映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『LOVE』ネタバレなしの感想。妻と子と暮らす男の元に、かつて溺愛した元恋人が失踪した知らせが入る

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■評価:★★★☆☆3

「愛」

【映画】LOVEのレビュー、批評、評価

作家性が強く、モラルを超越した怪作を世に送り続けるカルト映画作家のギャスパー・ノエ監督作品。
前作『エンター・ザ・ボイド』から6年の年月を経て、ようやく制作された2015年の作品。
期間が空いた理由として、『エンター・ザ・ボイド』の制作に精魂を使い果たしたり、『LOVE』の内容が性的に過激すぎて資金集めに苦労したり、母が命を落として何もする気が起きなかった期間があったりしたとのこと。

元々は構想されていた『LOVE』の脚本はモニカ・ベルッチ&ヴァンサン・カッセル夫妻のため作った。
だが、あまりの過激さによってNGとなった。
(結果として、二人は『アレックス』で出演する)

ここまで過激、過激と連呼されると期待を煽られる。
いったいどれほど過激な内容なのか。

1月1日の早朝、妻と2歳の息子と暮らすマーフィーのもとに1本の留守電が入る。かつて、激しく愛した元恋人エレクトラの母親からだった。エレクトラはずっと音信不通で、母親は行方を捜していた。マーフィーは彼の生涯最大の愛の記憶を掘り起こす。

シンプルな恋愛ドラマ。
ギャスパー・ノエといったら、観客を挑発するようなストーリーや演出の狂った作品ばかり作る変態監督である。

だが、本作はびっくりするほどちゃんと物語に起承転結がある。
「愛」というテーマに真摯に向き合っている印象。

上記でカルト映画作家と語ったように、ノエはストーリーを排した無茶苦茶な映画を作るケースが多い。
物語は本来、キャラクターの成長を描くもの。
へっぽこボクサーが、ライバルを倒せるようになったり。
あるいはお互いをいがみ合う男女が、様々な試練を乗り越えて距離が縮まったり。
だが、ノエは挑発的な映画を作る余り、物語の基本であるキャラクターの成長を描く気がない映画も多い。

例えば2010年制作の『エンター・ザ・ボイド』では何なら序盤に主人公が死ぬ。

魂として現世にとどまって、主人公が死んだあとの世界を見守るだけ物語。
ストーリーなんて皆無である。

『CLIMAX クライマックス』では、クスリでぶっ飛んだダンサーたちの悲劇をただただ見せる内容。

そのため、本作は普通にドラマを描いていたので、びっくりした。

内容はかつて情熱的に愛した女性エレクトラが失踪したと、エレクトラの母から電話が来るシーンから始まる。
エレクトラとはなぜ別れてしまったのか、を回想で描かれる。

本作の構成は、『結果』を最初に描き、その結果に至った『理由・経緯』を更に時間を遡って描かれる。
これの繰り返しである。
この構成はまさに『アレックス』である。
男がクラブに乗り込み、とある男をボコボコにぶん殴る。
果たして何があったのか?を描くストーリー。

『アレックス』のテーマは、不条理の残酷さに伴う『時間よ巻き戻ってくれ』といった願いを描く。
人間、誰もが人生で一度は不条理によって追い込まれたピンチに苦しみ、『時間よ巻き戻ってくれ』と願った経験はあるだろう。
本作でもこのテーマを併せて描かれている。
何なら終盤で主人公が、直接、このテーマを口にするくらい。
もしかしたらノエ自身が、不条理さに苦しんだ経験を引きずっているのかもしれない。

あと、失踪した女性のエレクトラが非常に印象的でよかった。
最初は主人公とのケンカのシーンでエレクトラを見るのだが、酷く下品。
ヒステリックで、女性として観るのが難しいレベルの醜態をさらす。
だが本編が進むにつれて、主人公とラブラブだった時代が描かれる。
時を遡るたびにエレクトラが魅力的に映される。

主人公の奥さんのが正統派のルックスで最初は「別れて良かったじゃん。奥さんのがキレイじゃん」と観客は思う。
だが徐々にエレクトラの魔性の虜になっていく。
キャストの采配が絶妙だし、観客に与えるキャラの印象の変化もうまい。
さすがはギャスパー・ノエである。
つまり、本作はエレクトラをいかに美しく映すか、に重きを置かれている。

期待した過激さだが、思ったほどではない。
ただ性描写が多いくらい。

ストーリーはかなりシンプルで、そこまで魅力的ではない。
時間を遡る構成で、普通さをごまかしている印象。
そのため評価はそこまで高くしていない。
キャラクターは魅力的なので、観て損はない。

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■お嬢さん

LOVEの作品情報

■監督:ギャスパー・ノエ
■出演者:カール・グルスマン アオミ・ムヨック クララ・クリスティン
■Wikipedia:LOVE(英語)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):39%
AUDIENCE SCORE(観客):38%

LOVEを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:-
※2020年10月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。