映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『ムーンライト』ネタバレなしの感想。同性愛者の黒人の半生を描く

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■評価:★★★☆☆3.5

「LGBT」

【映画】ムーンライトのレビュー、批評、評価

2016年の映画を対象とした第89回アカデミー賞では8部門でノミネートを受け、作品賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、脚色賞を受賞。
この年の作品賞にノミネートされた作品は以下の通り。
『ムーンライト』
『メッセージ』
『フェンス』
『ハクソー・リッジ』
『最後の追跡』
『ドリーム』
『ラ・ラ・ランド』
『LION/ライオン ~25年目のただいま~』
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

本作は良い映画ではあったが、作品賞を受賞するレベルとは思えなかった。
理由は後述する。

シャロンは、「リトル」という渾名を付けられた、恥ずかしがり屋で人見知りの少年。ある日、いじめっ子たちから隠れている姿を、キューバ人のクスリの売人であるフアンに見つかる。感情的な母ポーラが嫌いで、家に帰りたがらないシャロンをフアンは、ガールフレンドのテレサと共に暮らす家に連れていく。夕食と一夜の宿を許されると、シャロンは二人に心を開く。それからシャロンはフアンと多くの時間を共に過ごすようになる。シャロンはフアンから、「人生は自分で切り開かなくてはならない」と教えられる。ある夜、フアンは顧客の一人がシャロンの母ポーラとクスリを吸っている姿を観てしまう。

非常に繊細な物語。
黒人が出てくる映画といったら、クスリ関係の諍いだったり、争いの絶えない物語が多い印象がある。
あるいは先日観た、奴隷を題材としたセンシティブな社会派の『それでも夜は明ける』だったり。

だが本作は、LGBTをテーマとしたドラマ映画。
主人公は同性愛者の男だ。

序盤ははっきりとは描かれないのが生々しい。
シャロン少年は酷く大人しい。
消極的で、あまり言葉を発さない。

単純に大人しい性格なのもあると思う。
それ以外に恐らく、自分が周りの男子とは違う感性を持っていると、直感的に感じている。
そのため、周りと打ち解けられずにいる。

シャロンは同級生に「お前はゲイだ!」といじめられる。
だが、自分はゲイなのかどうかは分からない。
誰のことも好きになった経験がなく、自分のセクシャリティを明瞭化できずにいる。
だが、挙動が男らしさに欠けているせいで、同級生たちにからかわれるのだ。

母ポーラもクスリのせいで頭がバグっていて、まともな子育てをできる状況ではない。
悩んでも母に相談するのは難しい。
だから、たまたま知り合った売人のフアンしか頼ることできない。
思わず同情したくなる、辛い境遇の少年である。

本作は良い物語だ。
一人の少年の成長を丁寧に描いている。
だが、大きく感情を揺さぶられる内容ではなかった。

私が本作をあまり高く評価していない一番の理由は、シャロンの性格にある。
内向的すぎて、ぜんぜん喋らない。
あまりに受け身すぎるので、境遇に同情はするが、感情移入はできなかった。

せめて、もっと活発に生きてほしい。
その結果、いじめられて苦しんでいるキャラクターのが観客としては応援したくなる。
あまりに根暗なので、どうも好きになり切れなかった。
もちろん、シャロンが根暗な性格になったのは、親の責任でもあるのだが。
自分から積極的に行動して、人生を切り開いてほしい。

舞台は美しかった。
少年期にフアンと訪れる海が美しくて、ステキなロケーションだった。
音楽も良かったし、世界観にはかなり惹かれる。

あと、一人の男の半生を追う大河的ストーリーも壮大で良い。
本作は少年期、ティーンエイジャー期、青年期と3部に分けて描かれる。
シャロンがどのような大人に成長するのかは興味深く見守れた。
個人的には、アカデミー賞を取るほどの映画とは思えないが、観て良かった佳作。

黒人が題材の映画はコチラ。

■それでも夜は明ける

■ゲット・アウト

ムーンライトの作品情報

■監督:バリー・ジェンキンス
■出演者:トレヴァンテ・ローズ(大人のシャロン) アシュトン・サンダース(10代のシャロン) アレックス・ヒバート(少年シャロン) ナオミ・ハリス ジャネール・モネイ マハーシャラ・アリ
■Wikipedia:ムーンライト(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):98%
AUDIENCE SCORE(観客):79%

ムーンライトを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・見放題)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:○(見放題)
※2020年7月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。