■評価:★★★☆☆3.5
「自立・モラトリアム」

【映画】南瓜とマヨネーズのレビュー、批評、評価
『ストロベリーショートケイクス』の魚喃キリコによる、同名恋愛漫画を原作とした実写版映画となる。
ライブハウスでバイトをする女性・土田は同棲中の恋人・せいいちの夢を叶えるために生活を支えていた。ミュージシャン志願のせいいちは人間関係に悩んでスランプに陥り、曲が書けずに毎日ダラダラ過ごす。ある日、お金欲しさに、土田はせいいちに内緒で水商売を始め、店の客と愛人関係になってしまう。その事を知ったせいいちは心を入れ替え働き始める。そんな矢先、土田は昔の恋人・萩野正史(ハギオ)と偶然、再会する。過去の思い出にしがみつくようにハギオにのめり込んでいく。
THE・日常系の恋愛ドラマ。
展開1つ1つに激しさはなく、土田とせいいちの日常が淡々と描かれていく。
とはいえ退屈ではない。
共感や感情移入のしやすいキャラクターらが多く出てくるので、ついつい見入ってしまう。
例えば、ミュージシャン志望のせいいち。
なかなか曲が作れず、毎日寝ては、適当にギターを弾くグダグダした日々を過ごす。
こういったモラトリアムを経験している人は多いのではないだろうか?
(モラトリアム:しばらくの間、活動を休止すること)
つまり、「夢を追う」という大義名分のもとに、不毛な毎日を過ごした経験である。
私もバンドをやっていた経験があるので、せいいちの気持ちはできる。
だが、私との唯一の違いは、せいいちには音楽の才能があるということ。
音楽に関してではなく、あくまでせいいちは、バンドの人間関係に端を発し、スランプに陥っているだけなのだ。
一方でせいいちを献身的に支える彼女・ツチダ。
ツチダはせいいちの才能を信じて、ニートのせいいちを養っている。
せいいちがバイトをしようとしても、「せいちゃんは音楽だけやっていればいい」と止めるほどに尽くす。
まさに、せいいちの夢=ツチダの夢状態。
そんなツチダには、とある悲劇が起きる。
ツチダにとって、己の存在意義を問うような出来事が発生するのだ。
ネタバレになると思うので伏せておくが、このシーンは、つい感情移入してしまった。
ある意味、ツチダにとって、この悲劇は成長のターニングポイント。
だが、己の存在価値を失うって、その人にとって心を抉られるような出来事。
ツチダとは状況は違うが、私も小説を書いていて、添削してもらうために、先生に原稿を送る。
その原稿が真っ赤になって返ってきたら、心が苦しくなる。
まるで自分を否定されているような感覚に陥るから。
でも、自分のミスを認め、改善に努めたら成長に繋がる。
だから、私もツチダを見ていて、ついつい応援したくなった。
「ツチダにも、この困難を突破してほしい」と願いながら鑑賞していた。
全体を通して淡々とした物語だが、キャラは魅力的だし、見所は多め。
大人が主人公の日常系ドラマのおすすめはコチラ。
■ザ・ピーナッツバター・ファルコン
■“隠れビッチ”やってました。
■さよならくちびる
■ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん
南瓜とマヨネーズの作品情報
■監督:冨永昌敬
■出演者:臼田あさ美 太賀 オダギリジョー
■Wikipedia:南瓜とマヨネーズ
南瓜とマヨネーズを見れる配信サイト
U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(見放題)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:○(見放題)
※2021年1月現在