■評価:★★★☆☆3.5
「愛」

【映画】ファントム・スレッドのレビュー、批評、評価
『パンチドランク・ラブ』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 』のポール・トーマス・アンダーソン監督の2018年の作品となる。
本作はアカデミー賞で、衣装デザイン賞を受賞している。
本作で二度目のタッグとなった主演のダニエル・デイ=ルイスは、本作の主演を最後に俳優業を引退。
1950年代のロンドン。オートクチュールの仕立て屋レイノルズ・ウッドコックは、ある日、若きウェイトレスのアルマと恋に落ちる。二人の関係は幸せに見えた。だが、やがてアルマは、数々の女性のドレスを仕立て、数々の女性の心や体に触れてきたレイノルズがいまだに結婚していないことに疑問を抱き始める。これまで順風満帆だったレイノルズの生活は、若く攻撃的なアルマによってだんだんと狂い始める。次第に、レイノルズやウッドコック家が隠していた過去や秘密が明らかになる。
本作はトラウマ系の恋愛映画として有名な一作。
まず、私が惹かれたポイントは、主人公・レイノルズのオートクチュールの仕立て屋という設定。
オートクチュールはオーダーメイド一点物の高級服を指す。
私のような服が好きな人間からすると、オートクチュールの仕立て屋=気高く洗練された印象がある。
レイノルズの職業柄、物語の世界観も上品。
身に纏う衣服から食事、レイノルズの周りを囲む人々など、レイノルズの生活を送るにあたって触れるすべてのものに品がある。
見ていて心地が良かった。
アカデミー賞で、衣装デザイン賞の受賞は納得である。
レイノルズのキャラクターも良い。
レイノルズは職人気質。
常に服のことを考えていて、服を仕立てるお客様も、もはや人としての尊厳を抱かない。
レイノルズと仲良くなるヒロインの子に対してもモデル以上の感情はない。
レイノルズからしたら、服を着る人はただのマネキンである。
この映画の、最も面白いポイントを説明したい。
ヒロインのアルマはレイノルズに男としての魅力を感じている。
だが、レイノルズはアルマの人間に対する興味は薄め。
そこで、アルマがレイノルズの心を物にするために取った行動が、あまりにイカれている。
本作の一番の見所でありつつ、本作を好きになるかどうかのふるい分けポイントとなっている。
およそ、共感できる行動ではないため、本作を苦手な人は多いだろう。
だが個人的には好きだ。
そもそもレイノルズがぶっ飛んだキャラクター。
アルマもぶっ飛んだ行動を取らないと、レイノルズを掴むのは難しいだろう。
さらにオートクチュールの仕立て屋という馴染みのない設定が、この頭のおかしい展開を見事に許容している。
結末に関しては想定外ではあった。
とにかく万人受けのするタイプではないが、個人的にはかなり好きな映画。
クセの強い映画を好む人に勧めたい。
一風変わった恋愛映画のおすすめはコチラ。
■“隠れビッチ”やってました。
■初恋
ファントム・スレッドの作品情報
■監督:ポール・トーマス・アンダーソン
■出演者:ダニエル・デイ=ルイス レスリー・マンヴィル ヴィッキー・クリープス
■Wikipedia:ファントム・スレッド
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):91%
AUDIENCE SCORE(観客):71%
ファントム・スレッドを見れる配信サイト
U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)、○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:-
Netflix:○(見放題)
※2021年1月現在