■評価:★★★☆☆3
「海の恐怖」

【映画】海底47mのレビュー、批評、評価
南国の海でのアクティビティは豊富にある。
先導するボートがバナナ型のゴムボートを引っ張るバナナボート。
パラシュートをボートが引っ張り、パラシュートのシートに座って、空高く浮かびあがるパラセーリングなど多岐にわたる。
だが、海でのアクティビティは危険なものも多い。
その中の一つで、事故も多発している『ケージ・ダイビング』がある。
一辺、1~2メートル程度の鉄製のケージに入って海に潜り、サメなどの危険な海の生き物と直接触れ合うというもの。
本作はこの『ケージ・ダイビング』を題材としたホラー映画となる。
ケイトとリサは休暇でメキシコを訪れていた。二人は、たまたま出会った現地の男性から、海に沈めた檻から野生のサメを観察する『シャーク・ケージ・ダイビング』に誘われる。尻込みする臆病なリサだったが、好奇心旺盛なケイトはリサの背中を押してチャレンジをする。二人が入った檻は水深5メートルの海に潜った。初めて間近で見るサメに二人は興奮する。だが、悲劇は突然訪れる。ワイヤーが切れ、二人が入ったケージが水深47メートルまで落下する。無線も届かない深い海。急浮上すれば潜水病にかかって意識を失い、脳が重篤な障害を負ってしまう。海に出ればサメの餌食。ケイトとリサは逃げられるのか。
いわゆるワンシチュエーションのホラー映画。
早い段階でケージに中に入って海に潜るため、ほぼ全編、海の中で、サメの脅威に怯えながら脱出を試みる内容。
そこそこ楽しめたけど、思ったほどの新鮮な展開は見られなかった。
かなり強引に主人公らが追い込まれる展開は気になった。
ケーブルの巻上機が誤って海に落ちたため、海底47mにケージごと落ちたケイトとリサ。
サメがうようよいるせいで生身で上がれない。
だが、巻上機も海底なのでケージの中に入ったままの浮上は難しい。
そこでケージを引き上げるための新しいケーブルが投げ込まれる。
だが、そのケーブルが細いのだ。
細いって(笑)
さすがに見ていて笑ってしまった。
ワンシチュエーション映画は、文字通り1つのシチュエーションで物語を展開させるので、低予算で制作できるメリットがある。
だがデメリットとして、主人公らを追い込むアイディアを、より練る必要がある。
中盤まではいろんな脅威にさらされて楽しめたのだが、徐々にアイディアの枯渇を感じてしまった。
その最たるがケーブルが細い、である。
子供の発想としか思えない。
ただ、残酸素や現在地の深度を数字で示してくれたのは良かった。
観客に恐怖が分かりやすく伝わってくるのだ。
いっそのこと、サメ以外にいろんな怖い魚たちに襲われる映画を観てみたいと思った。
主人公は海のエキスパートで、それぞれの魚に適した対処をする、みたいな流れのが面白かったように思える。
言い忘れていたことが1つある。
本作で、一番興味深かったのは潜水病だ。
劇中はサメであったり、酸素不足であったり、多くの危険に同時に襲われる。
中でも恐ろしかったのが潜水病。
水深が深いところから一気に浮上すると、脳に窒素の気泡ができてしまう。
意識を失い、脳にも重篤な障害を負ってしまう恐ろしい症状である。
『メイドインアビス』というアニメ(原作は漫画)はご存じだろうか。
謎の巨大な大穴アビスがあり、その周りに築かれた町に住む少女が主人公の物語。
アビスにはさまざまな遺物が眠っている。
「時を止める鐘(アンハードベル)」
「命を延ばす酒(ディプシーイオン)」
などなど、魅力的な遺物の宝庫。
だが、アビスには未知の生き物が大量に生息に、侵入者に牙をむく。
危険はそれだけでない。
アビスには上昇負荷が存在する。
入るのは問題ないが、戻るときに体に異変が生じる。
深度の浅い箇所であれば、めまいや吐き気などの軽傷で済む。
だが深く潜れば潜るほど、精神に異常をきたしたり、体がぶっ壊れたりと、症状がひどくなる。
これをアビスの呪いと称する。
アビスはこの呪いが、とにかく恐ろしいのだ。
まさに潜水病をモチーフとして使われることを知って興奮した。
命を削って潜った行きに対して、帰路は安心したいのが人間の心理だ。
その安心したい帰路が更に過酷というのは絶望である。
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■ジョーズ
海底47mの作品情報
■監督:ヨハネス・ロバーツ
■出演者:クレア・ホルト マンディ・ムーア
■Wikipedia:海底47m
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):53%
AUDIENCE SCORE(観客):35%
海底47mを見れる配信サイト
U-NEXT:○(見放題)
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(吹替・見放題)、○(字幕・見放題)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:○(見放題)
※2020年9月現在