■評価:★★☆☆☆2
「恐怖の伝染」

【映画】キャビン・フィーバーのレビュー、批評、評価
本作を監督したイーライ・ロスのもっとも有名な作品は『ホステル』。
ヨーロッパを旅行中の大学生が、ある男から「いい女とやれるホステルがある」との情報を知って向かう。だが、おぞましい悲劇に見舞われるという内容。
あまりに残酷すぎる展開、映像にトラウマになる人も多いはず。
私も当時見たときは頭がおかしくなりそうだった。
だが、この『ホステル』が面白いのは、観終わるとスカっとするのだ。
非常にエンターテイメント性に優れていて、実に計算高いストーリーである。
『キャビン・フィーバー』はイーライ・ロスの監督デビュー作となる。
夏休みに森の中のキャビン(小屋)を借りて、性行やクスリ、酒を欲望のままに楽しむ若者5人。夜、雨も降ってきて小屋に戻ると、突如、血まみれの男が尋ねてくる。見るからに何らかの感染症にかかっているその男を追い返す。翌日、仲間の1人の女性カレンが感染してしまい……。
何を描きたいのかまったく分からない映画だった。
ホラーとしての恐怖も薄味。
恐怖の対象となるのは謎の感染症。
仲間の一人である女性が感染してから、一気に疑心暗鬼になる。
いったい他に誰か感染しているのか。
この後はどんな行動を取るのが最適解か。
逃げるのか。
あるいは感染した仲間を助けるのか。
それぞれ意向の違いで反発し合い、混沌が加速する。
まあ、みんなうるさい。
ちょっとしたことですぐキレる。
本作で一番、受け入れがたかった箇所である。
アメリカ映画で良く見かけるのだが、どうでもいい出来事でキレて強引にストーリーを展開させる。
私はうんざりしている手法である。
本作では例えば、若者連中が助けを求めて、キャビンへの道中にあった雑貨屋に助けを求めて逃げ込む。
だが、なぜか店主は大して若者たちの話を聞かず、キレて銃を持ちだすのだ。
このシークエンスは本当に酷かった。
この映画への期待が一発で削がれた瞬間だった。
「頼むから話を聞いてくれ」と思った観客は多いだろう。
ちなみにフランスやイタリアなど、他の外国映画はこういった傾向は見られない。
いかにアメリカ人が、良くも悪くも感情の起伏が激しいのかを示す。
感情表現が豊かなのは良いが、すぐにキレられるとアホに見えてくる。
本作も多くの登場人物の沸点が低すぎるので、見続けるのもバカらしくなるくらい。
短気に通ずるのだが、何かあるたびに銃を出してくるのもウザい。
アメリカってこんな簡単に、銃を人に向けるのだろうか。
もう少し脚本を練って、観客が納得できるような理由でストーリーを展開させてほしかった。
あとクライマックス、警察が小屋に到着した際のとある行動も酷すぎて笑える。
登場人物のすべてがアホである。
本作は、登場人物の行動に違和感を覚える箇所が多すぎる。
『ホステル』でぶっ飛んだ映像を見せてくれたイーライ・ロス作品なので期待していたのだが、期待外れとなった。
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■バード・ボックス
キャビン・フィーバーの作品情報
■監督:イーライ・ロス
■出演者:ライダー・ストロング ジョーダン・ラッド ジェームス・デベロ
■Wikipedia:キャビン・フィーバー(英語)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):62%
AUDIENCE SCORE(観客):44%
キャビン・フィーバーを見れる配信サイト
U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年7月現在