■評価:★★★☆☆3.5
「愛」

【映画】ロブスターのレビュー、批評、評価
『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督による2015年の作品となる。
家庭を持ち、子孫を残すことが義務付けられた近未来。妻に別れを告げられたデイヴィッドは街のルールに従い、はずれにあるホテルへと送られる。そこでは45日以内に自分の配偶者となる人を見つけなければならなかった。もし、見つけられなかった場合は動物に姿を変えられてしまうという運命が待っていた。
発想が独創的ですごい。
パートナーを作らないと、罰として動物にされるダーク・ファンタジーな世界観。
詳細については説明されていないのだが、私の予想では、この世界の生息する動物はもともとはすべて人間。
シングルの人間が罰せられる形で犬や豚・魚に変えられて、生態系のバランスが保たれている。
ユニークな設定で面白い。
あと、『聖なる鹿殺し』でも思ったが、本作も、相変わらず会話が面白い。
やたらと、どのキャラクターがクールですかしている。
ホテルでの婚活生活に耐えられなくなった人間が、自ら命を立つシーンがある。
当たり所が悪かったのか、スムーズに命を落とせずに苦しみ喚く姿を目の前に、主人公デイヴィッドは「あの声はうるさいね。今日は早く眠りたいから、喚き声が蘇って睡眠の妨げになりそうだ」などと口にする。
普通、こんな淡々と苦しんでいる人の感想を口にしないだろう。
不思議な感性の会話で、個人的には好き。
あとはホテルで行われる婚活者に向けての妙な講習も面白い、
『パートナーがいる場合のメリット、いない場合のデメリット』をスタッフが演じて見せる。
この内容がくだらなすぎて笑える。
馬鹿馬鹿しいんだけど、こんな講習を思い付くヨルゴス・ランティモスの頭が素晴らしい。
麻酔銃を用いた謎の狩りも興味深い。
狩りに成功すると、滞在日数が伸びる。
狩りについてはあまりに説明が少ないので、もっと多くの設定を提示したり、加えたりしても良いと思う。
条件を満たせば。スペシャルな麻酔銃を支給され、狩りが有利になるなど。
デイヴィッドの目的がちょっと分かりづらかった。
デイヴィッドは結婚したいのか、逃げだしたいのか、目的が明かされない状態が長い時間続く。
そのため、集中力は若干途切れ気味だった。
こんな感じで、本作は語りたい箇所は非常に多い。
あらすじを読んで連想したほど、エンタメ性は乏しい。
だが、豊かな作家性を感じられる良い映画だった。
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■バード・ボックス
ロブスターの作品情報
■監督:ヨルゴス・ランティモス
■出演者:コリン・ファレル レイチェル・ワイズ レア・セドゥ
■Wikipedia:ロブスター
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):87%
AUDIENCE SCORE(観客):65%
ロブスターを見れる配信サイト
U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年12月現在