映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『第三夫人と髪飾り』ネタバレなしの感想。渓谷の里の富豪の元に、3番目の妻と迎え入れられた14歳の少女を描く

投稿日:

■評価:★★★☆☆3

「一夫多妻」

【映画】第三夫人と髪飾りのレビュー、批評、評価

日本を代表とする小説家といったら村上春樹があげられる。
非常に独特な物語を紡ぐ作家で、数多くの映像化作品があるが、どれも成功しているとは言い難い。
小説だからこそ魅力が発揮される物語群である。

だが、『ノルウェイの森』は例外である。
癖のある村上春樹調のセリフをあえて残し、描かれる映像はとても幻想的で美しい。
見事に映像化としての成功を果たした。

そんな『ノルウェイの森』の美術監修をつとめたベトナム人のアッシュ・メイフェアの初監督作品が本作である。

19世紀の北ベトナム。14歳のメイは絹の里を治める富豪のもとに、3番目の妻として迎え入れられる。エレガントな第一夫人には息子がひとり、美しく魅惑的な第二夫人には娘が三人いた。だが一族はさらなる男児の誕生を待ち望んでいた。若き第三夫人がやってきたことで、静かだった里がさざめきたつ。愛憎、哀しみ、裏切り、希望、あらゆる女の感情が、移りゆく季節とともに絡み合う。

田舎の里が舞台なので、てっきり美しい自然に囲まれながらささやかなドラマが展開されるものだと思っていた。
例えば、『初恋のきた道』のような。

だが、思っていた以上に性描写が多くてびっくりした。
10~20分に一度は性描写が挿入されていたレベルである。

冷静に考えれば当たり前だ。
タイトルに含まれる『第三夫人』という言葉。
三人もの女性をめとる時点で、主人の強欲さを示唆しているようなものである。

舞台となる渓谷の風景には息をのむ美しさがある。
2014年に世界遺産として登録されたベトナムの秘境ニンビン省チャンアンが舞台で、世界中から観光客が来る風光明媚な土地。
その上、美しい女性たちの優雅な暮らしを描いているので、アート映画としての水準は高め。
セリフの少ない静かな物語だが、眺めるだけでも心を満たされる素晴らしい映像である。

ただ、私はやはりエンタメ映画が好きなので、もう少しシナリオの起伏が欲しかった。
確かに主要キャラクターの様々な負の感情が混じり、ストーリーが進むにつれて相関関係の混沌化が加速する。
だが、大きな事件自体は頻繁に起こらず、淡々と静かに物語が紡がれる。
映像自体は美しいので観られるが、好みは分かれる内容。

特に第二夫人のスアンが美しい。
モデル出身らしくて、異様な色気を放つ。
このスアンの秘密には、なかなかびっくりさせられる。

この里では、男児を産めないと”奥様”として認定されない厳しい掟がある。
第一夫人には18になる息子がいるが、スアンには娘しかいない。
そんな中、新しくやってきた若き第三夫人。
美しいスアンに葛藤が生まれるのは必然だし、観客は彼女に感情移入する。

一夫多妻は、たとえ旦那が平等に妻を愛してくれたとしても、自分をほかの妻と比べてしまうのが女性の性。
スアンの心の叫びが、あのシーンには集約されていて良かった。
もちろんネタバレに触れるので直接、確かめてほしい。

富裕層を題材とした映画はコチラ。

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第三夫人と髪飾りの作品情報

■監督: アッシュ・メイフェア
■出演者:グエン・フオン・トラ・マイ トラン・ヌー・イエン・ケー マヤ
■Wikipedia:第三夫人と髪飾り(英語)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):87%
AUDIENCE SCORE(観客):65%

第三夫人と髪飾りを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年8月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。