映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑨組織のなかで

映画『マンディンゴ』ネタバレなしの感想。奴隷牧場を運営する一家の栄光と没落を描く

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■評価:★★★★☆4

「奴隷」

【映画】マンディンゴのレビュー、批評、評価

町山智浩著『トラウマ映画館』で紹介されている1本。
町山さんが11歳~16歳のころにTVで観て、トラウマになった映画群が紹介されている本である。

奴隷牧場を運営する一家の栄光と没落を描く。
黒人差別を題材とした内容は、1975年の公開当時は大きな話題になった。

評論家からは「これは人種差別的なクズだ」「最悪の映画」「下品の一言」といった酷評ばかりが集まる。
一方で、『パルプ・フィクション』『キル・ビル』のクエンティン・タランティーノ監督は「これはポール・バーホーベンの『ショーガール』と並ぶ、メジャー会社が大予算で作ったゲテモノ大作さ」と肯定的な評価を下す。
果たしてどんな内容なのか。

ルイジアナ州の奴隷牧場を運営するファルコンハースト農園は、綿花や農作物の収穫だけでなく、血統のよい奴隷を買い集めて子供を産ませ、売買する「奴隷牧場」でもあった。老当主のマクスウェルの孫を見たさで、息子ハモンドはおじである大地主のウッドフォード少佐の娘ブランチとお見合いさせられ、結婚をする。だが、少佐の家にいた黒人娘エレンに一目惚れし、独断で1500ドルで買ってしまう。さらにハモンドは、ニューオリンズの奴隷市場で偶然にも、黒人の中でもサラブレッドとされるマンディンゴの男を4500ドルで買い取る。結婚初夜、ブランチが処女でない事実を知って幻滅したハモンドは、エレンを抱く。結果、エレンは妊娠してしまう。

想像以上に面白い。
奴隷制度を題材にしているので、面白いという表現は適していない。
だが、ついつい画面に没頭するほどの魅力があるストーリーだった。

特に印象的だったのが、奴隷制度(黒人差別)を肯定する描き方をしている点。
以前レビューをしたアカデミー賞作品賞受賞作品の『それでも夜が明ける』は真逆で、黒人視点で描かれる。
そのため、奴隷制度の理不尽さを批判する内容である。

だが、『マンディンゴ』は白人視点で描いているので、奴隷制度を当たり前のものとして描く。
『それでも夜が明ける』と比べると、なぜ本作『マンディンゴ』が批評家から冷遇されたのかが納得である。

だが、これこそが監督の狙いである。
監督は本作の狙いをこう語る。
「この映画をウェディングケーキのように美しくロマンチックに描きたかった。でも近寄ってよく見るとケーキは腐ってウジだらけなんだ」

なんて絶妙な表現なのだろうか。
あまりに表現が的確すぎて唸らせられる。

農場の息子のハモンドが興味深い。
一応主人公は老当主のマクスウェルとなっている。
だが、中盤以降はハモンド視点で描かれる。

父はリウマチを治すため、黒人少年の腹に足を乗せて移そうとするほどの奴隷賛成派である。
黒人を完全にものとして扱っており、金稼ぎの道具以上には見ていない。
一方でハモンドは奴隷制度に反対する思想を持ち、人間として黒人たちを扱う。

このハモンドの描き方が面白かった。
詳細はネタバレになるので控えるが、最後のあの展開は唸らされる。
お見事すぎるストーリー。

マンディンゴは、黒人の中でも希少種を指す。
そのため、マクスウェルはマンディンゴが欲しくてたまらない。
人間をまるでカードゲームのレアカードみたいな扱いをするあたりが胸糞である。

ハモンドに買われたマンディンゴのミードも絶妙なキャラクター。
まったくミードは感情を見せない。
無表情で、ハモンドに忠誠心を見せる。

ハモンドが恋する黒人のエレン、R(Runner逃亡者)の烙印があるシセロなど。
他の黒人は、奴隷扱いされた黒人としてのステレオタイプな感情を、分かりやすく表に出す。
だが、ミードは徹底してポーカーフェイスである。
観客は、ミードが何を考えているのか興味を惹かれるのだ。
果たして彼は何を思うのか?
ぜひ最後まで見てミードの心の意味を知って欲しい。

しかしまあ、よくこんなぶっ飛んだ映画を作ったものだ。
今、このご時世でも、黒人差別はシビアな問題である。
それなのに70年代に良く、企画が通ったもの。
封印されても仕方ないレベルである。

黒人差別を題材とした傑作はコチラ。

■それでも夜が明ける

■ゲット・アウト

マンディンゴの作品情報

■監督:リチャード・フライシャー
■出演者:ジェームズ・メイソン スーザン・ジョージ ケン・ノートン
■Wikipedia:マンディンゴ(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):26%
AUDIENCE SCORE(観客):65%

マンディンゴを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(DVD)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年8月現在

-⑨組織のなかで

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。