映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

④難題に直面した平凡な奴

映画『先生を流産させる会』ネタバレなしの感想。妊娠した先生に嫌悪感を抱いた女子生徒が、流産させる計画を立てる

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■評価:★★★☆☆3.5

「大人を憎む子供」

【映画】先生を流産させる会のレビュー、批評、評価

世の中に「嘘」が嫌いな人は多い。

私も昔から「嘘」が嫌いだった。
ここでいう「嘘」は冗談も含まれる。
面白い冗談は嫌いじゃないんだが、心のどこかではウッと来ていた。
自分が「嘘」つくのも嫌だし、相手に「嘘」を吐かれるのはもっと嫌。
割と数年前まで、「嘘」アレルギーは残っていた。根深い刻印。

なぜなのか。
私は子供のころから、親にたくさんの「嘘」を吐かれて育ってきたからだ。
私にとっては親=「嘘」であり、大人を象徴とする「嘘」を毛嫌いする人間に育った。

親にとっては、ただのポジショントークとしての「嘘」。
子供をコントロールするための「嘘」。
親は軽いノリで吐き続けたのだろう。
だが、子供には関係ない。

2009年、愛知の男子生徒が女性教師を流産させる目的で給食に異物を混入させた事件を起こす。
内藤瑛亮監督はこの事件をモチーフとし、「大人を憎む子供」をテーマに本作の脚本を制作する。

女子中学校教師のサワコは、多感で反抗的な生徒やモンスターペアレントに悩まされていた。ある日、サワコは妊娠する。その事実を知った不良グループのリーダーであるミヅキは、サワコに嫌悪感を抱く。仲間たちと共に「先生を流産させる会」を結成し、サワコへの嫌がらせを敢行する。

想像以上に興味深い映画だった。
テーマを描くため、徹底的に無駄を排除したシンプルな脚本も見やすくて良かった。

ミヅキら女子生徒は日常に退屈し、日々、刺激を求めている。
担任のサワコ先生の妊娠が発覚し、ミヅキは『サワコが性交をした」事実に猛烈な嫌悪感を示す。
ミヅキを筆頭とする女子グループは廃墟のラブホテルに集まり、「先生を流産させる会」を結成するのだ。

やたらと「先生を流産させる会」という言葉に嫌悪感を覚える。
内藤瑛亮監督は「“先生を殺す会”よりも“先生を流産させる会”という言葉のほうが、遥かにまがまがしく、おぞましい。それはなぜなんだろう。そう思ったことが企画の始まりでした」と語る。

私の嫌悪感は明確。
理由は強い大人ではなく、何の抵抗もできない弱い子供(胎児)の命が標的だから。
結果的にサワコは魂レベルで傷を負う。
凶悪である。

会を結成した翌日からのミヅキらは、酷い所業の数々に走る。
サワコの給食に薬品を混入させたり、椅子が壊れるように部品を緩めたりと、やりたい放題。

セックスする=大人=気持ち悪い。
とにかくミヅキは大人を気持ち悪がって毛嫌いし、困らせる。
標的はサワコ先生以外にも及ぶ。

子供が大人を憎しむ心理は非常に理解できる。
私も嘘ばかりついて私をコントロールする親を憎んだ。
何でもかんでも子供に隠し事をする大人には、不信感で溢れていた。
ミヅキが弱者を攻撃する行動には共感できないが、大人に対する負の感情は共感できる。

サワコ先生の、自らに酷い仕打ちをするミヅキらに対する対応は素晴らしかった。
特に薬品事件の直後、サワコはミヅキらを集めてとある質問をする。
これは素晴らしい質問で、思わず唸らされた。

ミヅキもサワコと同じ女性。
ミヅキにとある現象が訪れるのもよかった。
人間は成長する生き物なのだ。

果たして先生を流産させる計画は成功するのか。
直接見て、確かめてもらいたい。
62分という短さなので、サクっとみられておすすめ。

惨い内容ではあるが、共感ポイントが非常に多い印象的な映画体験になった。

大人を敵対視する子供が主人公の映画はコチラ。

■ぼくらの七日間戦争

先生を流産させる会の作品情報

■監督:内藤瑛亮
■出演者:宮田亜紀 小林香織
■Wikipedia:先生を流産させる会

先生を流産させる会を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年8月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。