映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑨組織のなかで

映画『ビー・デビル』ネタバレなしの感想。孤島の村で村民に虐げられる女が子供を連れ、脱走に踏み切る

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■評価:★★★★☆4

「人間の醜悪さ」

【映画】ビー・デビルのレビュー、批評、評価

本作は密陽女子中学生集団性暴行事件を含む、3つの事件を題材としたスリラー映画。
3つの事件の共通点は、虐げられた被害者の周りには傍観者がいた。
その傍観者によって、被害者は加害者に仕立て上げられたのだ。

ソウルの銀行員ヘウォンは職場でのトラブルから仕事を休業し、生まれ育った孤島に帰省する。9人しか住民がいない田舎の村で、ヘウォンは幼なじみのボンナムに迎え入れられる。だが、ボンナムは夫や村人に虐げられ、男の慰み者とされていた。ボンナムの置かれる状況を察知するヘウォン。娘と共にソウルに連れてってほしいとお願いされるが、ヘウォンは自らの余裕のない生活が頭をよぎり、断ってしまう。ヘウォンの協力を得られないボンナムは、娘と共に島からの脱走を試みる。

凄いものを見たといった印象。
田舎での悲劇ってことで、連想した映画はいくつかある。
例えば、過疎の進む地方の町で、都会から引っ越してきた少女が同級生達から陰惨なイジメを受ける『ミスミソウ』。

『愛しのアイリーン』は田舎に住む冴えない男がフィリピンに渡り、アイリーンを嫁として連れてくる。アイリーンは横の繋がりを重んじる田舎の村人から弾圧を受ける話。

一見、自然に囲まれた田舎町の住人は温かく、穏やか。
だが、目に見えない歪んだ絆が、時には猛獣よりも恐ろしい牙として襲いかかるのだ。

上記二つはコミック原作なので、どこか滑稽に思える描写もある。
『ミスミソウ』はどんな命を奪い方をするのか、が主題となっている完全なスプラッター映画。

『愛しのアイリーン』は「日本(の農村)の少子高齢化」「嫁不足」「外国人妻」「後継者問題」といった社会問題を盛り込みつつ、滑稽なキャラクターたちが交差するコメディ色の強い映画。

だが、本作『ビー・デビル』はマジなのだ。
本気で人間の醜悪さを見せつけてくる。
だから笑えない。

主人公・ボンナムは快活な色黒な女性である。
内実、村のばーさんたちにパシリにされ、男には性的な捌け口にされる。
村の闇を一人で抱え込む地獄のような日々を強いられる。
旦那はボンナムをDVで支配し、絶対的な地位として君臨する。

とにかく村は男が少ない。
村にとって、若い男は希少価値の高い存在である。
だから男たちは、好き放題のさばっているのだ。

ボンナムは逃げ出したいが、村の人間の監視が鋭くてなかなか決行できずにいる。
じわじわとボンナムの精神は崩壊していく。
この追い詰められていく様があまりに生々しくて、観客は一気にボンナムに感情移入する。

あまりにボンナムのキャラ立ちが凄い。
そのため、もう一人の主人公の銀行員ヘウォンはまったくの空気。
一応、成長する描写もあるが、おまけ程度である。
いっそ、削ってもよかったくらい。

悪役たちのキャラ達も素晴らしい。
人間の邪悪さのみで形成されたようなキャラ造形。
そりゃあ、住民も10人以上増えないわって感じ。
あまりに胸糞すぎるので、「早くこいつらに天罰が下れ!」と祈りながら鑑賞していた。

本作は描写がハードで、R-18指定を受けている。
だが、あまりにパワフルでエネルギッシュ。
もっと名前が知られて良いと思う。
日本語吹き替えが収録されていないほどのマイナー映画なのはびっくり。

本作を撮ったチャン・チョルスはビー・デビル以降も3作品、監督している。
いずれは、ぜんぶ鑑賞したい。

関連作品はコチラ。

■ミスミソウ

■愛しのアイリーン

ビー・デビルの作品情報

■監督:チャン・チョルス
■出演者:ソ・ヨンヒ チ・ソンウォン パク・チョンハク
■Wikipedia:ビー・デビル
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):-
AUDIENCE SCORE(観客):82%

ビー・デビルを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(DVD)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年8月現在

-⑨組織のなかで

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。