟主とする「共産主義・社会主義陣営」とアメリカを盟主とする「資本主義・自由主義陣営」の対立である冷戦下。

ベトナム戦争では、南ベトナムにはアメリカのみならず韓国やオーストラリアなどの自由主義陣営が援助をし、北ベトナムにはソ連や中国が物資支援などを行っていた。
ベトナム戦争が代理戦争と呼ばれる所以である。

1968年3月16日、アメリカ陸軍がソンミ村において無抵抗の村民504人を無差別射撃などで虐殺するソンミ村虐殺事件が発生。
さらに、北ベトナムの士官を路上で処刑。
これらの報道映像がアメリカ全土のTVで流れると、アメリカ国内でベトナム戦争を疑問視する声が上がるようになり、反戦運動が激化する。

士官の処刑映像があったので、一応貼っておく。
強烈な内容なので視聴には気を付けてもらいたい。

1973年、アメリカはベトナムからの撤退を決める。
アメリカにとって、初めての敗北となる。
反戦運動の理由から、ベトナム帰還兵は世間から強い反発を受け、就職難などに苦しんだという。

こういった背景を知ると、なぜランボーは保安官から粗雑な扱いをされたのかが納得できる。

『ランボー』を観た退役軍人からはスタローンのもとに、多くのファンレターが届いた。
その中に、「捕虜を題材にした続編を作ってほしい」という内容があり、次作は捕虜をコンセプトに脚本が作られている。

ランボー2(ランボー/怒りの脱出)はエンタメの王様であるジェームズ・キャメロンが脚本を担当しているので、もしかしたら鑑賞するかもしれない。

戦争で追った傷を描いた作品はコチラ。

■ハート・ロッカー

ランボーの作品情報

■監督:テッド・コッチェフ
■出演者:シルヴェスター・スタローン リチャード・クレンナ ブライアン・デネヒー
■Wikipedia:ランボー(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):85%
AUDIENCE SCORE(観客):85%

ランボーを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・見放題)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年6月現在

-⑨組織のなかで

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。