映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑨組織のなかで

映画『バハールの涙』ネタバレなしの感想。女性だけの戦闘部隊がISに立ち向かう

投稿日:

■評価:★★☆☆☆2.5

「男に立ち向かう女性たち」

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07N7MGKWB/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=moviesocean09-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=B07N7MGKWB&linkId=a08efff2bb88b567d5a28e8b555c6513

【映画】バハールの涙のレビュー、批評、評価

本作は史実ではないが、多くのモチーフが存在する。

ノーベル平和賞受賞者で人権活動家、ナディア・ムラドさん。
ムラドさんは2014年、イラク北部でISに家族を殺害され、自らは性奴隷として売り飛ばされた。
本作におけるバハールのモデルとなる。
さらに監督はクルド人自治区に乗り込み、実際の女性戦闘員らを取材し、バハールのキャラクターを作り上げている。

本作でも印象的な人物の一人、眼帯を装着する隻眼の女性戦場ジャーナリスト・マチルド。
『老人と海』等で知られる作家アーネスト・ヘミングウェイの3番目の妻で従軍記者のマーサ・ゲルホーンと、このブログでも記事にした伝記映画『プライベート・ウォー』のメリー・コルヴィンをモデルとしている。

クルド人女性で弁護士のバハールは、イラクのクルド人自治区内で夫と息子と共に幸せに暮らしていた。ある日、町がIS(イスラム国)の襲撃を受け、夫を始めとする男性たちの命が奪われる。息子は戦闘要員として誘拐された。バハール自身はISの幹部に性奴隷として売り飛ばされる。やがて、ISのアジトから脱走したバハールは息子の奪還を決意。同じ被害に遭った女性を集めて女性だけの戦闘部隊「太陽の女たち」を結成し、ISとの闘いに身を投じていく。

女性だけの部隊を結成してISに挑む。
この設定がものすごく興味深い。
私、自身、中東情勢に疎くてIS自体の知識は皆無。
そのため、中東情勢やISの新しい知識を得られる恩恵を期待して鑑賞した。

ただ、本作は思ったほど面白くなかった。
そもそもエンタメ性に乏しい。

前半40分は、ほとんど展開がないのは辛い。
多少、回想で緊迫感のあるシーンは観られる。
だがほんの一瞬だけ。
回想がメインの映画ではないのに、現在の時間軸でのエピソードはほとんど描かれず、淡々と移りゆく映像を眺めさせられる。
あまりに面白味にかける演出である。

もう少しISを描いてほしい。
敵であるISがどんな凶悪な連中なのかが全く描いてくれない。
そのため、緊迫感に欠けるのだ。

実際のISは生きている人間の首を切ったり、かなり残虐な連中であるニュースなどで、何となく私は知っている。
そのため、私は多少、サスペンス色を感じられた。
だが知らない人が見たら「何のこっちゃ」である。

とくに前半40分の中の回想で、ISの生々しい残虐性を入れても良かった。
描くことで、相対的にバハールらの『ISとの闘いに身を投じる』決意が観客に伝わってくるから。

つまり、私が期待していた1つ『ISの新しい知識』はほとんど得られなかった。
1つだけ興味深かったのは、『ISの人間は女性に命を奪われたら天国に行けない』という掟がある。
これは実に興味深い。
ただ、なぜこういう掟が生まれたのかの経緯が、全く深堀りされなかったのは残念。

恐らく本作『バハールの涙』は、世界に向けて作られたはず。
実際はそう想起させる会話が劇中に交わされる。
女性戦場ジャーナリスト・マチルドが、「私の書く力は無力に感じることがある」と嘆く。
バハールは励ますように「真実を世界中の人が知る権利はある」と語るのだ。

つまり、この映画は世界に向けて作られた意味を示す。
の割に、配慮がないように思える。

一カ所だけ、緊迫感のあるシーンがあった。
バハールらが囚われたISの施設から逃げ出すシーン。
『10分間というタイムリミットの中で、果たして生きて逃げられるのか』といったシーンには、かなりドキドキさせられた。

正直、見所はそこくらいである。
かなり、期待外れの一本。

男権に抗う女性を描いた映画はコチラ。

■ビー・デビル

■ナイチンゲール

バハールの涙の作品情報

■監督:エヴァ・ユッソン
■出演者:ゴルシフテ・ファラハニ エマニュエル・ベルコ
■Wikipedia:バハールの涙
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):46%
AUDIENCE SCORE(観客):88%

バハールの涙を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・見放題)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年11月現在

-⑨組織のなかで

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。