映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑦なぜやったのか?

映画『隠された記憶』ネタバレなしの感想。平凡な一家に送られたビデオテープが過去の罪を呼び戻す

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■評価:★★★☆☆3.5

「過去の罪」

【映画】隠された記憶のレビュー、批評、評価

『ファニーゲーム』『ピアニスト』『白いリボン』『愛、アムール』のミヒャエル・ハネケ監督の2006年作品。
カンヌ国際映画祭の常連で、過去にパルム・ドール2回、グランプリ1回、監督賞1回を受賞している。
『隠された記憶』もカンヌに出品されており、監督賞など3部門受賞。

テレビ・キャスターのジョルジュは、妻・アンヌと息子・ピエロと共に順風満帆な日々を過ごす。ある日、ジョルジュの元に奇妙なビデオテープが送られて来る。ジョルジュの自宅を外から長時間にわたって隠し撮りした内容だった。当初はただのイタズラだと流していたジョルジュだったが、その後もビデオテープは送られて来る。2度目には子供の落書きのような血を吐く子供の絵も添えられていた。3度目には、走る車の中からジョルジュの実家を映した映像と共に首を斬られた鶏の絵が添えられていた。次第に、ジョルジュは心の奥深くに封印し、すっかり忘れていた「過去の罪」を思い出す。

オープニングから引き込まれる。
固定カメラの映像で、どこかの住宅街が映される。
映像に変化はなく、数分間、延々と同じ映像が流れるのだ。

「何だ、この映像は」と観客が思う頃に、主人公ジョルジュと妻アンヌの会話が始まる。
会話の内容を聞いていると「なるほど」と拳を掌にポンと叩きたくなる。
つまり、この映像はビデオテープである。
ジョルジュの自宅を誰かが撮影し、ジョルジュ宛に送ってきたのだ。

『実は、この世界は俯瞰で観られていた』みたいな世界観が拡張されるような感覚を覚えて、気持ち良かった。
何よりも、シンプルに恐ろしい。
別に室内まで撮られているわけではない。
だが、『誰かに監視されている感』が、この映像からひしひしと伝わってくる。
陰湿である。

『果たして誰が、何の目的で行ったのか』

この2つの謎解き要素が本編をぐいぐい引っ張るエンジンとなる。

特記すべきはミヒャエル・ハネケによる演出の異様な上手さ。
序盤のジョルジュと息子ピエロの食事シーン。
ピエロが帰ってくると「どこにいた」とジョルジュは訊ねる。
「イブ(友達)の家。なぜ?」とピエロ答える。
「尋ねる理由が必要なのか?」とジョルジュは答える。

一見すると些細な会話のやり取りだが、若干の緊張感がある。
1つは若干、高圧的である。
普通だったら「そうか。楽しかったか?」とか「何をして遊んだんだ?」といった返答が一般的だろう。
だが、ジョルジュは詰めるような言葉を発している。

もう1つはジョルジュはピエロを信用していないようにも見える。
ただ、心配して訊ねているとは思えない緊迫感を、私は覚えた。

当然、ピエロにもジョルジュが抱く不信感は伝わっているので、二人の関係性は良くない。
この後も、二人が反発し合うシーンが散見される。

こんな感じで何気ないシーンが意味ある情報として、自然と、随所に挿入される。
上手すぎる。
さすがはカンヌを二回制した男なだけはある。

そして迎えるクライマックス。
実に面白い試みである。
正直、私は意味がわからなかったので、ネタバレサイトを漁ったし、映画評論家・町山智浩さんの解説音声も購入した。
品のあるユニークな作りの映画。
好き嫌いは別れるタイプではあるが、私がかなり好み。
ミステリー映画が好きな人には特におすすめしたい。

謎解き要素で引っ張られる傑作はコチラ。

■孤狼の血

■複製された男

■ハッピー・デス・デイ

■search/サーチ

隠された記憶の作品情報

■監督:ミヒャエル・ハネケ
■出演者:ダニエル・オートゥイユ ジュリエット・ビノシュ
■Wikipedia:隠された記憶(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):89%
AUDIENCE SCORE(観客):78%

隠された記憶を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(DVD)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年12月現在

-⑦なぜやったのか?

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。