■評価:★★★☆☆3.5
「美醜とアイデンティティ」

【映画】累―かさね―のレビュー、批評、評価
松浦だるまによる同名漫画『累 -かさね-』を原作とする実写映画となる。
松浦だるまは、2014年に『累 -かさね-』の前日譚となるスピンアウト小説の執筆も担当し、小説家としてもデビューしている。
幼い頃より、自分の醜い容姿に劣等感を抱いてきた女・累。累の母は今は亡き伝説の女優・淵透世。累は母親ゆずりの天才的な演技力を持っていたが、母とは似ても似つかない容姿に、周囲からも孤立していた。そんな累に、母が唯一遺した1本の口紅。それは、キスした相手の<顔>と自分の<顔>を一時的に入れ替えられる不思議な力を秘めていた。ある日、累の前に母を知る男・元舞台演出家の羽生田が現れる。累は羽生田の紹介で、圧倒的な“美”を持つ女・ニナと出会う。ニナはその美しい容姿に恵まれながらも、舞台女優として花開かずにいた。母ゆずりの“天才的な演技力”を持つ累と“恵まれた美しさ”を持つニナ。二人は口紅の力を使って、顔を入れ替える決断をする。
マンガ的で素晴らしい設定。
キスをしたら顔が入れ替わる。
探せばありそうだけど、意外と目にしたことのないファンタジー設定。
シンプルで分かりやすいので、好感が持てる。
鑑賞前はそこまで期待はしていなかった。
だが、鑑賞してみてビックリ。
予想を超えた面白さで満足した。
まず、主人公である醜い容姿を持つ累。
累の内面の描き方が良かった。
累は怪物じみた演技力を持っている。
なぜかというと、小さいころから見た目に難があって、ふさぎ込んでいた女性だからだ。
累は常に誰かに成り代わり、別の人生を歩みたいと願っていた。
だから、誰よりも演技が優れているのだ。
この設定には異様な説得力があるし、思わず、累に感情移入して見入った。
入れ替わっている瞬間だけは、累は笑顔を取り戻す。
累が少しでも充実した日々を過ごせるように応援してしまった。
本作で最も素晴らしい瞬間は中盤。
ニナにはちょっとした秘密がある。
その秘密が発動してシーンが変わった時、累に変化・成長が起きているのだ。
この箇所は非常に素晴らしかった。
こういった変化・成長の見せ方には鮮度を感じて唸らされた。
まるで天地がひっくり返ったような見せ方をしていて、さらに物語にのめりこんだ瞬間だった。
詳細を伏せるので、ぜひとも直接見て貰いたいシーンの1つ。
正直、結末は微妙だった。
もっとぶっ飛んだ、想定外の結末を見せてくれることを期待した。
だが意外と普通に終わった印象。
だが、全体的に素晴らしいストーリーだった。
何より、後半で見せる、土屋太鳳の踊りには色気があって素晴らしかった。
土屋太鳳は何となく広瀬すずの下位互換な印象があった。
だが、土屋太鳳の演技やダンスは唯一無二の存在感がある。
土屋太鳳の魅力に触れられる代表作の1本。
魔法によって願いが叶い、人生が変わる作品はコチラ。
■アラジン(1992)
■アラジン(2019)
■ハッピー・デス・デイ
累―かさね―の作品情報
■監督:佐藤祐市
■出演者:土屋太鳳 芳根京子 横山裕 浅野忠信
■Wikipedia:累―かさね―(ネタバレあり)
累―かさね―を見れる配信サイト
U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年12月現在