■評価:★★★☆☆3
「大人への通過儀礼」

【映画】ブルックリンのレビュー、批評、評価
先日、KAT‐TUNの亀梨和也が「デビュー前後は、自分でもゾッとするくらいの怖いもの知らずだった。今のほうが毎日不安を感じている」とインタビューに答えていた。
若い頃、根拠のない自信を持って突っ走れる人は多い。
たいがいは、突っ走った先で大きな失敗をし、挫折を経験する。
本当の勝負はここからだ。
歯を食いしばって挫折から這い上がり、再びハードルに立ち向かう必要がある。
子供から大人への通過儀礼のようなもの。
這い上がれた時点で十分な成長だが、ハードルを乗り越えられたら、本当の意味での自信を獲得できる。
つまり根拠のある自信だ。
本作は、そんな挫折に苦悩する少女が主人公の物語となる。
1951年、アイルランドの田舎町。エイリシュ・レイシーは閉鎖的な環境に不満を抱えながらも、母と姉のローズと静かに暮らしていた。妹の将来を案じた姉の計らいで、エイリシュはアメリカのニューヨークで働けるチャンスを手にする。希望にあふれたエイリシュだったが、新天地で待ち構える慣れない生活とホームシック。ある日、同郷の神父の勧めで通い始めた大学で、誠実なイタリア系アメリカ人、トニーとの出会いを果たす。
現実版、『魔女の宅急便』といった感じである。
少女が都会を求め、周りの協力のもと、NYのブルックリンに旅立つ。
夢や希望にあふれた新天地では、慣れない仕事に苦しんだり、恋愛をしたりと、大人への階段となる多くの経験を得る。
まさに『魔女の宅急便』である。
序盤の船の下りは笑える。
10代の女の子が船酔いで腹を壊し、その辺に転がってるバケツをめがけて、迫力のある屁をブー!って鳴らすのだ。
よく、主演のシアーシャ・ローナンはやり切ったと思う。
日本の若手女優はありえない。
橋本環奈が映画『銀魂』にて、鼻をほじっただけでニュースになるレベル。
アメリカ映画ならではの大胆な演技である。
本作はストーリーの満足度がそこまで大きくなかった。
というのも、それほど大きな事件が起きない。
確かにエイリシュにとって新天地による慣れない生活への順応は厳しい試練だ。
だが、誰でも想像できるような展開の連続。
もう少し鮮度の高い、想定外のエピソードがほしかった。
終盤の訪れる、エイリシュの成長のきっかけとなるとある決断を迫られるエピソードがある。
これが、めちゃくちゃ弱い。
ある意味、大ボスとの対峙ではあるが、敵の攻撃も子供みたいなレベルの低さ。
もう少し、大きな事件・エピソードのなかで成長を遂げてほしかった。
『魔女の宅急便』のラストはなかなかの壮大な戦いを見せてくれる。
本作の一番素晴らしかったところは、エイリシュの成長後の描き方。
とある女の子にエイリッシュは助言をする。
この見せ方が素晴らしい。
中盤はそんなに入り込めなかったが、なぜか最後だけは食い入るように見入ったし、何なら目頭が熱くなった。
上手く、エイリシュの心の葛藤からの解放を描いていた。
ストーリーは『魔女の宅急便』と比べるとだいぶ劣る。
観て損はないレベル。
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ブルックリンの作品情報
■監督:ジョン・クローリー
■出演者:シアーシャ・ローナン エモリー・コーエン ドーナル・グリーソン ジム・ブロードベント
■Wikipedia:ブルックリン(ネタバレ)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):97%
AUDIENCE SCORE(観客):87%
ブルックリンを見れる配信サイト
U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年8月現在