映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑥バディとの友情

映画『ジョゼと虎と魚たち』ネタバレなしの感想。平凡な大学生が車椅子の女性と出会う

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■評価:★★★☆☆3.5

「弱さ」

【映画】ジョゼと虎と魚たちのレビュー、批評、評価

本作は特に映画ファンに好まれており、中でも女性ファンが多い印象が強い。
原作小説の著者・田邉聖子が女性なので、女性の共感を誘うナニカを楽しみに鑑賞した。

大学生の恒夫は、乳母車に乗って祖母と散歩するのが日課の自称・ジョゼこと、くみ子と知り合う。恒夫は足が悪い障害を抱えながらも、知的で、ユーモラスで、パワフルな女性だった。恒夫はそんなジョゼに少しずつ惹かれていく。

ジョゼのキャラクターが魅力的すぎる。
ジョゼは脚が不自由な障がい者。
卑屈で、テンションは低め。
でもくすぶった大量のエネルギーが身体から迸っているのだ。

乳母車での散歩の際は、防犯のために包丁を隠し持つ。
本の虫で知識も豊富。
(たまに低俗な雑誌からの間違った知識を披露して恥をかく。例えばトカレフが中国製だとか。本当はロシア製)
料理もうまくて、主人が「うまい!」とこぼすと「誰が作ったと思ってんねん」と切り返したりと、自信に満ち溢れている。
関西が舞台ということもあって、関西弁も妙に味となっている。

関西弁の障がい者という設定は、実に斬新である。
映画は2003年公開で、原作小説の発表はなんと1985年。
今見ても、この設定には心惹かれるオリジナリティを感じる。

あと関西なだけあって、ユーモアも忘れない。
声のトーンと間が絶妙で、ジョゼの発言の一言一言がいちいち笑える。
明らかに普通の女の子とは一線を画すジョゼのキャラクターが本当に素晴らしい。

恒夫には香苗という何となく、狙っている女の子がいる。
何なら香苗以外にも、定期的に寝る相手もいる。
女性には何ら困っていない。
それでも恒夫がジョゼに惹かれる流れは必然である。
こんなパワフルな障がい者がいたら、放っていけない。
ついついヒマを持て余したら会いに行くだろう。

とはいえ、ジョゼは普通の乙女心も持つ。
恒夫と香苗が会話している姿を見たら嫉妬はする。
嫉妬がちょっと過剰な辺りが可愛らしい。
時には孤独を感じて、恒夫に甘えたりする。
そんなジョゼに正直、ワガママでうざったいと思うときもある。
だが、そういったマイナス面があるからこそ、ジョゼというキャラクターに魂が宿るのだ。

あと恒夫との距離が縮まるにつれて、ババ臭い服が徐々に華やかになるのも良かった。
ユニークな変化の見せ方である。

シンプルに乳母車っていうアクセントも魅力的。
これがもし車椅子だったら、本作の魅力は半減している。
そのくらい、乳母車のインパクトは強烈である。

最後も良かった。
純文学が原作なので、普通の分かりやすいエンタメ映画的な終わり方ではない。
だが、そこは感動ポルノを排した現実を描いていて良かった。
前日に記事にしたうんざりさせられた凡作『人魚の眠る家』とは段違いの良作。

純文学なので、そこまで起伏のある物語ではないので、評価はそこまで高くはしていない。
だが、キャラクターが魅力的だし、恒夫に扮した妻夫木聡と、ジョゼに扮した池脇千鶴の演技力が神がかり的な上手さ。
鑑賞して良かったし、満足度は高め。

障害に奮闘する少女を描いた傑作はコチラ。

■志乃ちゃんは自分の名前が言えない

■聲の形

ジョゼと虎と魚たちの作品情報

■監督:犬童一心
■出演者:妻夫木聡 池脇千鶴 上野樹里 新井浩文
■Wikipedia:ジョゼと虎と魚たち(ネタバレあり)

ジョゼと虎と魚たちを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年9月現在

-⑥バディとの友情

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。