映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『人魚の眠る家』ネタバレなしの感想。離婚寸前の夫婦の娘が事故で脳死状態に陥る

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■評価:★★☆☆☆2

「脳死」

【h2】【映画】人魚の眠る家のレビュー、批評、評価

ミステリー作家、東野圭吾原作の映像化作品となる。
私は東野圭吾の著書を10冊近く読んできており、その頂点に君臨する名作は『容疑者Xの献身』である。(映画化もされているが、よくこちらも出来ている)
私以外にも、納得できる人は多いはず。
ぶっ飛んだトリックと、心を揺さぶるドラマの両輪に、度肝を抜かされない人間は存在するのだろうか。
直木賞受賞も納得の素晴らしいストーリー。

『白夜行』『流星の絆』などの東野圭吾作品は粒ぞろいではある。
だが、私の中で『容疑者Xの献身』のクオリティはずば抜けており、東野圭吾著作の判断基準だ。
常に新しく触れる東野圭吾作品は、『容疑者Xの献身』を超えられるかどうか、との戦い。

果たして本作は天をも貫く大山を崩せるのだろうか。

二人の子を持つ播磨薫子と、その夫でIT機器メーカーを経営する和昌。二人の仲は冷めきっており、娘の瑞穂の小学校受験が終わったら離婚が確定していた。ある日、瑞穂がプールで溺れ、意識不明になった。医師から「脳死の可能性が高く回復の見込みはない」と宣告され、絶望する。二人は「脳死」を死として受け入れて臓器提供を希望するか、あるいは奇跡を信じて延命するか、究極の選択を迫られる。二人が決断した選択により、運命の歯車を狂わせていく。

東野圭吾は、本当に脳死という概念を真剣に考えて執筆したのだろうか?
確かに最後まで見て、脳死について考えさせられる。
だが、物語として過剰に美しくて気持ち悪い。
キレイごとで塗り固められたハリボテ映画だった。

あまりに普通に展開し、あまりに普通の結末を迎える。
何の捻りのないストーリーで、物足り無さのみが残る。
50年くらい前に本作がぽっと現れたら、評価されるかもしれない。
脳死の現実を世間は認知していないだろうから。

だが、今のご時世で通用する内容じゃない。
金儲けのための感動ポルノにしか思えず、非常に残念な鑑賞後感。
東野圭吾作品の中で、最も好きになれない一作となった。

あと中盤辺りで、ホラー的な奇妙な伏線がある。
その場面に立ち会う人物は、川栄李奈扮する真緒。
この伏線をどんな形で生かされるのかワクワクしたのだが、結局は未回収である。
ずっと正座して楽しみに待っていたので肩透かしを食らった。
あのシーンはいったい、何のために入れたのだろうか。

せっかくだから、本作は、ホラー的展開で見せても良かった。
むしろ、脳死から描くホラーの切り口は、今まで鑑賞した記憶がないので、ありだと思う。

あと東野圭吾が過去に産んだ名作に『変身』がある。
交通事故で生死をさまよった主人公が、殺人鬼の脳を移植されることで、命を取り留める。
だが、次第に凶悪な体質への変貌に苦しむ物語。

死をテーマとした物語として比べた時、本作は『変身』の斬新さを超えられていない。
もう一度、問いたい。
何のためにこの物語を執筆したのか。
一番、テンションの上がるクライマックスには、強烈な違和感で嫌悪感すら抱いた。
こんな感動ポルノを執筆して満足なのか。
だとしたら、今すぐ筆を置いて引退してもらいたい。

東野圭吾らしい、予想の斜め上を行くとんでもない展開を見せてほしかった。
東野圭吾は本当に本作を執筆して満足したのだろうか。

死をテーマとしたおすすめ作品はコチラ。

■聖なる鹿殺し

■ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

人魚の眠る家の作品情報

■監督:堤幸彦
■出演者:篠原涼子 西島秀俊
■Wikipedia:人魚の眠る家

人魚の眠る家を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(見放題)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年9月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。