映画の海

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②金の羊毛

映画『37セカンズ』ネタバレなしの感想。脳性麻痺を抱える23歳の女性を描く

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■評価:★★★★☆4

「障がい・親と子」

【映画】37セカンズのレビュー、批評、評価

音楽映画を作る際、役者の選択は二通りに別れるという。
演技は素人だが音楽のプロを採用するケースと、プロの役者に楽器等を覚えさせるケース。
制作陣が演技と音楽のどちらでリアリティを担保するのか、によって変わってくる。

本作は出生時に37秒間呼吸が止まったことで脳性麻痺となった女性の葛藤を描く物語。
本作は上記における前者。
つまり、実際に脳性麻痺を持つ女性が、オーディションによって選出されている。

23歳、ユマは脳性麻痺を抱えていた。生まれてくる時、37秒間息ができなかったことでユマは障がいを患うことになった。移動には車椅子が必要。入浴など生活するには母親が必須。しかし母親の良かれと行うサポートに、ユマにはうっとおしく思えてきた。ユマは漫画家としてプロとして活動するが、名前は表に出しておらず、現実は人気漫画家・SAYAKAのゴーストライター止まりであった。

障がい者のタブーにずかずかと踏み込んだ内容が良かった。
主には、障がい者の性である。

私はどこかで、障がい者専門の風俗産業が盛ん、なんて話を耳にしたことがある。
言うまでもなく、彼らは健常者と同じなので、性欲だって一人前にある。
だが、マイノリティである彼らは、性に限らず、どんな悩みも、健常者と比べると、より深刻になるのは必然。

だから、本作では、主人公・ユマが普通の女性のように行きたいと渇望し、出会い系に登録して、男性と出会おうと試みる展開になる。
このシーンは本当に切ない。
ふと、「自分がもし脳性麻痺を抱えた体として生まれたら、どう生きるだろうか」と考えてしまった。
私以外の多くの観客も同じことを思うだろう。

ユマの味方になってくれる風俗嬢の女性・舞がいる。
『37セカンズ』を鑑賞していて、ふと思った。
偏見を持たずに接することのできる人間って、昼仕事をしている人間ではなく、夜関係などの仕事についている人が多いのかな?と思った。

夜仕事をする人って、何らかの特別な事情があってやる人が多いだろう。(もちろん好きでやる人もいるが)
家族を養うためにお金が必要とか、社会不適合者で昼仕事ができないなど。
そういう人のほうが多様性を受け入れられるのかな?
と思ったりもした。

役者陣も素晴らしかった。
特に良かったのはユマの手助けをする、介護士の俊哉に扮した大東駿介。
俊哉の表情というか、存在感が、凄く暖かい。
体から包容力がにじみ出ていて最高によかった。
俊哉は善人オーラ全開というわけではない。
あくまでもユマを普通の女性、普通のその辺を歩く人と同じように接する。
この特別感を排した普通の演技が際立っていて素晴らしい。

言うまでもなく、主演のユマを演じた佳山明も良かった。
とある男を相手に良く笑ったりする。
やけに笑うので違和感を覚えるのだ。
「笑顔を作ることで場面場面を乗り越える」という感じが、妙に生々しかった。
恐らく佳山明は実際の生活でも、「私は(差別されても)気にしていませんよ」といった感じで、気を遣い続けた人生だったのではないだろうか?

見所の素晴らしい良い映画。
ユマが徐々に美しくなっていく姿も素敵だった。

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37セカンズの作品情報

■監督:HIKARI
■出演者:佳山明 神野三鈴 大東駿介
■Wikipedia:37セカンズ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):88%
AUDIENCE SCORE(観客):84%

37セカンズを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:
TSUTAYA TV:-
Netflix:○(見放題)
※2020年12月現在

-②金の羊毛

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。