映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

①家のなかのモンスター

映画『ザ・ベイ』ネタバレなしの感想。絶望的につまらないPOVホラー

投稿日:

■評価:★☆☆☆☆1

「日常が唐突に瓦解する恐怖」

【映画】ザ・ベイのレビュー、批評、評価

トム・クルーズ、ダスティン・ホフマン主演でアカデミー監督賞とベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した『レインマン』のバリー・レヴィンソン監督の2012年の作品。

政府によって隠蔽されていたとある映像。メリーランド州チェサピーク湾沿いにある小さな港町クラリッジにて、2009年の独立記念日の様子が映し出される。最初はお祭りムードに沸く市民だったが、次第に次々と体調不良を訴え、病院に搬送される。寄生虫(ウオノエ)による原因だと判明するが……

酷いクオリティのフェイク・ドキュメンタリー。
ここまでレベルの低い映画を久しぶりに見た気分である。

フェイク・ドキュメンタリーなのに、至るところに恐怖を煽るBGMが挿入される。
そもそも本作は、寄生虫によって港町の人々が次々に倒れていく。
その事実を自治体が隠蔽しようとする。
だが、正義感の強い主人公のTVキャスターが告発する形で立ち上がり、このフィルムを編集して公開したという設定である。
なのに恐怖を煽るBGMの多用はおかしくないだろうか?
これじゃあ、ただの劇映画である。

自称、世界一、フェイク・ドキュメンタリーを制作していると語る白石晃士監督の著作『フェイク・ドキュメンタリーの教科書』にはこんな感じの記述がある。

『クローバーフィールド/HAKAISHAは確かに最初は面白い。
だが途中から、なぜ、カメラマンが怪獣に迫っていくのかの理由付け(必然性)に欠ける。
これじゃあただの劇映画だ。
フェイク・ドキュメンタリーはリアリティを作るのが大事。
つまり、至るところに必然性に気を配って描く必要がある』

私もフェイク・ドキュメンタリーファンなので納得のできる解説だった。
なので、本作もBGMの多用は残念ながら、フェイク・ドキュメンタリーの設定を破壊している。
恐らく監督は映像だけで恐怖を与える自信がなく、我慢できなかったのだろう。

あと本作は寄生虫が恐怖の対象として描かれる。
正直、寄生虫などの見慣れたモンスターパニックものは『TENET テネット』を観て以降は楽しめなくなるんじゃないか、と思うようになってしまった。

2020年10月1日の現在、絶賛劇場公開中の『TENET テネット』の面白いところは、タイムスリップ(時間の逆行)の可視化にある。
つまり、今まで見えなかった要素、設定を斬新な発想で可視化したから面白いし、世間は夢中になっている。
『こんな風に時間逆行を描くのか』と観客はみな、度肝を抜かされたわけだ。
もはや発明である。

なので、寄生虫といった普通のモンスターを普通に描かれると物足りない。
だから監督はフェイク・ドキュメンタリーという形式で、より臨場感を出したかったのかもしれない。
だがフェイク・ドキュメンタリーとしての体裁を崩しているので、最大のメリットである臨場感も皆無。
非常にレベルの低い作品である。

あと、ストーリーも寄生虫に対して、何らかの対策を練る流れを観たかった。
ただただ寄生虫にやられていく人間を映すに留まっている。
物語としても魅力に欠ける残念な映画。

良質なPOV(フェイク・ドキュメンタリー)ホラーはコチラ。

■戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-01【口裂け女捕獲作戦】

ザ・ベイの作品情報

■監督:バリー・レヴィンソン
■出演者:ウィル・ロジャース クリステン・コノリー
■Wikipedia:ザ・ベイ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):76%
AUDIENCE SCORE(観客):43%

ザ・ベイを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年10月現在

-①家のなかのモンスター

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。