映画の海

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⑨組織のなかで

映画『ありふれた事件』ネタバレなしの感想。殺人鬼に密着したドキュメンタリー映画製作をする

投稿日:

■評価:★★☆☆☆2.5

「暴力の伝染」

【映画】ありふれた事件のレビュー、批評、評価

私が好きなジャンルの1つに『フェイク・ドキュメンタリー』がある。
文字通り、ドキュメンタリー風に撮ったフィクションで、リアリティ抜群の映像が売りとなる。

日本では白石晃士監督がフェイク・ドキュメンタリーの名手として有名。
このブログでもフェイク・ドキュメンタリー・ホラーシリーズの『コワすぎシリーズ』の1作目をレビューしている。

『ありふれた事件』はそんな白石晃士監督に大きな影響を与えた作品の1つであり、「くそ野郎のキレッキレの暴力を、時にはユーモアでPOV視点で撮る。私の原点です」と伝えている。

『パルプ・フィクション』『キル・ビル』『イングロリアス・バスターズ』のクエンティン・タランティーノ監督、『キャリー』のブライアン・デ・パルマ監督など、多くの大物からも熱烈な支持を受けている本作。
果たしてどんな内容なのか。

列車の窓のたたずむ男ベン。列車で通り過ぎた女性に、ベンはいきなり襲いかかり、首を絞めて命を奪った。彼女の遺体を川に投げ捨て、性別や年齢によって重量が変わるとカメラマンに解説する。実は、殺人や強盗を繰り返すベンに密着するドキュメンタリー映画を製作していた。撮影クルーは、どんな人間を狙うと効率が良いのかの説明を受けながら、ベンの殺人シーンを黙々とフィルムに収めていた。

世間の評価がめちゃくちゃ評価の高い映画なので期待して鑑賞したが、正直、期待外れだった。
ストーリーがあってないようなもので、エンタメとしては受け入れがたい。
まず気になったのは、冒頭で、主人公が目標提示をしない点である。

普通のエンタメ映画は、基本的には最初に目標提示をする。
恋愛映画だったら「あの子と付き合いたい」。
スポ根だったら「甲子園で優勝したい」。など。
例えば本作のようなサイコキラー映画『ハウス・ジャック・ビルド』では、主人公の殺人鬼ジャックは「家を建てたい」と目標提示をする。
このように、ほとんどの映画は何らかの形で主人公の目標提示がなされ、観客は「本当に主人公の目標は果たせるのか。どのようにして果たすのか」
に着目して鑑賞する。

だが本作は何もない。
黙々と主人公のサイコキラー・ベンが人の命を奪って、金を頂き、遺体を処理する。
時には詩を唄ったり、楽器を演奏したり。
本作はどこに向かっているのかが、全くわからない。
そのため、かなり集中力が途切れてしまった。

あと、会話劇もかなり退屈。
ストーリーとは関連性のない、いわゆるダラダラ会話が非常に多くの時間を占める。
これが辛かった。
ベンが口を開くたびに、私の集中力が途切れる条件付けができてしまったくらいである。

さすがは後半になると、事態が深刻化して、少し面白くはなる。
だが、結末は意味がわからない。

良かった点は、フェイク・ドキュメンタリーならではのリアリティと、画面に映される非現実感とのジャンプ力。
あまりにベンが極悪非道な所業の連続を見せてくれるので、ドライブ感は強烈である。
フェイク・ドキュメンタリーならではの味があって、素晴らしかった。

ベンには北野映画に通ずるものがあった。
北野武が監督するバイオレンス映画は突発的な暴力を特徴とする。
日常に暴力や死が存在していて、登場人物が数秒後の命を落としてもおかしくない異様な緊迫感がある。

前述の通り、起承転結は皆無なので、人を選ぶ作品。

フェイクドキュメンタリーのおすすめ作品はコチラ。

■戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-01【口裂け女捕獲作戦】

ありふれた事件の作品情報

■監督:レミー・ベルボー アンドレ・ボンゼル ブノワ・ポールブールド
■出演者:ブノワ・ポールブールド レミー・ベルボー アンドレ・ボンゼル ジャン=マルク・シェニュ
■Wikipedia:ありふれた事件(英語)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):74%
AUDIENCE SCORE(観客):90%

ありふれた事件を見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(DVD)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年9月現在

-⑨組織のなかで

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。