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⑤人生の節目

映画『グッバイ、レーニン!』ネタバレなしの感想。東西ドイツ統合後のとある家族の悲喜劇を描く

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■評価:★★★☆☆3.5

「ベルリンの崩壊による市民の軋轢、葛藤」

【映画】グッバイ、レーニン!のレビュー、批評、評価

第二次世界大戦の敗戦国であったドイツ。
後に、敵対していた連合軍のソビエト連邦、アメリカ合衆国、イギリス、フランスの戦勝4ヵ国による分割占領される。
やがて、東西が対立する東西冷戦時代に突入し、1949年にドイツは東西2つの国に分断される。

ドイツ民主共和国(東ドイツ)は、ソ連からの大きな経済援助と軍事力で社会主義国として東側陣営に属する。
一方で、西側陣営に属するドイツ連邦共和国(西ドイツ)は資本主義国家。

1989年11月9日、それまで東ドイツ市民の大量出国の事態にさらされていた東ドイツ政府が、その対応策として旅行及び国外移住の大幅な規制緩和の政令を発表する。
「事実上の旅行自由化」と受け取れる表現で、その日の夜にベルリンの壁にベルリン市民が殺到。
翌日11月10日にベルリンの壁の撤去作業が始まった。
所謂、ベルリンの壁の崩壊である。

翌年1990年10月3日、「ドイツ民主共和国がドイツ連邦共和国に加盟する」という名目で、東西ドイツの統一がなされた。

本作のタイトルとなるウラジーミル・レーニンは社会主義国家であるロシア・ソビエト共和国を樹立した人物。
ベルリンの壁崩壊の象徴として解体され、運ばれるレーニン像が劇中で描かれる。

東ドイツに暮らす主人公アレックスとその家族。母クリスティアーネは夫が西ドイツへ単独亡命して以来、その反動から熱烈に社会主義に傾倒していた。東ドイツ建国40周年記念日である1989年10月7日の夜に、アレックスは家族に内緒で反体制デモに参加。警官とのもみ合いの現場を、偶然、通りがかったクリスティアーネは目撃する。強いショックから心臓発作を起こして、昏睡状態に陥る。8ヶ月後、クリスティアーネは奇跡的に目を覚ます。だが、その時にはすでにベルリンの壁は崩壊。東ドイツから社会主義体制は消え去り、東西統一も時間の問題となっていた。「もう一度大きなショックを受ければ命の保障は無い」と医師から宣告されたアレックスはクリスティアーネを守るため、1つの決断をする。それは、姉のアリアネらの協力を得て、東ドイツの社会主義体制が継続されていると思わせる捏造行為だった。

ベルリンの壁が壊され、資本主義である西ドイツと社会主義の東ドイツが統一される。
その際の市民の軋轢、葛藤を描く社会派ドラマが本作である。

社会主義に傾倒する母を騙して、みんなで嘘をついて統一を隠すという発想が可愛い。
本作は『ベルリンの壁』『東西統一』といったお堅いワードが飛び交う歴史の映画。
だが、お堅さを感じさせない、子供が考えたような柔らかい設定で、好感を持てる。

例えばテレビを見たがる母に、アレックスは友人と偽のニュースを制作したり。
あるいは東ドイツ時代のピクルスなどの食品の瓶を作って、市販のものと入れ替えたり。
このような可愛らしい細工の数々で、母を騙し続ける。
母を愛する想いが大爆発である。

母がベッドから起き上がり、たまたま見かけてしまった「コカ・コーラ」の広告に戸惑うシーンは興味深い。

母が傾倒する社会主義の思想は、格差を無くす狙いを持つ政策。
国が経済を管理しているので、すべての企業を国家が保有・経営する。
もちろん、国民の働く給料は一律。
どれだけ頑張ろうが、さぼろうが、一律。

そのため、広告という概念がないのだ。
消費を促して経済競争をするメリットがない。
なぜなら企業は国が保有しているから。
だから母は「コカ・コーラ」の広告でビックリする。

個人的には、もっと社会主義の生活風景を見せてもらいたかった。
日本人の私からしたら、社会主義に馴染みがない。
資本主義である日本とは、どう異なる生活を送っているのかが興味深いのだ。
意外と社会主義の日常を描く映画って少ないので、鑑賞したいものである。

ラストの母のとある表情を見せるシーンもめちゃくちゃ印象的だった。
詳細はネタバレになるので、ぜひとも直接見てほしい。

エンタメ性は控え目なので人を選ぶ。
淡々と、母を騙す工作を続ける内容なので。
だが、時代に流れにより、強制的に思想を変化させ、順応させなければいけない苦悩は伝わってきた。
何よりいい家族愛を見せてくれた映画。

分断されたドイツを題材とする映画はコチラ。

■僕たちは希望という名の列車に乗った

グッバイ、レーニン!の作品情報

■監督:ヴォルフガング・ベッカー
■出演者:ダニエル・ブリュール カトリーン・ザース チュルパン・ハマートヴァ
■Wikipedia:グッバイ、レーニン!
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):90%
AUDIENCE SCORE(観客):93%

グッバイ、レーニン!を見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・見放題)※11月23日まで
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年11月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。