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①家のなかのモンスター

映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』ネタバレなしの感想。脱獄した男がハリーの命を狙う

投稿日:

■評価:★★★☆☆3.5

「魔法は楽しい」

【映画】ハリー・ポッターとアズカバンの囚人のレビュー、批評、評価

イギリスの児童文学作家、J・K・ローリングが1997年に発表した、子供向けファンタジー小説ハリー・ポッターシリーズの第3巻『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』。
その映像化作品が本作となる。

シリーズは全7巻。
刊行順は以下の通りである。

ハリー・ポッターと賢者の石
ハリー・ポッターと秘密の部屋
★ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
ハリー・ポッターと炎のゴブレット
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
ハリー・ポッターと謎のプリンス
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 1
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2

本作は、前二作のクリス・コロンバス監督から『トゥモロー・ワールド』『ゼロ・グラビティ』『ROMA/ローマ』のアルフォンソ・キュアロン監督に代わる。
私がオールタイムベスト30には食い込むであろう、ウルトラ青春ロードムービー『天国の口、終りの楽園。』を手掛ける監督。
この映画はあまりに好きすぎて10回近くは鑑賞している優れた。

性的に活発な男子高校生二人が、パーティでナンパした人妻を「天国の口というビーチがあるから行こうぜ」と適当なウソを吐いて誘い出す。
こんなあらすじなので、性的なシーンも多い。
だが本作の一番の魅力は、ラストシーンにある。

どんでん返しといった捻りがあるわけではない。
どことなく青春の儚さを感じさせる妙な余韻を残すのだ。
だから、繰り返し観たくなる。

アルフォンソ・キュアロン監督作品はほとんど鑑賞していて、いつか必ず『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』は観たいと願っていた。
ようやく鑑賞できてうれしい限り。
鑑賞後も、かなりの満足度の高さだった。
さっそくレビューしていきたい。

『ハリー・ポッターと賢者の石』

『ハリー・ポッターと秘密の部屋』

ホグワーツ魔法魔術学校の3年生の夏休み。ダーズリー家にイジワルな親戚のマージョリー・ダーズリー(マージ)が遊びに来る。帰省していたハリーは、マージの虐めにうんざりし、魔法でダーズリー家から追い出してしまう。直後、ハリーは暗闇に包まれた町で、謎の大きな黒い犬を目撃する。夏休み最終日、ダイアゴン横丁で、ハリーはロンやハーマイオニーと再会する。ダイアゴン横丁にある「漏れ鍋」でロンの両親の会話を聞いたハリーは、アズカバンを脱獄したシリウス・ブラックが、自分の命を狙っていることを知る。

第一印象として、前二作と比べ、様々な要素がガラっと変えてきたということ。

私が特に好感を持てたのはストーリーラインの変更である。
前二作は謎解きがメインのストーリー。

『ハリー・ポッターと賢者の石』は、禁じられた廊下に隠された「なにか」を探す話。
連続生徒石化事件の謎が隠されているであろう、秘密の部屋の在り処を探すのが『ハリー・ポッターと秘密の部屋』。
いわゆる『金の羊毛』と呼ばれるストーリーラインである。

金の羊毛の特徴は、報酬を追い求める内容。
便宜上、報酬と書いているが、明確な目的が存在するという意味である。
報酬を得るために目的地に向かうロードムービーや、犯人捜しのミステリーなどが当てはまる。

本作『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』はハリーの命を狙う脱獄した男から逃れる物語。
これは『家の中のモンスター』と呼ばれるストーリーラインである。
特徴は、逃げられない閉鎖された場所で、モンスター、あるいはそれに準ずるナニカを対処する内容。
ホラーやサイコキラー物のほとんどは、このストーリーラインで描かれる。

続編で、ストーリーラインを変更するとストーリーの印象がガラッと変わる。
続編を作る際に有用な手段の一つ。
だいたい、続編での失敗する理由の大きな一つは、ヒットした前作と同様のストーリーラインを使うから。
だから、観客は前作と面白さを比べやすくなってしまう。

ストーリーラインを変えると、続編でも別物のように感じられる。
そのため、続編でも鮮度の高いストーリーが楽しめるのだ。

さらに本作は雰囲気が絶妙。
前作の明るいファンタジーとは異なる。
全体的に映像のコントラストを落とした、ダークファンタジーの様相を呈するのだ。
ハリーらの成長も、如実に見られるので、併せて、大人な雰囲気の映像が良い。
さすがはアルフォンソ・キュアロンである。
ハリー・ポッターシリーズを、本作のみで降板してしまったのは残念で仕方がない。

あと、ちょっとしたことで言及した要素が1つある。
ハリーが毎回、長期休みのたびに、性格の悪いダーズリー一家に戻るのが笑える。
ハリーがちょっと本気を出せば、魔法で簡単に懲らしめることができる。
だが、法律によって、マグル(普通の人間)の前で魔法を使い事はご法度。
ダーズリー一家のイジワルな連中も、反抗を控えるハリーを奴隷のように扱うのだ。
回を重ねるごとに、ハリーがいくら成長してもだ。

本作もハリーは奴隷として扱われているところから始まる。
この、凄腕の魔法使いであるハリーを凡人として扱ってる感がいい。
不思議と人間は、凄いやつの凄い部分だけ見せられると嫌味に感じるもの。
ハリーがダーズリー一家から迫害されているだけで、いじられているように見えて、嫌味な要素が打ち消されるのだ。

さらにハリーは魔法学校にさえ行けば、力を発揮できる。
観客としては「早くホグワーツに戻ってくれ!」とついつい願って見入ってしまう。
J・K・ローリングはダーズリー一家をハリーのキャラ性のバランスを整えるのに上手く活用していて、頭が良いなあと思う。

本作の見所は後半30分辺りから。
想定外の展開にびっくりさせられた。

序盤からハーマイオニーが奇妙な言動を見せる。
それ以外にも、違和感を覚えるシーンが随所に放り込まれる。
残り30分で、怒濤の伏線回収劇となっていて、かなり画面に食い入って観てしまった。

個人的には、ライバル役であるマルフォイがもっと前に出てきて欲しい。
情けない姿しか見せてくれないのは残念。
例えばジャンプ漫画の『ナルト』でいうサスケのように、もっと強く、邪魔するような立ち位置であってほしい。

とはいえ、本作はかなり満足度の高いストーリーだった。
『ハリー・ポッターと賢者の石』の次に本作を好きとなった。

ファンタジーのおすすめ作品はコチラ。

■カールじいさんの空飛ぶ家

■メイドインアビス(TVアニメ)

■メイドインアビス 深き魂の黎明

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人の作品情報

■監督:アルフォンソ・キュアロン
■出演者:ダニエル・ラドクリフ ルパート・グリント エマ・ワトソン
■Wikipedia:ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):90%
AUDIENCE SCORE(観客):86%

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人を見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)全8作一括レンタル(吹替・有料)全8作一括レンタル(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年10月現在

-①家のなかのモンスター

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。