■評価:★★★☆☆3
「スターとは何か」

【映画】ショーガールのレビュー、批評、評価
1995年のゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)で13部門ノミネートされ、最低作品賞・最低監督賞・最低脚本賞・最低主演女優賞・最低新人俳優賞・最低主題歌賞・最低スクリーンカップル賞の7部門を受賞している。
(後に2000年の特別賞である1990年代最悪作品賞も受賞)
主演女優のエリザベス・バークレーは、『ショーガール』のあまりの評価の低さに、一時行方知れずになった。
とにかく当時は酷い映画の象徴として挙げられ、監督のポール・バーホーベン自身も「『ショーガール』の後ならもう怖いものはない」と自虐で笑いにしていたほど。
果たしてどんな内容なのか。
スターダンサーを夢見るノエミは、憧れと自信だけを抱いて、ショービジネスの都ラスベガスへと向かう。道中、ヒッチハイクで捕まえた車の運転手に荷物を盗まれる。出鼻をくじかれたノエミだったが、一流ホテル・ショーの衣装係モリーに救われ、気が合って一緒に住むことに。場末のショーに出演して生活費を稼ぎながら、スターダンサーへのチャンスを狙う。
以前、私がこのブログで記事にした黒人差別映画『マンディンゴ』という狂った映画がある。
『キル・ビル』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のクエンティン・タランティーノは『マンディンゴ』に対してこう評する。
「これはポール・バーホーベンの『ショーガール』と並ぶ、メジャー会社が大予算で作ったゲテモノ大作さ」
ゲテモノ=風変わりなもの、珍奇なもののといった意味を指す。
私としては、タランティーノの言葉の本質は、「倫理的に狂っている」だと認識している。
とにかく、ネガティブな評判を良く聞く『ショーガール』を、私は楽しみに鑑賞した。
評判の通り、ゲテモノだった。
主人公のノエミが異常なほど下品。
誰かれ構わず暴力的で口が悪い。
冒頭で、ラスベガスに向かう際にヒッチハイクで乗せてもらった男に荷物を盗まれる。
悔しくて嘆いてるときに、通りかかった黒人女性モリーが手を差し伸べてくれる。
にも関わらず、モリーにも攻撃的なのだ。
ただの性悪である。
もっと酷いと私が感じたのは性交シーン。
まるで獣のようで、女性らしい美しさはまるで皆無の下品な性交である。
こんなにも好きになれない主人公は珍しい。
だが、面白いことに中盤以降は嫌いなノエミを徐々に応援したくなる。
というのも、ショービジネスは欲望のための虚飾や欺瞞にあふれていて、何も知らないノエミはその被害を被るのだ。
だからこそ「ノエミには何とか逆境をはねのけてほしい」と観客は願うようになる。
だが、一貫性のなさが気になる。
ノエミは1000ドルのためにスポンサーに体を売るのを拒否するシーンがある。
ここで観客は「なるほど。彼女は正当にダンスを評価されたい女性なんだ」と認識する。
そのため、応援に熱が入る。
だが、正当性とは真逆な醜い行動が後半で見られる。
これにはかなりの違和感を覚えた。
さらに迎える結末もあまりにキレイすぎる。
エンドロールが流れた時、悪い意味で「え、もう終わりなの?」と思った。
ノエミのキャラ性を考えるなら、もっとドロドロの悲劇として終わらせて良かった。
あの意味不明は清々しい終わり方は、観客の反感を買ってもおかしくない。
そのため、評価の低さはうなずける。
にしても、映画批評サイト「rotten tomatoes」は低すぎて笑える。
個人的には面白いキャラクターはたくさん出てくるので、割と楽しく鑑賞はできた。
ゲテモノ映画だと前提として観たら、そこそこは楽しめる映画。
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ショーガールの作品情報
■監督:ポール・バーホーベン
■出演者:エリザベス・バークレー カイル・マクラクラン ジーナ・ガーション
■Wikipedia:ショーガール
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):20%
AUDIENCE SCORE(観客):37%
ショーガールを見れる配信サイト
U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年9月現在