映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

①家のなかのモンスター

映画『コンジアム』ネタバレなしの感想。YouTuberが呪われた病院での潜入ライブ配信を計画する

投稿日:

■評価:★★★☆☆3.5

「動画配信は危険」

【映画】コンジアムのレビュー、批評、評価

2012年にCNNの「世界七大禁断の地」のひとつに選出された、“韓国最恐の心霊スポット”と称されるコンジアム精神病院跡を舞台にしたホラー映画。
京畿道広州市に実在する舞台。
撮影場所も、本物のコンジアム精神病院で行われている。
本作に登場する『院長が自ら命を落とした』『開かずの402号室』といった設定は、実際の噂である。

戦時中、旧日本軍により拷問や処刑の目的で施設は建てられ、戦後も「コンジアム精神病院」として開院した。だが、大勢の患者が謎の死を遂げ、院長も突如、失踪する。その後も不可解な現象に見舞われ、呪われた病院として廃院となった。ある夜、二人の少年が肝試しに、ビデオカメラを回しながら病院にやってくる。開けたら死ぬと噂された『402号室』をこじ開けようとすると、何処からともなく聞こえた卓球玉の音を最後に、映像が途絶えて行方不明になった。時が経って現在、YouTubeで恐怖動画を配信する人気チャンネル「ホラータイムズ」主宰者のハジュンは、一般からの参加者を募り、スタッフ含む6人で病院内を探索し、『402号室』を目指すコンジアム精神病院への潜入ライブ配信を計画する。

韓国製のフェイク・ドキュメンタリー・ホラー。
いやー素晴らしかった。
映画や音楽など、エンターテイメントにおいて異様なクオリティを誇ることで有名な韓国。
まさかフェイク・ドキュメンタリーすらもきっちり作り込んでくるとは恐れいる。
リアリティが半端ないのだ。

以前、このブログで記事にしたアメリカ製のフェイク・ドキュメンタリー・ホラー『テイキング・オブ・デボラ・ローガン』『ザ・ベイ』は酷い出来栄えだった。

この二作は、ただ主観映像で撮っているだけ。
なぜか観客の恐怖を煽るBGMやSEをバンバン入れる。
意味がわからない。

本来、フェイク・ドキュメンタリーは、ドキュメンタリー風=フィクション風の演出を意味する。
つまり、『これは実際にあった出来事です』という設定の主観映像である。
だからリアリティがあるのだ。
なのに、普通の劇映画と同様にBGMやSEを入れるのはおかしい。
もしBGMを入れるのなら理由付けが必要。

例えば、自称、世界一フェイク・ドキュメンタリーを制作していると豪語する白石晃士監督の『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-01【口裂け女捕獲作戦】』。
これはレンタル屋に置くオリジナルビデオ作品の制作のために、口裂け女を捕まえる映像を撮ろうと試みるディレクターとアシスタントのフェイク・ドキュメンタリー。
なのでBGMは入ったりしているのは」、自然である。

だが『テイキング・オブ・デボラ・ローガン』は認知症の女性の調査で撮影したが、認知症とは思えない、まるで悪魔にでも呪われた女性が映っている話。
『ザ・ベイ』は港町で発生した寄生虫事件を政府が隠蔽しようとしたため、TV局のレポーターが告発のために映像を編集して世間に公開した設定。
この二つは商売ではなく、人を怖がらせる目的で制作されていないので、BGMを入れる行為は不自然なのである。

フェイク・ドキュメンタリーはリアリティを与えるための演出なので、緻密にリアルさを追求する必要がある。
『コンジアム』が、徹底したリアリティ作りが素晴らしい。
『コンジアム』は金儲けのために廃病院に訪れ、その様子を動画サイトに生配信するという設定。
さんざん私が語ったBGM問題もユニークにクリアしている。
テントで指令を出すリーダーが、探索隊の映像を見ながら頃合いを図って「BGMキュー!」と発言し、BGMを入れるのだ。
お見事である。

あと、怪現象が発生するたびに、探索隊は言葉を失う。
その都度、リーダーは「おい! コメント!」と喋りを促す。
このシーンが何度もあって、好感を持てる。

人間、ずっと喋り続けるって難しい。
更に、突如、不思議な現象に遭遇したら、言葉を失うのは自然。
こんな感じで本作はリアリティの追求を徹底している。

ホラー映画にはよくある、露出強めのホット・ガールの存在も良いアクセントになっていて面白い。
中盤以降は、リアクションの良い彼女が執拗に攻撃を受けるのが良かった。
石原さとみをアホっぽくした感じの見た目の彼女には可哀想だが、観客としては嬉しい限り。

残念だったのが、鮮度の弱さ。
配信をして再生回数を稼ぐため=金目的のために肝試しに訪れる。
この擦られた設定を今更見せられても、って感覚は否めない。

上記の白石晃士監督の『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-01【口裂け女捕獲作戦】』は口裂け女を捕獲するストーリーに鮮度があって良い。
本来、口裂け女は遭遇したら逃げるのが通例だった。
逆に捕まえて金にするって発想が、非常に斬新である。
『コンジアム』の評価をそこまで高くしていないのはそのためである。

あと、誰がこの映像を編集したのか疑惑もある。
ここまでリアリティを追求してほしかったのが本音。

ドローンには可能性を感じた。
一カ所、ドローン視点での映像があってワクワク感を煽られたのだ。
だが、すぐに映像が途絶えたのは残念。
ドローンを駆使したフェイク・ドキュメンタリーはいずれ、誰かに作ってもらいたい。

とはいえ、レベルの高いフェイク・ドキュメンタリーであることに相違ない。
フェイク・ドキュメンタリーの鑑賞経験が少ない人はかなり楽しめるはず。

韓国映画恐るべし。
韓国映画ってだけで安心して観ていられるレベル。
正直、アメリカ映画よりも安心できるほどに高水準である。

レベルの高いフェイク・ドキュメンタリーはコチラ。

■戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-01【口裂け女捕獲作戦】

コンジアムの作品情報

■監督:チョン・ボムシク
■出演者:イ・スンウク ウィ・ハジュン パク・ジヒョン パク・ソンフン オ・アヨン ムン・イェウォン
■Wikipedia:コンジアム
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):91%
AUDIENCE SCORE(観客):72%

コンジアムを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・見放題)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:-
※2020年10月現在

-①家のなかのモンスター

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。